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2001年10月 アーカイブ

2001年10月02日

アームストロング船長のジョーク?

1969年、アポロ11号計画で初めて月面に降り立ったニール・アームストロング船長は、かの有名な「人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍」という言葉を残しただけではなかった。彼はいくつかの業務通信を同僚やヒューストンと交わしただけでなく、着陸船に戻る前に、こんな謎の発言をしている。「グロスキーさん、頑張って」と。

NASAの人々は、これを当時ライバルであった、ソ連の宇宙飛行士の誰かに向けた皮肉であろう、と受け取った。しかし、調べてみるとグロスキーという名の宇宙飛行士は、当時のソ連にも、アメリカにもいなかった。

長い間、これは謎の言葉とされていたのだが、当地でのスピーチのあと、ある記者がアームストロング氏に、26年間の謎について質問した。アームストロング氏は、「グロスキーさんはすでに亡くなられたので、答えてもいいだろう」と、口を開いた。

彼が子供のころ、兄と裏庭で野球をしていたときのことである。兄がフライを打ち上げ、ボールが隣家の寝室の前に転がっていった。隣人はグロスキー夫妻という。

ニール少年がボールを拾おうと寝室に近づいたとき、グロスキー夫人が夫に怒鳴る声が聞こえた。「オラルセックスだって?オラルセックスをして欲しいっていうのかい?隣の家のガキが月の上でも歩く日にゃ、たんとしてやるよ!」


だってさ!ほんまかいなっ?

2001年10月08日

食欲の秋

そろそろ、牡蠣のおいしい季節になりますね。生牡蠣というと、当たる当たらないが話題になる。牡蠣による中毒は腸炎ビブリオのような細菌だけではない。ウィルスも原因になる。

Morse DL, Guzewich JJ, Hanrahan JP, et al. Widespread outbreaks of clam- and oyster-associated gastroenteritis. Role of Norwalk virus. New England Journal of Medicine 1986; 314: 678-81.

また貝による中毒は病原体とも限らない。海藻から虫下し、カイニン酸がとれたことを思い出されたし。その海藻やを食べた貝の中に虫下しの類が濃縮されるのですよ。ちょうど水俣湾の魚の体内にメチル水銀が濃縮されたようにね。

Shellfish: From June to October, especially on the Pacific and New England coasts, mussels, clams, oysters, and scallops may ingest a poisonous dinoflagellate ("red tide") that produces a neurotoxin resistant to cooking. Circumoral (口の周りの)paresthesias (しびれ)occur 5 to 30 min after eating. Nausea,(嘔気) vomiting,(嘔吐) and abdominal cramps (腹痛)then develop, followed by muscle weakness and peripheral paralysis. Recovery is usually complete, but respiratory insufficiency may result in death.

ドーモイ酸はカイニン酸のアナログである。Sigma なんかで売っている立派な神経毒である。牡蠣じゃなかった、下記の報告はドーモイ酸中毒の症例である。剖検例で、海馬のアンモン角がやられている。ドーモイ酸中毒の場合も、貝(ここでは牡蠣じゃなくてムール貝なんだが)がドーモイ酸を作るんじゃないんだよね。実は、湾内で運悪く変な海藻が大量発生した時に採れた貝を食べたもんだから、その貝の中に海藻が作るドーモイ酸が濃縮されて、それを食べた人は海馬がやられちゃったんだよねえ。興奮毒性のとんだ人体実験ってなもんさ。これは神経科学者の間では、結構有名な話だから、海外の学会で(といってもほとんどの場合、アメリカになるだろうが)シーフードを食べながらの会話でいいネタになるから、覚えておいて損はないよ。

Teitelbaum JS, Zatorre RJ, Carpenter S, et al. Neurologic sequelae of domoic acid intoxication due to the ingestion of contaminated mussels. New England Journal of Medicine 1990; 322: 1781-7.

ネズミの神経学

いきなりでなんですが、、、、ラットは片側の大脳皮質を切除しても片麻痺は起こらないんですってね。Paxinosの名著、The Rat Nervous System を読んでも、確かにそう書いてある(らしい。自分じゃ読んでないケド)。そればかりではなく、かなり複雑な学習例えば Morris の水迷路も障害されないとのこと。

”あいつら、大脳皮質なんか使っていないんですよ。そんな動物を使って学習とか行動とか実験して、人間の病気の研究をしようってんだから、笑っちゃいますよね”と、ラット学習のプロは言い放つだと。

学習はともかく、片側の大脳皮質を切除しても片麻痺が起こらないなんて、かなりショックだよ。大脳皮質から内包、中脳脚、錐体交差、脊髄前角細胞に至る錐体路は、神経内科学では、象徴的な伝導路であり、こんな基本的な伝導路がラットと人で根本的に異なるなんて思ってもいませんでした。

こんな基本的な伝導路さえ、ネズミとヒトで大きく違うのだから、神経科学でネズミを材料にしてヒトの病気を考えることにどれだけの意味があるのだろうかと、改めて考えてしまう。

2001年10月15日

日本のとった呆れかえる狂牛病対策

雑誌ネイチャーの9月27日号に以下のような文章が載った。

日本の役人の体質というより、日本人の体質だよなぁ。こりゃ!危機管理意識の問題でしょ!狂牛病だけじゃないよね。平和ボケしきってるからなぁ。そもそも、判断すべき資質も知識もない人間が、喧喧諤諤やってるわけだから、ろくなもんじゃないんだね。

(Nature, vol. 413 P.333, 27 September 2001)

先週、日本国内で狂牛病が発生していたことが発覚し、これに伴って変異型クロイツフェルト・ヤコブ病が起こりかねないという恐れが高まってきている。国民の健康が危機にさらされた際の日本国政府の従来の対応を見ていると、今回も適切な予防措置が確実にとられるとはとても信じられないというのが実状だろう。

牛肉は日本人の好きな食べ物であり、とくに若年層に好まれていて、150万トン程度の安定した年間消費量が見込まれている。そういうわけで、先日、ウシ海綿状脳症(BSE)にかかっているウシが一頭見つかったことは、相当な不安を引き起こした(p.337参照)。そして、ヒトがかかる神経変性疾患である新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の出現についての懸念が広がり始めている。この病気はBSEにかかったウシの特定の部分を食べることで起こると考えられているからだ。

この恐怖感をより差し迫ったものにしているのは、日本政府がこのような公衆衛生にかかわる事件の際に適切な処置をとるとはとても信じられないことがわかっていることだ。

1950年代から1960年代にかけて、水俣で起こった水銀中毒症(水俣病)を隠蔽し、その被害を拡大させたことについて、政府に共同責任があることは、そのもっとも明らかな例といえる。専門家はその地域にある工場の工業廃棄物によって汚染された魚が原因であることを突き止めていたにもかかわらず、政府は長い間なんの対応策も講じなかったのだ。その結果、続く数十年間にわたって、この病気による死亡者、あるいは一生の間廃疾状態のままとなる犠牲者が続出したのである。そして政府と当該の企業に対する訴訟は今でも続いている。

日本政府の対応の遅いことは、他の事件の場合にもよく示されている。1985年から1986年にかけて、血友病患者にHIV汚染血液製剤が投与された。これが起こったのは、安全なことがわかっている加熱処理血液製剤に当然切り替えられているべき時期よりもずっと後のことだったのである。また、厚生省は1997年になって遅まきながら、脳外科手術で使われる移植用脳硬膜について、ドイツで生産された汚染されたものの輸入と使用を禁じているが、これも米国食品医薬品局が対応策を講じたのにほぼ10年の遅れをとっている。そして、この移植用硬膜を使った外科手術を受けた患者の76人が、致死的なクロイツフェルト・ヤコブ病の変種の一つに罹患した。その数はまだ増えつつあるのだが、適当な対策がとられていれば、このうちの多くについては感染せずにすんだと考えられている。

今回のBSEについても、日本政府はまたすでにおなじみとなった手口をとろうとしているようだ。EUの執行機関・欧州委員会の担当官によれば、各国におけるBSEの危険を調査した報告書をまとめるのにあたって、発生の危険性が高いという委員会の評価はあたっていないと日本政府が主張したため、実質上その作成が阻止されたそうである。そして、政府が狂牛病にかかったウシが存在することをついに認めたときにも、報じられているように、農林関係省庁の官僚は伝染を防ぐためにそのウシを焼却処分したと断言したが、結局はその直後にウシが飼料製造業者に渡されていたことを認めることになった。現在、彼らは原因の究明と食物連鎖における広がりの程度を見極めるために大騒ぎをしている。

1990年代初頭には、英国が自国で売れなくなった肉骨粉飼料を、けしからぬことに日本などのアジア諸国で投げ売りするという事態が起こった。今回、BSEがアジア、特にこうした肉骨粉を大量に輸入したインドネシアやタイに広がるのではないかということがかなり心配されている。日本は、高価だが必要なテストを行って適切な制限処置をとるための経済力と、規制に関する実際的知識を持っていると考えられる。この国は、流行の可能性がある伝染病を未然に防ぐのにどういう対策をとればよいか、それを日本ほど裕福でないアジアの近隣諸国に教えるモデルとなることもできたはずだ。ところが、日本は完全に遅れをとってしまった。他の国は、反芻動物から作った飼料を同じ反芻動物に与えることを制限する処置をとっているのに、日本は、場合によっては無視されてきたと報道されている、法的拘束力のない「行政上のガイドライン」で満足していたのである。日本政府がこういうガイドラインを強制力のある法規にまで格上げしたのは、狂牛病にかかった最初のウシが見つかった後になってからのことなのだ。

日本政府は欧州委員会の報告書を確証がないと考えられるとし、いたずらに大衆を動揺させるだけだろうと述べて批判した。この「科学的な証拠が無い」というのは、以前のいくつかのケースにおいても何の対応策もとらないことの口実として使われている。本当の理由は、政府と産業界、あるいは政府と医療機関が癒着していることだと考えた方がよさそうである。こうした馴れ合いは、関係省庁の官僚が退官した後に大企業に天下りすることで強化されることが多く、このような騒ぎのもととなるのだ。

日本は欧州委員会が提供しようとしたような、偏見のない評価を必要としている。そういうものに耳を傾ければ、国民にとって致命的にもなりかねない不適切な判断を下すこともおそらく無くなるのではないだろうか。

2001年10月17日

テロ3法案、衆院特別委で可決

一歩、前進といったところか。
憲法第9条を改正し集団的自衛権を認め、国連の安保理の常任理事国に入り、軍事※1力を国連にゆだねる。。。。
最終的にはコレでしょう。

国連が機能してないなどの批判はあるものの、結局、軍縮を進めるためにはコレが一番の近道だと思うんだけどね。

※1・・・『日本の自衛隊は軍隊じゃない』などの詭弁は、もう、通用しません。軍隊という言葉を使うと、アジア各国から非難されると考える人もいるようですが、現在の自衛隊の力は、アジア各国とオーストラリアを合わせたより強力だと言われ、世界中でも2~3番目の力があると言われています。核は持ってないけど。こんなスゴイモノを軍隊と呼ばずに何と呼ぶのでしょう?こんなウソをついているから、アジア各国から信用されず、教科書問題なども浮上するわけです。

ニュースでは、テロ特措法案には与党3党、自衛隊の在日米軍基地警備を可能にする自衛隊法改正案には与党と民主党、海上保安庁法改正案には与党と民主、自由、共産の各党がそれぞれ賛成した。と報じられている。

共産党まで賛成しているのに、旧社会党は、、、まったくアナクロ・・・呆れてしまいますね。スノッブなヤツが多いんだよなぁ!

2001年10月24日

Web Master の腰部MRI写真

昨日、撮影した私の腰部のMRI写真です。
専門医による画像診断の結果は、
L5-S1 level に椎間板ヘルニアを認める。
axial image では左神経根を圧迫している。

椎体には明らかな異常を認めない。
その他の異常を認めない。

とのこと。

L5-S1 level なので、今回の坐骨神経痛には関係ないだろうということです。
坐骨神経痛ならL4-L5椎間(両側腸骨稜の頂点と同じレベルにある)にヘルニアを認めるそうである。(自分が病気すると、勉強になります。)

痛みは、相変わらずなのですが、痺れが加わってきて、例えていえば、肘を思いっきりぶつけて『ジーン』となっているような痛みでなのです。(椎間板による圧迫じゃないとすると、筋肉疲労なのだろうか?)

これから、ストレッチなどをはじめて、リハビリです。

しかし、MRIは撮影時間がかかって、非常に五月蝿いのですが、この解像度はサスガですね。
皆さんの後学のために、写真を公開します。
(ただし、axial image は載せてません。このMRI写真だけからじゃ、L5-S1 level のヘルニアは確認できませんよ!念の為。axial image は lectuer に載せてあります。これははっきりと神経根の圧迫が確認できます。)

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