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2002年01月 アーカイブ

2002年01月05日

英文和訳、和文英訳のギャップ

新年あけまして・・・、うーーむ、完全にボケてしまっている。
というわけで、ボケた頭を正常に戻すために、こんな事をしてみた。

まずは、以下の英文を読んでみてくだされ・・・。
これは、Nature 2002年 1月3日号で feature されている3編の論文のうちの1つの summary である。

★p53 mutant mice that display early ageing-associated phenotypes

The p53 tumour suppressor is activated by numerous stressors to induce apoptosis, cell cycle arrest, or senescence. To study the biological effects of altered p53 function, we generated mice with a deletion mutation in the first six exons of the p53 gene that express a truncated RNA capable of encoding a carboxy-terminal p53 fragment. This mutation confers phenotypes consistent with activated p53 rather than inactivated p53. Mutant (p53+/m) mice exhibit enhanced resistance to spontaneous tumours compared with wild-type (p53+/+) littermates. As p53+/m mice age, they display an early onset of phenotypes associated with ageing. These include reduced longevity, osteoporosis, generalized organ atrophy and a diminished stress tolerance. A second line of transgenic mice containing a temperature-sensitive mutant allele of p53 also exhibits early ageing phenotypes. These data suggest that p53 has a role in regulating organismal ageing.

・・・まさか、正月早々(正月じゃなくても)、自分で和訳する人などいないだろうけど、まぁ、そんなことは、今回の主題ではない。

この英文を、とある翻訳サイトで和訳させてみた。しかも、医学辞書を使って和訳させてみたんだよ!!

以下が、その結果である。(このサイトの名誉の為、URLは伏せておく)
じっくりと読んで、そして、笑ってください。

★早期老化を伴う表現型を示すp53変異マウス

apoptosi、セル・サイクル逮捕か、senescenceを誘発するためにp53 tumourの抑制器は多くのストレス者によって起動されます。 急行carboxyのターミナルp53の破片をエンコードすることができるtruncatedのRNA、あだ、変化させられたp53の関数の生物学効果を研究するために、私たちは1番目6exonのp53 geneでの削除変化でネズミを発生させました。 この変化は解散されたp53よりむしろ起動されたp53で一貫したphenotypeを授与します。 (p53+/+)がらくた仲間、野生型だ、ミュータント(p53+/m)ネズミ明細表は匹敵された自発的なtumourに対する抵抗を高めました。 p53+/mのネズミ年齢として、彼らは老化と連想されたphenotypeの早い襲撃を表示します。 これらは減少させられた長寿を含み、osteoporosiは、オルガン萎縮および減らされた応力耐久力を一般化した。 またp53の温度の敏感な突然変異のalleleを包含するtransgenicのネズミの2番目のラインは老化phenotypeを早く展示します。 これらのデータはp53が有機体老化を規制することにおける役目を持っていることを提案します。


 
 
いやー、ひどいもんですね。こりゃ、日本語とは言えないし、意味不明だぁ!
翻訳サイトや、翻訳アプリケーションなど、これじゃほとんど信用できないよね。

この場合、和訳だから、『おかしい』ってわかるんだけど、自分の作った日本語文章を英訳する場合には、この『おかしい』がわからないところが、恐いんですよね。

私など、ホームページの『著作権』ページをカッコつけて、英文にすることがあるんだけど、日本語で書いた文章を、このサイトで英訳して、そのまま、使ってたりします。英語を使える人が読んだら、この日本語並に、おかしなことになってるんでしょうねぇ!ああ、はずかしい!

まぁ、『著作権』の英文が『おかしい』って、誰からも指摘された事がないので、ここを見ている人は、私と同程度の英語力ってことになるのかな。ワハハハハ。
(。_゜)☆\(ーー;)バキッ
 
 
 
(ここからは自慢モードだから、癪に障る人は読み飛ばしましょう。(^o^)丿)
ちなみに、私など、この程度のサマリーなら、周辺の知識が豊富だから、日本語訳など無くても、意味はわかるんだけど、わからない人のために、わかりやすい日本語で書かれたサマリーを掲載しておきましょう。
(。_゜)☆\(ーー;)バキッ


★早期老化を伴う表現型を示すp53変異マウス

腫瘍抑制因子p53は、さまざまなストレス要因により活性化され、アポトーシスや細胞周期の停止、もしくは老化現象を引き起こす。我々は、p53の機能変化が生体にどのように影響するかを調べるため、p53遺伝子の1~6番のエキソンが変異で欠失したマウスを作製した。このマウスは、カルボキシ末端をもつp53断片をコードできる短縮型活性RNAを発現する。この変異により現れる表現型は、不活性化したp53ではなく、むしろ活性化したp53と一致する。変異(p53+/m)マウスは、同腹の野生型(p53+/+)に比べ、自然に生ずる腫瘍に対して強い抵抗性を見せる。p53+/mマウスが年をとると、老化に伴う表現型が早く現れる。これらの表現型とは、短命化、骨粗鬆症、全身の臓器萎縮、ストレス耐性の低下などである。温度感受性のp53変異対立遺伝子をもつ別系統のトランスジェニックマウスも、早期老化の表現型を示す。これらのデータは、p53が生体の老化を制御するのに関与していることを示唆するものだ。

2002年01月15日

あちらを立てればこちらが立たず

癌になるのを防止するタンパク質の量が多すぎると、マウスでは老化が早くなることが見出された。このことは、前回、書き込んだ英文の通りだ。この結果からすると、哺乳類は長生きする為に、ジレンマに陥る事になるのか??


この研究結果が興味を引くのは、何と言っても、p53が老化に関わっていることを初めて示したものであることだ。このp53遺伝子によりコードされタンパク質(WAF1)は、細胞の防御機構に関わっている主要なタンパク質の1つで、細胞分裂の停止、損傷を受けたDNA の修復、細胞死の誘発など、細胞が癌化するのを防止するための多くの機能を担っている。

(詳しくは、勉強会でも取り上げた通り、CDKを抑制するのだ。CDKが何の事かわかんない人は、ちょっと勉強不足です。復習しましょう。)


そして、この発見の経緯が、ちっょと、面白いので、紹介する。
ヒューストンにあるベイラー医科大学のLawrence Donehowerらは、このp53をコードしている遺伝子を取り除くことを試みていたのだが、一対の遺伝子のうちの片方が部分的に欠けたマウスができてしまった。がっかりしたので、このマウスは飼育室の隅っこにつっこんで放っておいたそうだ。

ところが数ヶ月後、この変異体マウスは、正常なマウスに比べて腫瘍の発生が大幅に少ないことに彼らは気づいた。一部が欠けているp53はどういうわけか、正常な遺伝子が過剰に活動するという事態を引き起こしたのである。

しかし、この癌に対する防御効果にはかなりの犠牲が払われていたことがわかった。この変異体は生後1年(マウスでは中年にあたる)程度までは正常なものと変わらないのだが、その後は急激な衰えを示したのである。

癌にならないマウスでは体重や筋肉量が低下し、背骨の湾曲、骨粗鬆症の進行が見られ、皮膚は薄くなって傷も治りにくかった。変異体マウスの平均寿命は96週と、正常なマウスの118 週に比べるとほぼ20%短かった。


怪我の功名と言うか、面白いですね。でも、凡人なら失敗作のマウスに注意を払う事もしなかっただろうから、この点で、やはり、発見されるべくして発見されたと言えるのかも。
 
 
 
ところで、細胞が紫外線照射などによって受けた損傷が、老化の原因となることは広く知られている。今回のp53の結果について、ニューヨーク州にあるコールド・スプリング・ハーバー研究所で細胞生物学を研究しているScott Loweは「老化を引き起こしたのは損傷ではないようで、損傷に対する細胞の応答の仕方の方だという可能性がある」と述べている。

そして、『この結果は目立って刺激的なもので、いろいろなことについて従来の考え方を変えるものだと』と述べているそうだ。
 
 
 
では、どうして、癌に対しての防御が強化されると、老化が早くなってしまうのだろう??

この発見者のDonehowerは、こう考えているそうだ。
『癌に対する防御作用が強化されると、幹細胞にまで影響が及ぶために寿命が短くなる。』と。

成体では皮膚や筋肉、骨の補充は幹細胞に依存して行われる。正常な状態ではp53 はこういう幹細胞には影響を及ぼすことはなく、悪性化して分裂に歯止めが利かなくなった細胞の働きを止めることだけを行っている。

しかし、変異体ではp53分子が過剰に働きすぎて、体を維持していくための細胞まで押さえ込んでしまう。速やかに分裂を行う細胞を含んでいない組織では同じような老化の兆しは見られなかった。変異体マウスでは白内障は起こらなかったし、脳が異常な変性を示すこともなかった。
 
 
 
ということは、若年期を癌にかかることなく過ごすと、その代償として年取ってから体が脆弱になるということなのだろうか??

その答えは、、、これからの研究に期待しましょう。
 
 
p.s.全くの余談なのだが、奇しくも日経メディカル1月号が“老化”の特集なのだ。こちらでは、老化現象を解明するカギとして、加齢に伴うホルモン分泌不全に焦点を当てている。

2002年01月21日

月曜の朝の出来事

月曜の朝早く、よく来る?患者さんから電話があった。
『痛くて、ノイローゼになりそう』とのこと。

某病院にて椎間板ヘルニアの治療を行っていたのだが、余りに痛くなったので、近くの接骨院に駆け込んだのだそうだ。
そこの接骨院では、『今迄、病院でもらって飲んでいた薬をすべて中止』し、体を温めちゃいけないから、『温湿布は使用禁止』、『こたつに入ってはいけない』と指導されたそうだ。

患者さんは、律義に言いつけを守り、この寒いのに暖も取らずに、寒さと痛さで震えていたそうだ。

『ますます、痛みがひどくなってる、どうしたら良い?』と。

・・・・・まったく、あきれた接骨院だ。椎間板ヘルニアの病態はおろか、エビデンスという言葉さえ、知ってるとは思えない対応だ!

私は、その接骨院には二度と行かないように言い、病院で鎮痛剤など貰っているなら直ぐに服用するように言い、私の行っている病院を紹介したのは言うまでもない。

プロのくせに勉強もせず、のーのーと仕事しやがって・・・って思いつつ、ふと、人の振り見て、我が仲間を省みてしまった。

同じような状況が目に浮かぶ。不甲斐なく思い、悲しくなった。

2002年01月24日

ホームページの運営

 最近になって、私が良く行くサイトの閉鎖が相次いでます。いろいろ、事情はあるんでしょうが、猫も杓子もインターネットに接続できる環境になってくると、一部の心無い利用者のために、ホームページ開設者が公開を続けていく事に対して、心を痛め、士気を殺がれる結果となっているのでしょう。

 また、著作権からみでも、特に、画像と音楽を扱うところとが、閉鎖に追い込まれてます。
 特に凄いのが、コレだけ普及した画像フォーマットのひとつ GIF の扱いに関して、米国ユニシスがその圧縮技術に関して、ロイヤルティを要求しだしたということでしょう。

その辺の事情を紹介します。

 現在、WWWブラウザで利用できる画像形式は三種類有ります。GIF、JPEG、そしてPNG/MNGです。

 このうち、GIF は LZW 法と呼ばれる情報圧縮技術を利用していますが、現在これは米 UNISYS 社の特許となっています。これを根拠に、GIF(より正確には LZW 法)を採用するメーカーに対して高額のロイヤルティを要求しているのです。

 あなたのWWWブラウザ(IEとかネスケとか諸々)も当然例外ではなくて、Microsoft や Netscape Communications などは、UNISYS に対して、桁違いに高額な特許のロイヤルティを支払っているのです。その金額は、当然ですがユーザーであるあなたに荷担されています。

 元々は、UNISYS は、LZW 法は無料で使ってよい、という方針でいました。そこで、かつてのアメリカの大手パソコン通信局「CompuServe」が、標準の画像ファイル形式 GIF を作るときに、この LZW 法を使ったのです。その後インターネットの普及に伴いWWWが誕生し、やがて画像をWebページ上で表示できるようにしたときも、面倒はやっぱり嫌ですから、既に普及していた、このGIFを何となくそのまま採用してしまったようです。

 ところが、インターネットの普及と共に、この LZW 法の普及を見たところで、UNISYS の態度は豹変しました。特許に対するロイヤルティを要求してきたのです。当時GIFの代わりになるものが無く、今さらGIFの対応を止めるわけにも行かなかった事情から、ブラウザメーカは仕方なく UNISYS にロイヤルティを支払ってしまったようです。

 これで味をしめた UNISYS は、更に最近になって、今度は UNISYS が認めているソフトウェア以外(フリーソフト系は当然ながら全滅)を使って作ったLZW法(≒GIF)を使っている Webページ制作者に対しても、破格のロイヤルティを要求する方針を打ち出しました(その値、なんと5000ドル(約60万円))。あなたが非ライセンスな GIF をページに張り付けただけで、あなたには UNISYS に対して、なかなかナイスな金額を払わなければならない義務が発生しちゃいます。

 しかも、UNISYS が認めているソフトウェアを使って作ったGIFであっても、確認の手間を省くために、念のためロイヤルティを支払うことを推奨しているという現状もあります(もちろん義務ではない。勘違いはなさいませんよう)。ちなみに、元々GIFファイルには、そのファイルを作ったソフトの名前などは記録しないのが普通です。よって、正確に確認するすべがないのです。

 だいたい、画像を作る作業というものが全てがライセンス済みソフトで事足りれば良いのですが、こういう物は大抵使いづらく、フリーソフトやシェアウェアの方が勝手が良かったりするわけです。そういうものを一度でも介してしまったGIFファイルは、やはり UNISYS に対して対価を支払わねばならない対象となってしまいます。それが5000ドルなんです。
 
 
 
 こんな事になるとは、夢にも思わず、せっせとオリジナル GIF 画像を作って公開していた作者が、大変な事になるのは、推して知るべしですね。

私も、メンバーズルームについて、コロコロと考えがゆれています。完全オープンにしちゃってもいいんじゃないか?、でも、トラブルに巻き込まれると、面倒くさいなぁ!。とか。

まぁ、私のこのホームページなど、取るに足らないものなので、無断?(よくわからないが)での画像使用、情報の公開・転載など、つっこんでくる人(団体)などいないとは思うんですけど、後々のトラブルの事を考えると、ついつい、二の足を踏んでしまいます。
『無断での転載を禁止します』って書いてあるところからも、情報を持ってきちゃっているし・・・(あっ、こんな事書いちゃって大丈夫か?)

メンバーズルームにしているということは、不特定多数の人に対して情報をばら撒くのではなく、私の個人的な使用の範囲に留まるものである、との勝手な私の法律解釈のもとでなんですけどね。この辺、どうなんでしょうねぇ!

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