もし、この意義・意味を知りたくて検索され、このサイトに辿り着いた方がいたとしたら、最初にお詫びしておく。私にもさっぱり解らない。(知っている方に、トラックバックしてもらいたいと思ってのエントリーです。ハイ)
いままで、ずうっと不思議に思っていたのだが、国内総生産に対して医療費がどれくらいであるか?と言う事が、医療費が適正かどうかの指標になるのだろうか? GDP の比を知る事で、何が解るのだろうか?
GDP に対して、国民の平均的な食費やレジャーに費やす割合を示すのと同じで、文化度とか生活に対する満足・不安(不安があればレジャーに費やさないで貯蓄するとか・・)などが、漠然と解る程度で、それ以外のなにものでもないんじゃないの?
(ゲームのタイトルは、『この国の医療費』)
食費は、税金で賄われるわけじゃない。だから、財政を圧迫しない。でも、医療費は税金で賄われる。だから財政を圧迫する。
私が理解しているのは、単純にこれだけだ。
そして、国家予算に占める医療費の割合を知っている。その国家予算自体が、毎回、集められた税金を遥かに上回っていて、それを国債で埋め合わせているのを知っているだけだ。そして、その国債のツケ=借金は国民に回ってくる・・・・。
そんな程度しか政治・行政・経済を知らない私が、例えば、最近の新聞記事の解説を見ると、、、
(新聞記事に対して、m3.comで解説しているのだが・・・・)
東京・大阪の公立病院の半数、診療縮小
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
【2007年1月23日】
医療クライシス:東京・大阪の公立病院の半数、診療縮小----毎日新聞調査
<2面で連載スタート>
◇常勤医285人不足
医師不足などのため、東京都と大阪府内の計54の公立病院のうち、公立忠岡病院(大阪府忠岡町、83床)が3月末に閉院するほか、半数近い26病院で計46診療科が診療の休止・縮小に追い込まれていることが、毎日新聞の調査で分かった。常勤医で定員を満たせない病院は45病院あり、不足する常勤医は計285人に上る。非常勤医で穴埋めできていない病院もあり、医師不足によって病院の診療に支障が出る「医療崩壊」が、地方だけでなく2大都市にも広がり始めている実情が浮かんだ。
調査は都府立、公立、市立病院(大阪市立大病院を除く)と、都保健医療公社が運営する病院を対象に実施。00年以降の診療休止・縮小の状況や、今月1日現在で常勤医が定員に満たない科の数などを尋ねた。
閉院を決めた忠岡病院は、03年に12人いた医師が05年には4分の1に激減。昨年4月に皮膚科と泌尿器科、今月は脳神経外科を休止し、病院自体も存続できなくなった。
診療科別に見ると、休止・縮小したのは、産科・産婦人科が計10病院で最多。次いで小児科6、耳鼻咽喉(いんこう)科が5病院だった。
不足している常勤医数は、内科が18病院で計47人と最も多く、麻酔科15病院29人、産科・産婦人科が16病院27人、小児科が11病院22人と続いた。不足の理由は、▽04年度導入の新医師臨床研修制度をきっかけに、大学病院が系列病院から医師を引き揚げた▽勤務がきつく、リスクを伴うことが多い診療科が敬遠されている----など。
診療への影響は、「救急患者の受け入れ制限」(都立大塚病院・豊島区)など、救急医療への影響を挙げる病院が目立つ。住吉市民病院(大阪市)のように、産科医不足による分べん数の制限を挙げる病院も多かった。
打開策については、都立墨東病院(墨田区)などは「給与水準引き上げ」と回答、府立急性期・総合医療センター(大阪市)が「出産・子育てから復職支援など女性が働きやすい環境作り」を挙げるなど、労働環境の改善を挙げる病院が目立つ。「医療訴訟に対する裁定機関や公的保険制度の確保」や、「地域の病院と連携し、医師の診療応援など交流を図る」などの意見もあった。
(ここから3m.comの解説!!)
◇「高額医療費」実は平均以下----OECDデータ
地方だけでなく、大都市にも「医療崩壊」が広がり始めた背景には、日本の低医療費政策がある。医療費を巡る政策論議では長年、いかに抑制するかがメーンテーマとなってきたが、経済協力開発機構(OECD)の国際比較データからは、正反対の実情が浮かぶ。
医療費を対国内総生産(GDP)比でみると、日本は1960年代半ばの一時期にOECD加盟国平均に達していた以外は、一貫して平均を下回っている。03年もGDP比8%で、平均の8・8%に届かない。
特に、先進7カ国(G7)の水準には程遠く、差が広がるばかり。03年のG7平均は10・1%で、日本はG7平均に比べて医療費の支出が2割も少なく、先進国並みに医療にお金をかけているとは言えないのが現実だ。
人口1000人あたりの診療医師数(診療に従事する医師の数)は、一度もOECD平均を上回ったことがない。差は年々拡大し、04年には平均3・1人に対し日本は2人。OECD平均に達するには、医師を1・5倍に増やす必要がある。
つぶれる公立病院 忍び寄る崩壊の足音
記事:毎日新聞社
提供:毎日新聞社
【2007年1月23日】
医療クライシス:忍び寄る崩壊の足音/1 つぶれる公立病院
◇研修・開業、回らぬ医師
奈良・大淀病院の妊婦転送問題で明らかになった医療システムの機能不全と医師不足。「医療崩壊」を止めるにはどうしたらいいのか。手がかりを求め、現場を歩いた。
■ ■
たった一人残った院長が黙々と診察をこなす。昔は患者があふれていた平日の午前でも、人影はまばらだ。大阪府南部の忠岡町が運営する公立忠岡病院(83床)。大学からの医師派遣がなくなり、3月いっぱいで56年の歴史を閉じる。定年退職を1年延長して診察を続ける須加野誠治院長(66)は悔しさをにじませ、こう語る。「患者さんに申し訳ない。公的病院は日本の医療を支えてきたが、今後は相当努力しないとやっていけない。このままでは、弱者を切り捨てることになる」
異変は04年ごろ始まった。医師が次々と病院を辞め、頼りにしていた大学医局からの補充もなくなった。03年度に12人いた医師は、05年度に3人、昨年末にはついに院長だけが残る事態に。医師が減ったのに伴い患者数も減少し、収益悪化で閉院を余儀なくされた。
公立病院の医師不足は、04年度の新医師臨床研修制度導入や、激務に嫌気が差して開業する医師の増加などで、より深刻化した。以前は多くの研修医が大学医局に入局し、医局が公立病院など関連病院に医師を派遣したが、現在、1-2年目の研修医は各診療科を回ることが義務づけられ、すぐに医局に入らない。このため医局の医師が減り、関連病院から医師を引き揚げるケースが増えた。
医師確保のため須加野院長は、近畿各地の大学医局に足を運び、頭を下げた。「訪ねたのは延べ200回近く。軒並み断られ、逆に『医師を大学に手伝いに寄こしてくれないか』と言われることもあった」
全国で最も病院が多く、医師も集中する東京でも事情は変わらない。日野市立病院は、大学からの医師派遣を次々打ち切られ、内科や小児科など5科で入院を制限。4月には脳神経外科が縮小する見通しだ。市原眞仁院長は「各地で医療事故が訴訟や刑事事件になり、職員の士気も落ちている。私は3月に辞めるが、誰も後任に来たがらない」と途方に暮れる。
■ ■
しわ寄せは、患者に及んでいる。
昨年7月。東京都内の女性(26)は休日の未明、かかりつけの産婦人科で陣痛を抑える点滴を受けていた。妊娠28週での早産が避けられず、新生児集中治療室(NICU)のある病院へ転送が必要になったためだ。
東京にはNICUを持つ24病院が参加する「周産期医療情報ネットワーク」がある。うち9病院が総合周産期母子医療センターに指定され、受け入れ先探しも担う。しかし最も近い杏林大病院(東京都三鷹市)は「満床」。医師は女性の横で電話をかけ続けたが、転送先は見つからない。「医師不足は地方の話」と思っていた女性は、分べん台で不安を募らせた。
1時間以上かかって見つかったのは、直線距離で約40キロ離れた病院。送り出した産婦人科医は「センター病院も人手不足で、転送先は自分で探さなければならないケースが多い。奈良・大淀病院のケースのように受け入れ先を見つけるのが困難なのは、東京でも日常茶飯事だ」と明かす。
閉院する忠岡病院に20年以上、人工透析を受けに通っていた女性(62)は「透析は一生続けなければいけないし、病院をかわることが、どれだけ大変で不安が大きいことか」と訴える。そして、こう付け加えた。
「まさか公立病院がつぶれるなんて、誰が考えていたでしょう」=つづく
(ここから3m.comの解説!!)
◇G7水準に程遠く
医療費を巡る政策論議では長年、医療費増大で国が滅びるとされる「医療費亡国論」が脚光を浴びるなど、いかに抑制するかがメーンテーマとなってきた。日本の医療費はそんなに多いのか。OECD(経済協力開発機構)の国際比較データからは、全く正反対の実情が浮かぶ。
医療費を対GDP(国内総生産)比でみると、日本は1960年代半ばの一時期にOECD加盟国平均に達していた以外は、一貫して平均を下回っている。03年もGDP比8%で、平均の8・8%に届かない。
特に、先進7カ国(G7)の水準には程遠く、近年では差が広がるばかり。03年のG7平均は10・1%で、日本はG7平均に比べて医療費の支出が2割も少なく、とても先進国並みに医療にお金をかけているとは言えないのが現実だ。
人口1000人あたりの診療医師数(診療に従事する医師の数)は、一度もOECD平均を上回ったことがない。差は年々拡大し、04年には平均3・1人に対し日本は2人。OECD平均に達するには、医師を1・5倍に増やす必要がある。
低医療費政策を続け、少ない医師数のままで現状を打開できるのか。医療従事者の間には絶望感も広がり始めている。
2つの記事の解説とも、『医療費は高くない。日本の医療が崩壊しない為に国や自治体はもっと金を投入すべきだ。』って主張している。その根拠として、医療費の対GDP比を出しているのだが・・・・。
私、GDPの意味を誤解しているのかな?って感じたもので、調べてみたのだが、、、
経済社会総合研究所
・GDPはGross Domestic Productの略で、国内総生産を意味します。
・総生産は、原材料費等中間投入分を除いた付加価値の総額です。
・国勢調査や工業統計などの各種の統計結果を加工・組み合わせて計算します。
・このような統計を第2次統計とか、加工統計と言います。
・内閣府経済社会総合研究所が作成し、公表します。
国民経済計算体系
・GDP統計は、より包括的な国民経済計算体系の一部です。
国民経済計算は、SNA(System of National Accounts)と言い、国連が開発したものです。
・SNAは、国民所得勘定を中心に産業連関表、資金循環表、国民貸借対照表及び国際収支表の五つの経済勘定を体系的、整合的に統合したものです。
う~ん、GDP をどんなに調べても、赤字財政を押してまで、医療費に投入する根拠に成り得るとは思えないのだが・・・。
こちら側(医療費を分配される側)の人間としては、湯水のように使ってくれた方がありがたいに決まっているのだが、無い袖を振り続けて、そのツケが、将来の私達の子供に回るってのは、良い事なんだろうか?って思うわけだ。
この 3m.com の解説は、GDP 以外に、その国の国家予算に占める医療費の割合を示していない。そして、医療費だけを問題にしているが、医療制度に言及していない。
私は、医療費は“高騰”するのは“あたりまえ”だと思っている。科学・医学の進歩が医療に適応されれば、ぶっちゃけた話、『元がかかってんだから、高いのは当たり前』って考えだ。
じゃ、高くなった分は、誰が払うのか?
この誰が払うのか?って事と、医療費が高騰するのは、別けて考えなくっちゃなら無い筈だ。疾患の性質を鑑み、自己負担率は変えてもいいんじゃないの?たとえば、風邪は5割負担とか!
ちなみに、日本の予算は約80兆円。その内訳は税収が約50兆円。残りは国債発行などの借金。
■日本の歳出金額を1,000円とした場合の予算内訳・・・(2005年度一般会計当初予算)
・健康や生活を守るための費用 248円
・国や地方の財政を調整するための費用 196円
・国債の返済や利子の支払い費用 224円
・道路、住宅の整備費用 92円
・教育や科学技術のための費用 70円
・防衛のための費用 59円
・その他 111円
社会保障・福祉予算
世界の社会保障・福祉予算の割合は、南米のウルグアイが先進国を抜いて第1位。手厚い福祉で有名なスウェーデンは約45%。国家予算の膨大なアメリカでも30%前後。日本は約25%。
なのだが、、、、
米国国家予算 2兆7,700億ドル(332兆4,000億円)
赤字額 4,230億ドル(50兆円)
財政赤字比率(対予算) 15%
米国の予算規模は330兆円を超え、日本の予算規模の4倍となっている。
その中で、財政赤字が50兆円。予算規模に対しては、15%である。
対して日本の場合は、、、、
日本国家予算 80兆円
赤字額 35兆円
財政赤字比率(対予算) 43%
・・・・・・・・・・(なんかしらんが、冷や汗)
国のインフラとして医療・福祉に回せる妥当な金額を導く為に、GDP よりも根拠として説得力がありそうな、国家予算の医療・福祉費の占める割合を引き合いに出して、諸外国と比べる事で答えを出そうとしても、そもそも、国によって予算額が違い、赤字比率も違い、インフラの整備度合いが違い、貧困層=低栄養で病気勝ちな人の人数やその構成比が違う為に、諸外国と比べる事に“意義・意味”があるのか?って感じてしまう。だって、ウルグアイが世界一の比率なんだぜ!!
どの国でも、医療・福祉費が一番の割合なのは、当たり前だ。健康に関心が無い人間はいない。けど、『健康保険料を払ってるんだから、損しない為に病院に行くんだよ』って考えの人がいなくならない限り、医療費目的で集められたお金で足りる事は無い。防ぐ手だてとしては、疾患ごとに自己負担率や免責額を導入するくらいしか思いつかないが・・・。
だったら、健康保険料なんて名目を辞めて、全部、消費税にしちゃえば良い。国のインフラとして医療を考えるのなら、その方が理解し易いし、勿体無いから病院に行くなんて考えにならないんじゃないのかなぁ。。。さらに、タバコにも消費税以外に健康税を課せば良い。健康を害する事ってものには、軒並み、消費する時点で課税する。逆に、健康に良いものや、良い事をする場合には、消費税の減額をするとか!
それに、医療費と質の問題にも言及されなければならないよね。医療費が高騰する道理が通っていなきゃ、『医療費高騰はあたりまえ!』なんて言えたもんじゃないからね。
日本では、他国では考えられないくらい、医師が雑用に追われている。医師に本来の仕事をさせないから、相対的な医師不足と医療費が高騰するっていう側面も考慮しなければならない。他の賃金が安い医療職に仕事を任せる方向にしなければ、医療の質を高めて高騰を防ぐ手段は無い。っていうか、日本には、まだ、その余地が残されているって事でもある。慢性疾患の処方箋の再使用制度(refill 処方箋)などは、速攻で導入すべきなのでは?その為の薬学部6年制なんだから。
さて、なんだかんだと、言っていたら、日本の医療費が高いのか安いのか?っていう問題を考える事は、実はナンセンスなのでは?って思えてきた。結局、自分達が供出しあった資金=税金で、出来る事をやるしかないって事なんだよな。
次世代にツケを回さない事が、大前提でね。そして、医療費を対GDP比で見ることに、意味は無くって、事情を知らない人を“丸め込む”為の単なる“物差し”でしかないと。で、これを根拠に、何かを声高に叫んでいる人は、“あやしいぃぃぞ”って事・・・かな。
政治・行政・経済のシロウトの薮ニラミでした。チャンチャン!