« 2007年11月 | メイン | 2008年01月 »

2007年12月 アーカイブ

2007年12月01日

抗うつ薬服用者が自殺するなぞを解明

20071201_tablet.jpg『自分には関係ないね』と感じる事では“道徳心”という琴線に触れる事は無いけど、『他人事じゃない!』って事では“道徳心”が首をもたげてしまうのだろうか?

病気や有害反応を特定の遺伝子と結びつける事に対して嫌悪感を持つ人たちは、この知見にどのように反応するの興味がある。要するに『抗うつ薬で自殺する人はもともとそういう遺伝子をもっている人だから、そういう人だけ心配すればよい』って事なんだけど、多分、のっけからこのような表現はマズくて『抗うつ薬で自殺する人はもともとそういう遺伝子をもっている人だから、持っていない人は心配しなくて良い』としなきゃならないんだろう、、、、?(『手術は99%失敗します』はマズくて『手術の成功率は1%です』に似ている?)

〔米オハイオ州クリーブランド〕抗うつ薬が投与されている抑うつ患者のなかに、自殺に走る人がいるのはなぜか。この問題は、患者の家族や抗うつ薬を処方する医師だけでなく、該当する抗うつ薬のリスクに関して警告を発し、薬剤の安全性を監督する規制当局をも長い間悩ませてきた。しかし、米国立精神保健研究所(NIMH)のFrancis J. McMahon博士らがAmerican Journal of Psychiatry(2007; 164: 1530-1538)に発表した研究により、ようやくこの矛盾への解答が得られそうだ。

 同博士らは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)citalopramを14週間服用した患者を調査し、自殺念慮の増大に関係する生物学的な基礎要因を明らかにした。

 選択した68個の遺伝子のうち768個の一塩基多型に対する遺伝子型を決定した患者1,915例で、GRIA3 と GRIK2 の 2 個の遺伝子が変異していたことがわかった。両遺伝子ともグルタミン酸受容体のコードに関与しており、120例に自殺念慮が認められた。通常はまれな症状とはいえ、これらバイオマーカーの発見は自殺念慮の解明への道を開き、綿密なモニタリングや代替治療薬、また専門治療で救うことができる高リスク患者の識別に役立つと考えられる。


抗うつ薬に関しては、わりとサラリと“有害反応”と遺伝子を関連付けてるんだけど、、、、(もっとも、専門誌だから“そういうこと”に配慮しなくてもいいのかもしれないが・・・)こと、インフルエンザに関しては、タブーみたいだ。インフルエンザは誰しもが罹患し、その治療薬は誰でも?服用するから『他人事じゃない』って感じるのだろうか?タミフルを服用して有害反応が惹起されるのは、遺伝子とは関係ない・・・なんてよもや思っている人も居ないとは思うのだが、まさか。。。。

下の引用は、日経メディカルオンラインで『抗インフルエンザ薬、使う?使わない?』というコンテンツに寄せられたコメントなのだが、混乱というか、遺伝子型に触れずに反応・対処しようとすると、こんなにも“混乱”するんだよという事を示したくて引用した。

【抗インフルエンザ薬は基本的に不要】
◆タミフルは、1日早く解熱するといわれているが、根拠となる治験データを見ると中央値には23時間の差がある。しかし、3日目でプラセボ患者の40%近くが解熱しており、タミフルとの差は、約10ポイント程度である。日本の医師は、先入観で効果を過大評価しがちと考える。元々、自然治癒する疾患であり、高齢者を除けば死亡率は低い。タミフルの作用機序からも即効性は期待できず、早期に起こる小児の脳症を阻止できる証拠もない。新型インフルエンザでない限り、一律の使用は必要ない。(50歳代・内科勤務医)
◆元来インフルエンザ治療は、安静・水分補給のみで十分と思われるが、マスコミの報道等により抗インフルエンザ剤を投与しなければいけないような風潮が見られる。当院では飲まなくても治ることを説明し、どうしても希望する人にのみ投与することにしている。(50歳代・小児科勤務医)
◆もともと抗インフルエンザ薬は脳症以外では使用しないつもりです。以前は患者側(小児科ですので報道に踊らされた親)の要求度が強く、多忙な救急外来では面倒で処方していましたが、最近は断りやすいのでよいです。(20歳代・小児科勤務医)
◆以前から、なるべく抗ウイルス薬は、患者が希望する時以外は使用しないようにしていた。4年前から、小児には例外を除き使用していない。基本的にはリスクの高い人以外は治療は不要と考える。(50歳代・内科開業医)
◆基本的には抗インフルエンザ薬は使わない方針ですが、患者からの強い希望があったり、高齢者で呼吸器系の基礎疾患がある場合などは使用する予定です。(30歳代・勤務医)


【耐性ウイルス、新型のパンデミックが心配】
◆100%安全な薬はない。耐性菌の問題もある。使用しなくても治る可能性が高い場合は原則使わない。ただ、最近のインフルエンザは前より長引く傾向にあると思われるので、今年の傾向を見極めて慎重に投与する(20歳代・外科勤務医)
◆リレンザやタミフルの予防投与は一定の効果があるかもしれないが、いざ新型インフルエンザのパンデミックが起きたとき、十分な在庫がない事態を招く恐れがあるので、安易に行われるべきではない。また流行の媒介者となる小児へのワクチン接種は、社会の安全を考えると強制接種しかない。このまま手をこまねいていると、はしか騒動がもっと悲惨な形で繰り返される。(40歳代・内科勤務医)
◆今まであまりにも安易に(特にタミフルが)使われてしまった影響で、今後抗インフルエンザ薬の耐性化が心配。予防注射より、抗インフルエンザ薬による治療のほうが無料になるシステムもおかしい。高齢者への予防注射料金一部補助以外に、一般民衆への補助も検討しないと、今後も薬好きの日本人から抗インフルエンザ薬投与を減らすのは難しいと思う。また、マスコミはタミフル副作用で医療側を叩いて大騒ぎするより、予防注射の必要性および薬の副作用はある一定割合で発生するものだと啓蒙してもらいたい。(30歳代・アレルギー科開業医)


【抗インフルエンザ薬は有用だ】
◆よく欧米との比較で批判されるが、病医院へのアクセスが異なる国と比較して使いすぎと言われるのは困りますね。結果的に治るのですが、その間の辛さは患者でないと分からないので、少し治るのが早くなる程度で使うなという主張はQOLを無視している。(40歳代・内科開業医)
◆タミフルの副作用が問題になっているが、何も薬が使えなくなると逆に脳症等の発症が増え問題になると思う。(30歳代・内科勤務医)
◆タミフルの副作用で、患者が死んでいるわけではない、インフルエンザ自体の夜間せん妄によるものである、厚生労働省は、科学的根拠が全くないのに、マスコミと被害者の会のプレッシャーに負けて、タミフルの使用制限を出してしまったのは、まことになさけない。責任をとらない官僚主義には、怒りをおぼえる。(50歳代・内科開業医)
◆タミフルによる異常行動が問題となっているが、頻度は低く成人なら十分に説明の上、希望があれば投与すればいいと考えています。特にA型インフルエンザには投与による症状軽減効果は確実にあると思われるので、もし今シーズン自分がインフルエンザに罹患したら迷わずタミフルを内服すると思う。(40歳代・内科開業医)
◆タミフルの効果は切れがよく患者さんのニーズも高い。特に小さなお子さんがおられ、何日も仕事を休めないお母さんが多くなっているため、すばやい解熱を望まれる傾向が高い。対症療法のみで治るのは確かだが、一度タミフルの効果を体感された方からの要望は今年もあると思う。しかし、今年は処方しない。副作用の調査があまりにも不十分であり、自分の子供にも処方できない薬は患者さんには到底出せないからだ。麻黄湯やアセトアミノフェンなどの解熱薬で対処する例が増えそうだ。(30歳代・循環器科勤務医)
◆インフルエンザ治療薬による治療で明らかな死亡率や合併症発現の低下があれば、今後も積極的に患者の希望を聞きながら使用したい(50歳代・内科開業医)


同じ薬なのに、こんなにも臨床医の印象と使い方の主義主張が混乱を極めるのも、遺伝子に触れられないからに他ならない(これじゃ、まるで祈祷医療だ!)。『差別に繋がるから・・・』なんて言ってると、こんなになっちゃう。


ところで、このコメント群に関しては、全く別の解釈も出来る。
自然治癒傾向が極めて強い一過性の感染症などについては、まさに“患者さんのニーズ”が大切であり、これを見ると医療は“サービス業”であり“顧客満足度”を重点におかねばならない事が浮き彫りになる。(QOL ってのは便利な言葉である)

“サービス業”であってはならない医療の領域も存在する事は間違いないのだが、どこで線を引くのかの話も、また、タブーなのだろう。

本来この線引きを境に、方や100%医療費給付をすべきだし“顧客満足度”を満たすだけの医療であれば“保険免責”は当然だと思うんだけどねぇ。


だけど、これも話は簡単じゃない事だけは、うすうす理解はしている。小児医療においても“親の満足度”が猛威を振るっている事は間違いないので、十把一絡げで『保険給付せよ』に反対したいのは山々なんだけど、そうしないと大衆が“子供を作れない”って感じちゃうなら、その無駄な医療費も“少子化対策”なのかと・・・・・。その為に小児科医が疲弊しきっている事も、少子化対策の為なら無視する事が・・・・・。

来年の診療報酬改定では、上げるべき所は上げるそうだが、すずめの涙程度を上げて貰っても“焼け石に水”って意見はタブーなんだろうね。既に産婦人科医療は“デスマーチ”に陥っているということを、国と大衆は認識しないと解決は出来ないのだが、産婦人科の技術料を今の2倍にするべきなんて意見は、『一般大衆の感覚からはかけ離れている』って事で一蹴されるんだろうなぁ。


さて、先の抗うつ薬だが、飲んだら自殺願望が芽生えちゃうって恐ろしい一面も(特定の人には)あるのだが、飲んだら寿命が延びるって副作用なら、飲みたい人が増えちゃうんじゃないかな?

食事制限による寿命延長の基盤と似た機序ってことだから、SIRT3、SIRT4 遺伝子に関係してるんだろうか?これならサーチュイン遺伝子ファミリーの一員だから、NAD依存性脱アセチル化酵素群であり、体内で非常に重要な役割を担っている酵素だから、遺伝子多型は無い?だとすると、誰にでも効果は出る??

ところで、このサーチュインファミリーでにあるSIRT1やSir2は、あの赤ワインの成分でも活性化されるって事だし、赤ワインで寿命が延びる程度なら、わざわざ、抗うつ薬を飲むまでも無いとは思うけど。

生理:抗うつ薬で寿命が延びる

Nature vol.450 (7169), (22 Nov 2007)

線虫(Caenorhabditis elegans)の寿命を延長させる化学物質を探索する大規模なスクリーニングから、意外な結果が得られた。

ヒトで抗うつ薬として用いられている化合物ミアンセリンが、3週間という線虫の寿命をほぼ3分の1延長させるのである。

ヒトの場合には、この薬物は神経伝達物質セロトニンによる神経シグナル伝達を遮断するが、線虫に対する寿命延長効果にも、セロトニン受容体が関与しており、食事制限による寿命延長の基盤と似た機序がかかわっていることが明らかになった。

1つの可能性として、ミアンセリンが、実際の飢餓ではないが、飢餓と感じられる状態を誘導することが考えられる。

食欲刺激はヒトでのミアンセリンの副作用であることから、食欲と寿命の間に関連がある可能性が高くなってきた。

Letters to Nature p.553

2007年12月07日

クオラムセンシング

20071205_quorum_sensing.jpg細菌が集団で行動する仕組みを表す言葉なのだが、私は、この言葉を見る度に『赤信号、みんなで渡れば怖くない』を思い出してしまう。

今回、コレラ菌での機序の一端が解明されたとの事なのだが、人間の“集団心理”に見るような行動は、その人間密度の感知機構が存在して、それが何かしら遺伝子転写開始のシグナルになってやしないのかと・・・・・、ふと、また、突飛な事を思いついてしまった。

人間密度と言えば、都市部での高層マンションに暮らす生活様式を“がん細胞”にたとえた事もあるのだが、クオラムセンシングの面からも、人口過密状態での生活様式が与える影響がある事は間違いない。
(ということは、それをブロックしてやれば、人口過密状態での精神的ストレストレランスを誘導できる?)

コレラ菌の武装解除

Nature vol.450 (7171), (6 Dec 2007)

ある種の細菌はクオラムセンシング(菌密度感知機構)と呼ばれる仕組みをもち、シグナル伝達分子を使って情報交換を行い、遺伝子の発現を同調させることによって、あたかも多細胞生物であるかのような挙動をとることができる。

コレラ菌(Vibrio cholerae)はクオラムセンシングによって毒性を制御し、バイオフィルムを形成するが、このバイオフィルムが感染治療を難しくする一因となっている。

今回、コレラ菌のクオラムセンシングにおける主要なシグナル伝達分子(オートインデューサーと呼ばれる)のCAI-1が、(S)-3-ヒドロキシトリデカン-4-オンであることが明らかになった。

これは全く新しい生体分子である。これらをコレラ菌に与えると病原性に必要な因子の生産が終了するため、CAI-1投与はこの重要な病原菌に対処する新しい方法となるかもしれない。

Letters to Nature p.883


さて、先日、テレビで知ってビックリした事があるのだが、それは日本の食料自給率が4割を切っているって事だ。日本の台所事情のことは知ってはいたんだけど、先進国は軒並み100%を超えているという事は知らなかったわけで、“ビックリ”してしまったのだ。

本来なら“チョー、ビビっていい”事態だと思うんだけど、だれも“危機感”すら感じていないのも、日本では人間密度感知機構が働いているが故、すなわち、目の前の危機的な状況が“将来的な危機”を鈍感にさせてしまっている・・・・のか?


ところで、人間以外の生物でも“群”を作る種はあるけれど、個体数密度には上限が設定されている。そして、その密度を感知する“何か”を持っている。人間は大脳皮質を進化させた代償に、そのセンサーが鈍くなってしまった。それ故、生きていく為の“基本中の基本”である“食物の確保”を疎かにしてしまう・・・・。

でも、こっちからじゃ先進国の自給率が100%を超えている事を説明出来ない。

無理やり説明しようとすれば、“本能”としての“危機感”ではなく、大脳皮質で食料自給率100%を超えさせていると・・・・。だとしたら、、、、、


---日本人、頭、悪いんじゃん---


食料自給率は4割以下、HIV 感染は先進国のなかで唯一増えつづけているニッポン!若者の意欲のないニッポン、努力する甲斐がないニッポン、、、、、みんなで同じなら怖くないんだよね。結局、日本人ってバクテリアに似ているって事か・・・。

頑張らなくても生活できるニッポンは、やっぱり“虚構”だな。(民主党のうそつき!)

2007年12月14日

過ちから学べ(Learn from Your Mistakes)

20071214_GT-R.jpg『子供は誉めると伸びる』
『子供は叱ると伸びる』

子育論にも、それぞれの“宗派”が存在する事は誰でも知っている。同様に社員教育とか社会人として、或いは大人としての“教育”にもそれぞれの“方法論”がある。それぞれを取り入れて『私のところは成功した』なんて類の話は、育児関連、ビジネス関連には多い。

しかし、この論文にある成功と失敗が学習に与える影響(の感受性)ってのは広い意味での“生命維持”に関してだとは思うんだけど、もっと高次元の学習にも影響を与えているとすれば、『遺伝子多型を調べれば、その人にとって、どういう教育法がいいのか、一発でわかるジャン』っ事になりそうだ。

過ちから学べ(Learn from Your Mistakes)

Science December 7, 2007, Vol.318

人間の体験は、われわれ自身の行為がそれに続くポジティブなあるいはネガティブな結果に影響を与えているという学習に基づいている。

報酬があると、文脈的な刺激と行為の間の結び付きが強化され、それによって、成功した行動が強化、維持される。

一方、罰があった場合には、間違った行動を回避するようになる。

通常、われわれはポジティブ、ネガティブ双方の強化から学習しているが、成功と失敗のどちらから相対的にどれだけ学習するかは、個人によって違っている。

Kleinたちは、脳のドーパミンD2受容体密度に関するヒトの遺伝子多型について研究した(p.1642)。

D2受容体密度が低いことは、失敗からの学習効率が低いことと関係していた。

D2受容体密度がより低いヒトは、ネガティブな行為の結果をモニターする領域として知られる後側中央前頭皮質(the posterior medial frontal cortex)におけるフィードバック関連活性が減少することによって、失敗から学習する能力が減少するのである。

Genetically Determined Differences in Learning from Errors
p. 1642-1645.1


だけど、、、、、誉めても叱ってもダメな個性も存在する訳で・・・・・


日産から GT-R が発売になった。私は虎視眈々と狙っているわけだが、それはいいとして。

この GT-R の発売に合わせて特集を組んだ“特別雑誌”が色々と発売になっている。その一冊を買って読んでいたら、開発主幹である水野和敏氏のインタヴューが掲載されていて、非常に興味をそそられた。

氏のポリシーとして、『少数精鋭でなければ良い物は作れない』があるわけだが、それは、、、

例えば、月に1万円の生活費しかなければ、人は知恵を絞ってやりくりする。だけど、月に100万円も与えられれば、人は無駄なものにも費してしまう。

端的に言うと、こういう事だそうだ。

金をかければ“豪華で華のある車”は作れるが、“良い車”は作れない。

氏は、こういう事をグループCカー(自動車レース)の監督時代に嫌というほど味わったのだと言う。スタッフが豊富だった時は、勝てない、覇気がない、ナイ、ナイ尽くしだったのが、スタッフの人数を半分に減らしたとたん、それぞれに責任感が芽生え、次の段取りも『これを用意しておいた方がいいですよね』と進言されるまでになったのだとか。

そういう経験から、GT-R の開発人員と経費は、なんと、スカイラインの半分にしたのだと。(GT-R からは“スカイライン”の名称は外されました。日産GT-R です)

その結果、少ない開発期間で、アレほどのものが出来上がったというわけなのだ。エンジンはエンジン、シャーシーはシャーシー、サスペンションはサスペンションの専門家達が、バラバラにそれぞれの都合で開発し、最後に帳尻を合わせていたのが今までの車だとしたら、GT-R の開発部隊は例えば『2速でフル加速している時には、ドライブトレーンにこれだけのトルク(ねじれ)が加わり、リアサスは何mm沈み込む。だから、駆動力を効率よく路面に伝えるにはバネレートをこれくらいにし・・・・、制御コンピュータからの指示は・・・・』などと各部署が有機的に連携して出来上がったのだと。(最後に帳尻合わせなんてやっている金も時間も無い状況に追い込んだ?)


私の持論も、『仕事のプライオリティを肌で感じる為には、ギリギリの人数で遣り繰りしてみる経験が重要だ』だ。不平不満が爆発する前に人員補充などをやってしまおうものなら、いつまでたっても『どれもこれも大事な仕事・・・、あぁ~いそがし』から脱却出来ない。知恵を絞って効率の良い仕事の段取りをつける力が引き出せない。


なのだが、、、、雑誌を読んで、ふと考えてしまった。

日産に入社できる人は、端からレベルが高い人たちだ。
誉めて伸びる子
叱って伸びる子
どちらにしても、“伸びる力”を持っている。

しかし、、、、、“伸びる力”を持っていないキャラクターだったら、少数にしたら表現形は“悪い方”にしか現れないのでは?と。誉めたらそれで満足し、叱ったら逆恨みするっていう個性は、けっこう居る。


まず、そういう個性を炙り出せる、いわゆる“試金石”みたいなものはないのか?と。(雇用する前にわかれば完璧!)


日本に定着している(最近は崩壊しつつある)学歴偏重だが、昔はそれなりに“試金石”として機能していたんじゃないのか、、、、と、改めて思い直してしまったのだが。。。。


そんなことを考えていたら、ふと、マクドナルドの接客マニュアルを思い出した。
『いらっしゃいませ!こんにちわぁ』のアレである。賛否両論、いろんな事をいわれてはいるが、“誉めても叱ってもダメな個性”を使うには、アレがベストなんだろうなぁと。

結局、~~雇用機会均等法、平等な~~、って言っても、能力に於いて個体差があるのは歴然としているわけで、要するに適材適所なら問題は発生しないのだ。GT-R の開発に“誉めても叱ってもダメな個性”は無理であろうし、そのまた逆に、能力のある人にはマクドナルドの接客マニュアルを押し付けても勿体無い。

能力のあるなしと人格を結び付けなければ、GT-R の開発している人は“偉い人”でマクドナルドの接客は“低レベルの人”とはならない。。。。。訳だ。。。。転職を繰り返す人を無能とみなす風潮にも問題があるだろう。適材適所でなければ誰だって仕事は嫌になるはず。合わなかっただけ・・・・そう、合わなかったのだ。

能力の無さも、合わなかったと言う言葉で表現すれば、、、、これは奇麗事すぎるかなぁ・・・・。皆が平等で同じではなく、早くから自分の能力を自覚していれば、適所にはまれるってことなんだけど、それじゃ『夢を見ちゃいけないのか?』なんて言われそうだし。。。。

難しいね。結局、なるようにしかならない。兎に角、飴と鞭の使い分けってのは、対象のD2受容体の発現率がわかっていれば、効率は良くなる。。。。。でいいのかな?

育児に悩んでいる人には、『育児書にいろいろ書いてあるけど、気にしないで、自分の思うとおりにやるのが一番』って事だろう。誉めて良い子もいれば、叱って伸びる子もいる。それを一番正確に見極められるのは、お母さん(とお父さん)なんだからね。とにかく叱ったり誉めたりしているうちにわかってくるんじゃないのかな。

“誉めても叱ってもダメな場合もあるって事を早めにわかっるって事”も含めてね!
(って、この論文、こんなオチなのかい??えっ?)

2007年12月19日

喫煙は男性型脱毛症の明らかな危険因子

20071219_storns.jpg《ちょい悪オヤジ》なんて言葉がある。しかし、日本人のちょい悪・・なんてのにはお目にかかったことは無いし、ワルになると“本物”みたいになっちゃうヤツばっかりだって思っていたら、矢沢永吉がかなりイイ線いっているって気が付いた今日この頃。

エアロスミスのスティーブン・タイラーしかり、ローリング・ストーンズのミック・ジャガーしかり、とにかく《ちょい悪オヤジ》ときた日にゃ、白人ばっかりだ。

モンゴロイドがやっかむのもわからないではないけどねぇ・・・。


さて、タイトルの研究だが、内容については、拙“お仕事ブログ”で書いたので、こっちでは別の切り口で・・・。


大人のかっこよさに憧れて、子供達はタバコを始める。私もそうだった。

ダウンタウン・ブギウギバンドの《スモーキング・ブギ》にもあるように、初めて吸って頭クラクラ、おまけに気持ち悪くなって嘔吐してしまった・・・・なんて経験のある人、いるんじゃないかな。

ジミー・ペイジがタバコを吸いながらレスポールを弾いている写真(ポスター)は、男子だったら部屋に貼ってあるってのがフツーだった世代に育った私は、これまた普通に喫煙者の道を歩む事になるわけだ。


---だって、タバコ吸ってた方がカッコいいじゃん---


くわえタバコでギター弾いたり、バイクにもたれたり、車を運転したり、、、実際にやったが、、、やる前から想像していた事を実行しただけで、自然に振舞っていたわけじゃなく、未来予想図通りの行動を取っていた・・・・わけだ。

高校生のくせに生意気にも、どんな仕草でタバコを吸うのがかっこイイか?友達と相談なんて出来っこなくて、一人で映画みたり、ドラマみたりして研究して・・・、どうやったらまわりを出し抜けるかなんて。

とにかく、周りにいた“カッコイイ”人でタバコを吸っていない人はいなかった。だから、ゲロ吐きながらでも、タバコを吸えるように努力したのに・・・・。


そんなちっちゃな努力を笑い飛ばすかのような、いや、むしろ、“カッコよさの追求”に全く逆行することをしてきてしまった“ばつの悪さ”“間の悪さ”をあざ笑うかのような研究結果が公表されたのだ。

喫煙は男性型脱毛症の明らかな危険因子

 喫煙は男性型脱毛症(AGA)の明らかな危険因子であると、台湾のグループがArchives of Dermatologyの11月号に発表した。

 同グループは、40~91歳の男性740人を対象に面接調査で喫煙と脱毛の他の危険因子、AGA発症年齢に関する情報を収集した。脱毛の程度の評価にはNorwoodとLudwigの分類を用いた。

 年齢と家族歴を調整後、中等度~重度AGAと喫煙〔オッズ比(OR)1.77〕、現在の喫煙本数 1 日20本以上(OR 2.34)、喫煙強度(OR 1.78)との間に有意な正相関が認められた。また、早期発症AGAのリスクには喫煙への用量反応パターンが見られた。中等度~重度AGAのリスクは第一度近親者、第二度近親者および父方近親者の家族歴により上昇した。

 この研究では、台湾人男性のAGA有病率は韓国人男性とほぼ同等だったが、白人男性の有病率よりは低いことが示された。

Su LH, et al. Arch Dermatol 2007; 143: 1401-1406.


私は、ちょっと前にタバコは止めて今は非喫煙者の身分だから、この“ばつの悪さ”はほどほどには効いてはいるが、どちらかというと喫煙者をおちょくりたい気分にさせる知見であることは隠せない。このネタで書くって事は、そういう事なんだけど・・・・。


ふと、読んでる時に、考えた。

ここからは、少し、マジメ!

私は初めてタバコを吸った時『こんな臭くて気持ち悪いもの、よく吸ってんなぁ』って正直、思った。で、嘔吐した後も、ムカムカ、ムカムカと、とても中枢を刺激して快感を与え、薬物依存を形成する・・・状態に至るなんてもんじゃなかったし、禁煙した時も、明らかに“ニコチン中毒者の離脱症状”は顕れなかったから、ニコチンパッチも貼る事もせずに成功しちゃったわけだ。

もしかしたら、吸い始めた時に“嘔吐”する身体反応を示した人って、基本的にニコチン中毒に耐性なのかもしれない。っていうか、薬物依存を形成しずらい遺伝子型なのかも。

吐きながらも無理して吸いつづけた結果、ニコチンその他の一過性の有害反応には“馴れた”だけで、依存は形成されない、、、ってだけだったのかもしれない。そういうタイプの喫煙者が、私以外にもいるとすれば、その見分け方は『ゲロしたかどうか?』かも。

タバコ吸いはじめにゲロ吐いた人!試しに禁煙してみたら?依存を形成してなきゃ、ニコチンガムもパッチも使わずに禁煙できるかもよ!食後の一服みたいな習慣は我慢しなくっちゃならないけどね。

かっこ良くなろうとして頑張ったのに、それが原因で逆にかっこ悪く(禿の人ごめんなさい)なっちゃうってんだから、禁煙しない手はないよね?!

2007年12月26日

Magnetic resonance imaging of male and female genitals during coitus and female sexual arousal

20071226_Draw_during_SEX.gifいやー、ビックリした。何がって、この論文、結構古いんだけど私は最近知ったもんで・・・・・。

『性交の間の男女の性器と女性の性的な喚起の磁気共鳴イメージ』と訳せばいいのだろうか、なんかこれだと生々しくないんだけど、研究の真っ最中を想像すると・・・。

http://www.bmj.com/cgi/content/full/319/7225/1596
(↑気になる人は、、、じゃなくって、絶対、リンク先見てね)


で、何をビックリしたのかと言うと、女性って特殊な環境でも絶頂を迎えられるんだぁ!って事だ。実験動物にされてるような、大勢の人に観察される中でなんて、絶対、そんなの無理だって思ってたから。

そりゃ、男は見られてたってシコシコこすられりゃ“イッちゃう”だろうけど、女性はそうじゃないだろう?!だって、中学生の頃、座右の書だった『HOW TO SEX』奈良林祥 著にも、『女性は心で SEX する。前戯に時間をかけて心をほぐし・・・云々』って書いてあったし。

エロビデオに出てくる AV 女優がオルガスムスに達しているのは、全て演技だと思ってたんだけど、この論文の被験者のように、このような環境でも“イッちゃう”人がいるのかと思うと・・・・、AV 女優達ももしかしたら本気で・・・・・、いってるのか?


20071226_MRI_during_SEX.gifさて、トップの図はよくある“絵”なんだけど、こっちのはずばり“やってる(ハマっている)最中の MRI 写真”だ。うーーん、ぜんぜんエロくないっ!(当たり前かっ?!しかし、30分もこの状態を保っていたなんて、エライ?でも、もしかして、そんなに時間がかかんないヤツあんのか?)

で、『気になる人は、、、じゃなくって、絶対、リンク先見てね』って書いたのは、この他にも、より興味深い“女性の性的な喚起の磁気共鳴イメージ”、すなわちイク時の経時的な MRI 写真があるからなんだよ。通常時とイク前、イッた20分後の磁気イメージが並べてあって、、、、、体の内部もこんなに変化するんだぁってカンジ・・・。


未来では、ベッドに 磁気共鳴イメージングスキャナが組み込まれて、性的パートナーがホントにイッたのか?イッた振りしてるだけなのかわかっちゃったりして・・・、そんでもって、パートナーを一度もイカせられなかった人は・・・・・・・。


『HOW TO SEX』と聞いて『ムフフ』となる御仁は私と同世代の方だろう。

中学当時、私はこれで得た知識をクラスのみんなに喋りまくって尊敬の眼差しを一身に集めていた。あの当時のアレの知識なんて、この本とか、平凡パンチとかプレイボーイくらいしかなく、今のインターネットの洪水のような情報量からすれば微々たるもんで、可愛いもんだったんだけど、なんか、当時の方が『エロかった』ような気がするのは、私だけではあるまい。

奈良林祥氏の本は抜かりなく買い、ワニのまめ本なるプチエッチな本までマメにチェックしに本屋さんに出かけていた。その頃、近所に本屋さんは数件しかなく、一番遠くまで買いに行ったものだ。

これでもかってほど、大股開きの女性の写真をみるより、見えそうで見えないシチュエーションがそそる・・・・、随分と前の『PROactive試験 と 9.11』でも触れたけど【脳の中の幽霊 ふたたび】のラマチャンドラン博士がチラリズムに注意が向くように動物の脳は進化したと言っているが、こういう事で過去に思いを巡らせると、実感できるなぁ。


やっぱり、SEX は秘め事だから“興奮”するんだよなぁ。コスって行くだけなんて、まるで動物の SEX だよ。単なる生殖行為。人間の SEX はもっといろんな意味があると思う。人間の脳は動物よりはるかに高等なんだから。

そう考えると、人に見られていても“イッちゃう脳”を持っている人が多くなっているって事は、人類の脳は退化し始めている????えっ!これは進化なの?進化というならば、何に適応するの?

・・・・・あっ!そうか、もう既にニッポンでは住宅事情のがん化が始まっているように、人の目、人の耳、人の雰囲気から隔離された空間でプライベートを保持する事が不可能になってるんだ。だとしたら、アノ声を聞かれてもイケる様ではないと、子孫を残せない・・・・。

・・・・・うーむ、進化・適応だ・・・・・(ホントカ?)


というわけで、多分、これがこっち(WebMaster's impressions)の今年最後のエントリーになると思います。あっち(WebMaster の嗜好)には書くかもしれませんが・・・。

本年も私の藪睨みにお付き合いくださいまして、感謝感謝です。来年もさらに藪睨みに磨きをかけて参りたいと思いますので、宜しくお願いします。

About 2007年12月

2007年12月にブログ「WebMaster's impressions」に投稿されたすべてのエントリーです。過去のものから新しいものへ順番に並んでいます。

前のアーカイブは2007年11月です。

次のアーカイブは2008年01月です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.37