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2009年10月 アーカイブ

2009年10月02日

FasLの非アポトーシス作用

20091002_evolution_theory.jpgこのタイトルに、ギョっとした方もいるのではないだろうか?私も、『ギョ』っとなった。

Fas のリガンドに、アポトーシス誘導以外の作用があるなんて!!

・・・・これは、とりもなおさず、Fas 自体に、そのようなシグナルを伝達する経路が存在していたという事だ。あるいは、経路を共用していた。。。。。

喩えれば、ゴルゴ13 がターゲットに向けて放った銃弾が、相手(場合)によっては致命傷にならず、それどころか“益々血気盛ん”になってしまう・・・・・みたいな現象だ!

細胞:FasLの非アポトーシス作用

Nature 461, 7264 (Oct 2009)

細胞膜貫通タンパク質であるFasL(Fas ligand)は腫瘍壊死因子ファミリーに属し、免疫調節で主要な役割を担っている。

FasLがその受容体に結合するとアポトーシスが誘導されるが、FasLの細胞機能の中で細胞死がどの程度重要なのかは明らかになっていない。

今回、分泌型FasLは欠くが膜結合型FasLの発現は正常であるマウス、あるいは膜結合型FasLは欠くが分泌型FasLは産生するマウスを遺伝子ターゲッティングにより作製して実験が行われ、可溶性FasLがアポトーシスとは無関係の機構で自己免疫と腫瘍形成を促進することが示された。

Letters to Nature p.659


進化論的に見りゃ、妊娠中、妊婦の血糖値が上昇するのは、太陽が東から昇るが如く、生理的だ。胎児は自分への栄養を多くする為に、母親の血糖値を上昇させる。。。胎児側の因子が、母体のインスリン抵抗性を惹起させるのだ。。。。。

その為に、胎児はすくすく成長するわけだが、、、、産後の栄養管理が行き届いた現代では、胎児がすくすく育つ事は、デメリットとして考えられるようになった。

論文中にある『しかし、胎児の過成長、肩甲難産、帝王切開、高血圧性疾患のリスクは減少した。』と言う言葉が如実に表している。。。。。


私は、このような状態を積極的に治療することが、はたして良い事なのか疑問に感じているのだが、、、、、

(小学5年生で自殺しなければならない子供を生み出す社会環境は、こんな所から始まっているのかも?本来なら淘汰されていた脆弱な子供が生まれる。生まれた後も過剰な介入。子供のささいな喧嘩に介入する教師も教師だが、それを問題にする親も親。虐められた子供の親の過剰な反応が教師の過剰な反応を誘導する。もしくはサボタージュを誘導する。世の中のすべてが、現象に過剰に介入しすぎるように思うのだが・・・・妊娠や老化に介入する・・・・良い事なの??そういゃ~、万引きした子供の親の中には、万引き出来ないようなシステムを作っていなかった店が悪いという輩がいるらしい。。。。妊娠中の高血糖が悪い事だというのに、少し似ている・・・・かなっ?)

軽度妊娠糖尿病に対する治療の多施設共同無作為化試験

A Multicenter, Randomized Trial of Treatment for Mild Gestational Diabetes

M.B. Landon and others


背 景

軽度妊娠糖尿病に治療を行うことで、妊娠の転帰が改善されるかどうかは明らかでない。


方 法

妊娠 24~31 週で、軽度妊娠糖尿病の基準(経口ブドウ糖負荷試験で異常を認めるが、空腹時血糖値は 95 mg/dL [5.3 mmol/L] 未満)を満たす女性を、通常の出生前ケアを行う群(対照群)と、食事療法・血糖値の自己測定・必要に応じてインスリン治療を行う群(治療群)に無作為に割り付けた。主要転帰は、死産または周産期死亡と、高ビリルビン血症、低血糖症、高インスリン血症、分娩外傷を含む新生児合併症の複合転帰とした。


結 果

958 例のうち、485 例を治療群、473 例を対照群に無作為に割り付けた。複合転帰の頻度に両群間で有意差は認められなかった(治療群 32.4%、対照群 37.0%、P=0.14)。周産期死亡はなかった。しかし、治療群では、対照群と比較して事前に規定した副次的転帰のうち、平均出生体重(3,302 g 対 3,408 g)、新生児脂肪量(427 g 対 464 g)、妊娠期間に比べて体重の重い新生児の割合(7.1% 対 14.5%)、出生体重が 4,000 g を超える新生児の割合(5.9% 対 14.3%)、肩甲難産の割合(1.5% 対 4.0%)、帝王切開の割合(26.9% 対 33.8%)が有意に減少した。また、妊娠糖尿病に対する治療の実施は、通常ケアと比較して、妊娠高血圧腎症と妊娠高血圧の発症率低下にも関連していた(2 つの複合発症率 8.6% 対 13.6%、P=0.01)。


結 論

軽度妊娠糖尿病に治療を行っても、死産や周産期死亡、新生児合併症を含む複合転帰の頻度に有意な低下はみられなかった。しかし、胎児の過成長、肩甲難産、帝王切開、高血圧性疾患のリスクは減少した。(ClinicalTrials.gov 番号:NCT00069576)


N Engl J Med 2009; 361 : 1339 - 48.
(C)2009 Massachusetts Medical Society.


インフルエンザの予防接種の案内が65歳以上の人を対象に届いている。私の母親のところにも届いた。色々と記入するところが多く、ブツブツ文句を言いながら書いている。

『効果あるのかなぁ?』と母

これに答えるには、ワクチンの投与経路により誘導される抗体の違いから始めなくてはならない。。。。いつもの事だが、説明が面倒(どうせ理解されない)なので・・・。

『やってみなきゃ、わかんないよ』と私。


巷でも、私の母同様、疑問に思っている人は多いだろう。


政府、行政、専門家・・・・・彼らの答えは、、、、ハッキリ言って、韻文調で“心に訴える答え方”なんだよなぁと感じる。


理論的に知性に訴える説明じゃない。


それが証拠に、筋注での投与では IgG クラスが誘導されるだけだから、感染予防には効果は無い。ただ、発症するかどうかは、産生される IgG の量による。量は体質とその時の環境によって決まる。。。。とは説明しない。

吸入(現在、開発中)ワクチンなら、インフルエンザウイルスの人体への侵入経路である粘膜面に分泌型 IgA が誘導されるから、この量が十分なら、文字通り感染が予防される事になるのだが・・・・・。

ポリオは感染経路通りにちゃんと飲ませてるのにねっ。(でも、ロジカルな説明はなされてるのかなぁ?お母さん方はしってるの?何故、注射じゃないのか?あっ、下手に説明しとくと、インフルエンザの時、困っちゃう?喉や気管から入るのに、どうして注射なんだ?ってやぶへび?)


ところで、感染の予防と発症の予防、、、、違いを理解している庶民はいるのだろうか?


新聞などでは、『発病しても重症化しない』と書いてある。まさに IgG が十分にあれば、サイトカインストームが惹起される体質の人を除いては、重症化しない。正しい事を書いてはいるのだが、、、、、語数制限しちゃイケナイよねぇ!理論的な話をする時には!


専門家じゃなくても話せばわかる教養のある人はいるはずなのに、ロジカルな説明がなされないのは、理解不能な人にレベルを合わせているからだろう。


これって、、、、、やっぱり、、、、宗教、、、それも仏教なら大乗仏教・・・だっ!


私が、常々、感じている“現代医療と宗教の類似性”は、こんな所から来ているのかしれない。


世の中(庶民)のコンセンサスでは、「血糖値が高い事は悪い事だ!」がある。

IIf "状態" ne "妊娠" {
print "「血糖値が高い事は悪い事だ!」"\n;
} else {
print "「血糖値が高い事は胎児には良い事だ!」"\n;
}

は、庶民には難しい!

ならば、すくすく成長する事も“悪い事=リスク”にしちゃえば、簡単!!


私の言う事を聞いていれば、幸せになれますよ!!
   なみあむだぶつ(念仏)
   ほうれんげきょう(題目)

おおっ!!

ゴルゴ13 のターゲットのターゲットのように、人体のナゾは、まだまだ深い。


医療で心に訴えるお話してどおすんだ?ってのが私のスタンスなんだけど、心に語りかけて欲しい人(患者)が多いのなら、『なるようにしか、ならねぇよ』じゃ救われないってのも、理解は出来る。


一体、私は、なにをしたいんだろう???


業界紙をみれば、薬剤師学術大会でどっかのバカが“これからの薬剤師”の仕事のやり方を蕩蕩とといているらしい。自分らで“患者に良かれ”と思ったことを押し付けてるわけだ。そんな事、望んじゃない患者だって多いのに。

これだって、『私に任せれば・・・・』だ。宗教だよ。


やっている事をサイエンスにしたいなら、サイエンスは“残酷”だという事を理解しなきゃ!価値観を押し付けて、私に任せなさいっ・・・・は、牧師や坊主の仕事だろう!!


・・・・・だけと、最近、お坊さんか牧師さんになりたい私。。。。。分子生物学は趣味にしたい。。。。。もう、すでに、趣味かっ!

(。_゜)☆\(ーー;)バキッ

2009年10月16日

日本人は地球上で最も進化した人種?

20091016_evolution.jpg加糖飲料への課税が、アメリカで検討されている。

厭世的にみるならば、日本じゃ、こんな制度の導入は、間違っても無理だと思う。

私の経験した範囲での具体例は角が立つので言えないが、日本人は民主主義を履き違えているという事だ。決まる前のみならず、決まった後でも、ごちゃごちゃ言えば道理が引っ込む。

民主党の若手議員は『政治の怠慢だ』と鼻息を荒くしていたが、彼らは、決して、嫌われ者、憎まれる者になる覚悟はないだろう。。。。背中を刺される覚悟で、職務を全うして欲しいものである。(前原大臣を見習え!)

政治家に“イイ人”なんていらないんだよ!


というわけで、NEJM Volume 361:1599-1605 October 15, 2009 Number 16 に掲載されている『The Public Health and Economic Benefits of Taxing Sugar-Sweetened Beverages』によると、、、、

課税は、、、
1.これらの飲料の摂取機会を減らす事
2.それによりヘルスケアの費用を下げること
の目的を達成する為の手段としては、その効果は余りにも小さいけれど、税収入が健康と関連しているプログラムのために、政府が健康 programs のために使用できる収入の手段としては有用である。

そして、連邦政府、いくつかの州および都市および一部の国(例えば、Mexico)は砂糖飲料の税を徴収することを検討している。

課税が、飲料の摂取機会を減らす事やヘルスケアの費用を下げることに寄与しないというのは、“謙遜?”なのか?

タバコへの課税を見れば、効果はある程度、見込めると思うんだけど。。。。(もしかしたら、論文には書いてあるのかもしれないが、私的な英語力の問題もあるため、じっくり読んでないので、頓珍漢だったら、ご容赦くだされ!!)


話はかわるが、、、、、

、、、、、恥ずかしながら、つい最近、知ったのだが、日本人の水疱瘡やおたふくかぜのワクチン接種率は30%なのだそうだ。

これは、第一三共がアクトヒブを発売するに当たって、この接種率を念頭に生産体制を整えたというところから知ったのだが、アクトヒブに関しては、見込みを大幅に上回る需要があり、大衆の意識に変化が現れ始めていると見ることも出来る。

大衆の意識と言う面からは、抗生物質への依存、、、というより、神話も翳りが見え始めているという。

大変、喜ばしい事だ。

上気道感染症で、『念のため』と処方されていた抗生物質にほとんど意味が無いことが、現場の小児科医にも浸透してきたのだと、よしだ小児科クリニックの吉田均医師が業界新聞のインタビュー記事で述べている。

髄膜炎菌に対する経口抗生物質は効果が無いのはわかっていても、その予後の悪さから訴訟リスクが高い為、かぜ患者に紛れ込む細菌性髄膜炎患者の見落としが無いようにと経口の抗生物質を多用してきた・・・・と。

外来小児科学会の調査チームによると、ここ5年間で抗生物質の処方は半減しているのだそうだ。


アクトヒブの接種率は100%が望ましいのだが、今後、どこまで伸びるのかは気になるところだ。


・・・・・が、それにしても、水疱瘡やおたふくかぜのワクチン接種率は30%は、低い・・・・。予防接種が嫌いな人がいるのは知っていたけれど、70~80%の人は、受けているものだと、なんの根拠も無く、思い込んでいたのだ。

医療に携わるようになって、20年以上も知らなかった・・・・・。

それに、海外ではとっくの昔に使用が開始されている髄膜炎菌ワクチンと肺炎球菌ワクチン、先進国の中では唯一、日本だけが導入されてない、、ヒブは2008年12月に導入されたが、それにしても、この違いは、何なのだろう・・・・・?????
 
 
 
前回のエントリーで、私は、『とろい車やミニバンは高速道路では引っ込んでろ』みたいな口調で、嫌みったらしく冒頭に書いた。

当然の事なのだが、不快に感じた人もいるだろう!

でも、そのように不快に感じる性質自体が、ワクチン接種率30%に繋がるんじゃないかと思っている。


要するに、ワクチン接種は一義的には自分の為なのだが、回り回っての因果による“自分の為”と見る事も出来る。

だから、ワクチンを接種するのは、利他行動ともみなせるわけだ。

そういえば、利他行動はチンパンジーも見られる・・・・ってニュースでやってたっけ。あれを自分にメリットのない行為って解釈もできるんだろうけど、チンパンジーは自分がジュースの近くにいた時には、ステッキを差し出してもらえるように・・・・と、未来への投資、、、互恵的な利他行動との解釈も出来るはず。まぁ、それはおいといて・・・・


アウトバーンで追い越し車線を遅い車が走っていたら、猛烈にパッシングと警笛を鳴らされるという。ノソノソしていたら、通り過ぎざまに、中指を立てられる事もあるのだとか。

でも、ヨーロッパの人達は、それに目くじらを立てているわけじゃない。日本のように追いかけて刃物で刺すなんて事件は、聞いたことが無いからね。

多分、彼らの気持ちは、こういうことだろう。

現在の自分は遅い車に乗っている。だけど、将来は速い車に乗るだろう。その時、遅い車に前方を塞がれたら、迷惑だ。自分の不利益だ。

相手の立場に立てば、道を譲ってもらったほうが良い。だから、現在の自分は道を譲ろう。(自分がして欲しい事を他の人にしよう・・・・とは、新約聖書に書いてあるイエスの言葉だ)

道を譲るという現在の自分を犠牲にする行為は、将来の自分の利益に繋がる・・・・。
 
 
 
日本人には、この“互恵的な理知行動”が、おもしろいように見られない。

“互恵的な利他行動”は、生物が進化する過程で獲得した能力だ。

カビにすらみられる。

進化:「高尚な」変異株が不正を打破する

Nature 461, 7266 (Oct 2009)

タマホコリカビ類(Dictyostelium)などの社会性アメーバは、繁殖に際して子実体を形成するために、個体どうしが協力する必要がある。

こういう過程では、ほかのどんな社会でもそうだが、代価を負担せずに恩恵を受ける不正な個体が極めて生じやすい。

しかし、不正を働く個体がいつもいい目を見るとはかぎらない。

不正行為は、血縁識別や不正個体の適応度の低さなど、さまざまな機序によって制限されている。

理論的に、不正個体への抵抗性をもつ変異体も発生することが示唆されており、今回キイロタマホコリカビ(D. discoideum)で、不正個体抵抗性系統が分離された。

抵抗性系統は必ずしもほかの系統から搾取するわけではなく、そのため協力が保たれることから、不正個体への抵抗性は「高尚な」戦略のようにみえる。

Letters to Nature p.980


だから洋の東西を問わず、ヒトに普遍的な行動として確認できてよさそうなものなのだけど。。。。


日本人の、利己主義、自分勝手、自己中心的な振る舞い、モラルのなさ、、、、これは、一体、どうした事なのだろう???

バクテリアにも見られ、カビにも見られ、チンパンジーにも見られ、、、、なのに、日本人は、『保険料払ってんだから、元をとらなきゃ』って病院に来る。。。のに、予防接種は、パス・・・。。。。日本人全部じゃないけど、、、、。

一体、何故???


本来なら、不正をする(自己中)な個体は、村八分にされる。日本でも、昔、そうだった(みたいだ)。でも、ある時、日本人は、自分たちの文化を恥じた。そして、不正を働く個体をも、寛容することが、文化的なんだと、民度が高いんだと思いこんだ。。。

のかもしれない。。。。

いずれにせよ、簡単には解明できる事じゃないだろう。。。。

もし、日本以外には、不正をする(自己中な)個体に、利益享受を阻止するシステム(村八分に限らず)が存在するなら・・・・・


日本人は、もっとも、進化した民族・・・・・?だって、地球上の生物の基本から外れつつある・・・・・。


日本の文化・・・・などと、文化って言葉を安易に使うと、恥をかくかもしれないから、ご注意あれ!!

広まる農民たち(Cultivating Farmers)

Science October 2 2009, Vol.326

現代ヨーロッパ人の祖先は、隣接する文化から農業のやり方を吸収してきた狩猟採集民だったのか、それとも新石器時代初期に近東から移動してきた農民だったのだろうか?

紀元前13,400年から2300年までの骨から得られた古代の狩猟採集民のDNAを分析することによって、Bramantiたちは、ヨーロッパの氷河期の狩猟採集民と、ヨーロッパ最初の農民、そして現代ヨーロッパ人の遺伝的関連を調査した(p. 137,9月3日号電子版)。

その結果は、狩猟採集民と初期の農民との間、また狩猟採集民と現代ヨーロッパ人の間の直接的な連続性を否定するものであった。

ヨーロッパ中央部および北部の主要な部分では、7500年前に入り込んできた農民によってコロニーが形成された。

彼らは、それまでそこに常在していた狩猟採集民の子孫ではなかった。

つまり、文化の拡散ではなく、人の移動こそが、ヨーロッパの農業社会を駆動するものだったのである。

Genetic Discontinuity Between Local Hunter-Gatherers and Central Europe’s First Farmers
p. 137-140.

2009年10月19日

クラリスロマイシンとインフルエンザ

20091019_knottiness.jpg今回のエントリーは、私の現場での生々しい出来事。。。。なんちゃって。。。。


某メーカーから、『クラリスロマイシンの粘膜免疫増強作用とインフルエンザウイルスの感染抑制効果』ってタイトルの印刷物を貰った。

読んでみたら『えっ、えっ、ちょっと、まってぇ~』って、感じだった。


つっこみどころは、裁判で言えば、『主文、被告人を~~~』じゃなくって、暴論、、もとい、傍論のところ・・・・・だから、クラリスロマイシンの効果とは関係ない。

う~ん、、だけど、気になる・・・・知らない医療人は、、、、誤解するじゃん、、、、それって、よくなくない???でも、誤解しても大勢に影響はない・・・・けど。

っていうか、メーカーの持ってきたものを、じっくり読んじゃイケナイ???


で、その突っ込みを入れたくなったのは、、、、

   ・
   ・
1.ヒト型インフルエンザウイルスの増殖率と組織障害性は、気道粘膜上のプロテアーゼとその阻害物質、さらに分泌型IgAの存在量比で決定されている。

細胞から出芽したばかりのヒト型インフルエンザウイルスの膜融合蛋白質のHAは、前駆体型のため膜融合活性を示さず、ウイルスはこのままでは感染性と増殖性を示さない。

このウイルスが感染性を持つように変化する為には、前駆体型のHAがプロテアーゼによって限定分解を受けて成熟型に変換される必要がある。しかしインフルエンザウイルスは、他のウイルスと違ってプロテアーゼ遺伝子を持たないため、ウイルス膜融合蛋白質前駆体の限定分解には感染宿主のトリプシン型プロテアーゼを利用しなければならない。その為、宿主細胞のトリプシン型プロテアーゼがウイルスの感染性と増殖性を決める重要な因子となっている。。。。
   ・
   ・
ってところ。。。。

最初、出芽する時、HAからNAによりシアル酸が切り離される、、、、って話しかなぁ?って。だけど読み進めると、なんか違うんだよ!(ココ!タミフルのターゲット)

アラ、コレ、ウイルス粒子のRNAが宿主細胞質中に放たれる直前に、HA自体が“ちょんぎれる”話だ。

でもこれ、読むと、出芽したウイルス粒子が、他の未感染の細胞に吸着する前に、HAが分解されて成熟型にならねばならないって読めるよねぇ?

推理力を働かせるにしても、日本語の表現の限界であるにしても、どうやっても、吸着後、エンドソームを形成し、細胞内に取り込まれた後の、、、、というイメージは描きにくいんじゃないかなぁ!

いずれにせよ、吸着する前にHAがトリプシン型プロテアーゼで切断されてしまっては、吸着できない。だって、吸着する為のHAのシアル酸認識部位は、切断され捨てられちゃう側にあるんだから・・・・。

シアル酸認識部位を持たない、成熟型?HAで、どうやってウイルス粒子は宿主細胞を目指すというのか・・・・?


この論文の趣旨は、こんな所にあるわけじゃないので、端折ったのかも知れない。。。。でも、端折りすぎ・・・・だと思いませんかぁ?


さてさて、前回のエントリーで、小児感染症に“抗生物質”の使用が少なくなってきたって事を書いた。

喜ぶべき事だとも書いた。

そういうご時勢の中、過日、お子さんを持つお母さんから電話を貰った。

質問の趣旨は、「抗生物質を飲むと、子供にアレルギーを発症しやすいって聞いた。夫婦共にアレルギー体質なのだが、病院で貰った抗生物質は飲まなければならないか?」というもの。

私は、感慨にふけってしまった。。。。衛生仮説(hygienehypothesis)も、世のお母さん方に浸透しつつあるんだぁ。。。。って。
ウルウル(T_T)ウレシイ

と、涙ぐみながら、患児の抗生物質絶対適応の有無を確認し、、、、、、、、抗生物質の免疫系の発達に与える服用の頻度と量とのバランスを、、、、、、、で、、、、、、、と、アドバイスした。。。。。(かなり脚色中・・・)

免疫学が好きで進化にも手を出したせいかどうかわからないけど、私は、常在微生物は、ヒトの発達・発育に関与しているって感じている・・・・・っていうか、あたかも、ヒト細胞中のDNAに足りない遺伝子を常在微生物の持つ遺伝子が補完している・・・・ように感じている。(成人の抗生物質とアレルギーの関係は“まゆ唾”っぽい?)


タミフル登場で、世の中のコンセンサスが、「インフルエンザはウイルス性疾患で、ウイルスには抗生物質は効かない」って浸透してきたところなのに、『クラリスロマイシンがインフルエンザに効きます』なんてやったら、20年、逆戻りしちゃう。

私は、クラリスロマイシンに“抗菌作用”がある限り、この「インフルエンザに効く」って現象を臨床応用する事に“賛成”するつもりはないなぁ。だって、理屈からすりゃ、予防的に飲み続けなきゃ意味ないんだからねぇ。

メーカーは、この粘膜免疫増強作用だけを切り離した薬剤を開発すべきだ。予防投与できる“抗インフルエンザ薬”として。

まぁ、治療にしても予防にしても、タミフル、リレンザがショボイので、次の一手が開発されるまでの間の繋ぎで、『抗菌作用を期待して投与しているわけではない』を患者さんに理解してもらい、同意の上で、投与するのは吝かではないけれど。。。。。
 
 
 
再度、くどいけど、書いておこう。インフルエンザ粒子がシアル酸をターゲットにHAを使って細胞に吸着し、その後、エンドサイトーシスに細胞内に取り込まれ、そのエンドソーム内で、HAがトリプシン型プロテアーゼで切断され、、、、(アマンタジンのターゲット M2プロトンチャネルが仕事するのも、この状態の時)、、、、、その後、インフルエンザRNAが細胞質に放出され、複製され、成熟して、宿主細胞膜に裏打ちするように並び、その後、出芽する(出芽した後、遊離するのを阻害するのがタミフル)。

簡単だけど、コレくらいのウイルスライフサイクルは押さえておかないと、薬の作用機序は理解できないよん。

シアル酸は全身の細胞に発現している糖鎖だから、インフルエンザ粒子は、血流に乗って全身に移動し、血管内皮細胞も含め全身の細胞に吸着し、取り込まれる。。。。が、HAを切断できる酵素を発現している細胞が、気道粘膜に限局されるから、インフルエンザウイルスにより破壊される細胞は、気道粘膜に限局される。。。。しかし、このトリプシン型プロテアーゼで切断されるHA側の部位の遺伝子領域は、変異しやすい、、、、。

ここまでが、基本中の基本・・・で、さらに、要所々々で、免疫学的な人体の側の個性が顔を出すから、ややこしいが、ここは、きっちりと分けて考えられるようになっておきたいところ。

全身に普遍的に存在するプロテアーゼで切れちゃうアミノ酸配列をコードする塩基配列に変異したら、、、、、、全身の細胞が破壊される。強毒性型のウイルスだ。また、人間の側の個性で、切断しちゃうと、そのウイルスは、その人にとっては強毒型のウイルスとなる。逆に、強毒型のウイルスでも、100人中100人死なないのが、ヒトの多様性。

んで、発現するプロテアーゼとそのインヒビターの発現量に個人差がある・・・・・。どうして、プロテアーゼとそのインヒビターを同時に発現してるんだ?人体は?ブレーキ踏みながらアクセル踏んでスピード調節してるみたいなもんじゃん??って問いには、赤芽球とエリスロポエチンの関係を例にするとわかりやすいかも!要するに、冗長が生命の“ロバスト性”を実現しているわけよ!

タミフル、リレンザの作用機序は、出芽するまでを許してしまう。だから、強毒性型のウイルスに効くって思っている人は、オメデタイ。

この理屈の強毒性型のウイルスが出現したら、、、、、、タミフルよりクラリスロマイシンの方が、効きそう、、、って思うのは、自然な事だ。。。。ただ、クラリスロマイシンの“理屈”が、試験管内ではなく、人体で効果的じゃなければならない。最近じゃ、ヒトから取り出した細胞使っての試験管内のことも、in vivo って言ったりするらしく、ややこしいから“人体実験で”って言っておくけど。。。。

じゃ、香港で流行したH5N1型鳥みたいに、NS1遺伝子が関与するサイトカインの働きに“抵抗を示す”タイプの強毒型のウイルスの場合は、、、、、どうなるんだ??

まぁ、クラリスロマイシンは、感染の最前線、すなわち粘膜での侵入を許さないって理屈だから、効きそうだけど、、、、“人体で”で証明できなきゃ・・・ねぇ!?
 
 
と、余韻を残しつつ、次回に続く・・・・・・・(のかっ?)

2009年10月24日

『失われた眠り、取り戻される記憶』と『ハエの人工記憶』

20091024_hae.jpg睡眠不足による記憶や認知の障害が、薬で抑制することが出来る・・・・って聞くと、覚せい剤??ノリピー??って思うだろうけど、違うんだなぁ、これがっ!

答えは、ホスホジエステラーゼ阻害剤。

オイオイ、それって、普通に使ってるジャン!!

ってことで、定期試験真っ最中?の学生諸君は、徹夜で勉強する時には、夜に1錠、朝に1錠飲んで、学校に行って試験を受けてみよう!!

人体実験だぁ!!もし、効果があっても、ライバルには言っちゃダメだよっ!

でも、間違っても、お父さんに『バイアグラ、くれよ』なんて言わないようにね!!

お母さんの為に使っているならともかく、そうじゃないことが発覚でもしたら、家庭崩壊・・・・!

まじめな話なら、喘息の友達がいるなら、つぶさに観察してみよう!!徹夜にめっぽう強かったりしたら、テオフィリンのお陰だったかも!!(って、まじめな話じゃないなぁ)

Nature 461, 7267 (Oct 2009)

睡眠が妨げられると認知機能に影響が及び、記憶や学習などの障害が起こることはよく知られているが、断眠が脳の機能に影響を及ぼす機構についてはわかっていない。

今回新たな実験で、サイクリックAMP経路、特に海馬のサイクリックAMP依存性プロテインキナーゼA(cAMP/PKA)に基づく可塑性の低下が、断眠が機能に及ぼす影響の標的であることが明らかになった。

ホスホジエステラーゼ阻害剤によってサイクリックAMPシグナル伝達を元に戻すと、記憶障害も回復する。

このことは、cAMP/PKAシグナル伝達の増強因子が、断眠が認知機能に及ぼす影響を抑止する治療法となる可能性を示している。

Letters to Nature p.1122


今朝、7時前に、携帯電話にメールが届いた。。。。

こんなに早く、、、何か悪い知らせ・・・・、なんてドキドキしながら確認すると、山形の後輩からだった。。。。「人工記憶」ハエに書き込み 英米チームが成功ってネタで。

今、それを調べていたんだけど、、、、、(asahi.com より)

『 ショウジョウバエに、ある種のにおいと同時に電気ショックを与える「訓練」を繰り返すと、その記憶をもとに、同じにおいを避けて動くようになる。研究チームは、そうした仕組みを担うショウジョウバエの脳の組織が12個の神経細胞(ニューロン)でできていることを突きとめた。

 光を当てる特別な方法で、訓練を受けていないハエの神経細胞を活性化させて「人工記憶」を書き込んだところ、ハエは危険を体験していないのに、そのにおいを避けるようになった。』

というもの・・・・・・・。

なるほど、ハエの場合は、『パブロフの犬』の条件反射が、たった12個の神経細胞で実現できているのかぁ!!こっちの方が、スゲェって感じるんですけどぉ。意外と単純なのかも!ヒトの条件反射も・・・・。

で、この12個が活性化していると、その匂いを避けるようになる。(ホントに匂いは特定できてんのか??)

ならば、12個を活性化してやれば、その匂いを避けるようになる。。。。?やったら、その通りになった・・・・。

でも、これ、記憶じゃないじゃん!条件反射は“記憶”って言わないジャン??それとも、生理現象の言葉の定義の問題?


まぁ、どっちにしても、朝も早よからのメールのやり取りでは、ハエの記憶から、映画マトリックスの世界に言及し、夢との相似から、ターミナルケアへの応用へと、話は飛んだのだった。

不治の病や老化に対しては、身体的な治療は意味が無い。ならば、他覚的には意識不明の状態でも、当人は、病気・老化のなかった頃の自分を夢見ながら(夢を見させられながら)、幸福のうちに死んでいくってのは、どうだい?ってね。

肉体至上主義で長生き=幸せの信望者たちからは、バッシングを浴びそうな話だけど。。。

まぁ、もっとも、ヒトの脳に刺激を加えて、夢もしくは幻覚を見させることが可能な時代には、脳以外の身体は、取替え可能になっているのかもしれないが・・・・。そうなると、脳の病気以外は、病気じゃなくなる・・・・・。

2009年10月26日

少子化対策をただす

20091026_childress_woman.jpgMMJ 10月号、巻頭のコラム『From Palece Side』に、国立生育医療センター名誉総長 松尾 宣武 氏の文章が掲載されている。

この(私の)エントリーの『タイトル』は、氏のコラムのタイトルを拝借したものなんだけど、氏の、虚飾を廃し、一切無駄なく、澱みのない文章に、私は感動して、こんな文章を書きたいと、読み終えてから、ずぅ~と、憧れて続けているのであった。

私の場合、下世話な喩えや、いやみ、こき下ろし、おだて上げ、、、と、とてもセンスの良い上品な文章とはかけ離れてしまっている。。。。はぁ、、、

下は、私の稚拙な文章と比較する為に必要があって引用する。他意は無い。

少子化対策をただす

国立生育医療センター名誉総長 松尾宣武

民主党・政府は少子化対策を発表した。その柱が「子ども手当」である。0歳~15歳までの子ども全員に月額2万6千円を支給する。総額は、税収40兆強の財政で、5兆円に達するという。

「子ども手当」導入は、生殖世代が経済的理由により、生む子どもの数を不本意ながら制限しているという現状認識に基づく。この前提が正しければ、「子ども手当」は出生率向上に有効と期待される。また、「子ども手当」の有効性を示す状況証拠として、子ども手当の引き上げにより、出生率が向上したEU諸国の先例がしばしば引用される。月額2万6千円の「子ども手当」は、フランス、ドイツなどEUの「子ども手当」の水準に順ずるという。

上述の現状認識は、率直に言って同意し難い。少子化の流れは、より根源的なものであり、女性の procreative liberty と深く関わる。大河の流れの如く、滔滔として、どのような方策によっても、揺るがないものと思う。米国においては、移民による人口増加が並行する為、少子化はわが国のように顕在化はしないが、子どもが1人もいない女性は急速に増えており、全米女性のほぼ半数は子どもを持たない女性であるという。少子化問題の研究者である Madelyn Cain 教授によると、子どもを持たない女性(childress woman)の子どもを持たない決断は、若い世代ほど、親や社会の影響を受けにくくなり、より多様で個人主義的なものになるという。

現在、わが国において、少子化が進んだ理由は、かいつまんで言えば、日本人が子育てに積極的な意味や価値を見出しえなくなった事による。「親孝行」や「家の継続」という育児の意味は、戦後社会が否定した。出産・育児が“必然”から“選択”に変わり、若年人口は劇的に縮小した。社会システム(社会保障制度、税制など)も世代間相互扶助(between generation)から世代内相互扶助(within generation)に変わる必要がある。

「子ども手当」は壮大な実験である。「子ども手当」という介入がどれほど出生率を引き上げた場合、政策効果ありと判断するのか、政府は outcome measures を導入する前に示す責任がある。また、補助総額と合計特殊出生率の関連は、単なる関連性か、因果関係によるか、交絡因子を介するものかを示す必要がある。また、サブグループ解析により、「子ども手当」の有効性・無効性を階層別に明らかにする必要がある。このため、study design の説明性とその開示を求めたい。

一見、子どもとその家族にやさしい「子ども手当」は国の債務総額をさらに引き上げ、返済義務を次世代、次次世代に先送りする可能性が危惧される。今後の動向を注視したい。


ちなみに、“交絡因子”とは聞きなれない言葉だと思うので、説明しておくと、、、原因と考えられる要因(予測因子)以外の、結果に影響を与える恐れのある因子のこと。例えば、喫煙者の心筋梗塞のリスクを調べる場合、心筋梗塞になるリスクの高い他の要因(高血圧など)が交絡因子となる。(読み方は“こうらくいんし”だよ)
 
 
 
いやいや、民主党の政策に対しての印象は、氏と同じなんだけど、私が書くと、こんなになっちゃうって例を挙げて、本日のネタにしたい。


民主党が選挙で圧勝した後、若手の一年生議員にスポットを当てた番組があった。。。一日の仕事が終わってから、事務室で帰り支度をしている時に、付けっぱなしのテレビから流れてきた若手議員の集会での話題についてなのだが、、、、

元産婦人科医のその新人議員は、お金がなくて、中絶する夫婦が多い事を力説している。『お金があれば、救える命がある』と。

その話を聞いていた、別の20歳代の若手議員は、鼻息荒く『政治の怠慢ですね。憤りを感じます』と、熱くなっていた。


愕然とした。呆れて、ものが言えなくなった。

ほとんどの場合、金が無いのは、自分たち夫婦が、物欲を満たす為に使いまくった後、残っているお金が少ないってことだろう!ブランドものの洋服、ブランドもののバッグ、はては、眺望の良いベイエリアの高層マンション、、、、そんなものを買い込んだ挙句に、『お金が無いんで、中絶します』なんだから!!

それが証拠に、極端な例では、子沢山家族、、野球チームが出来ます家族みたいな家庭も、日本には存在している。平均的な収入と、今までの控除や扶助があれば、育てていけるはずなんだよ!日本では!!!

日本の政治家もマスコミ並みに、弱者でもないものを弱者に仕立て上げ、誰かを悪者にしてそいつを叩けば結果は得られる・・・みたいな大衆受けのよい言葉を発し、庶民感覚に与し易いところがあるけど、もしかしたら、本物のバカかもしれないって、思った。


となっちゃうところを、、松尾 宣武 氏は、『少子化の流れは、より根源的なものであり、女性の procreative liberty と深く関わる。・・・・・現在、わが国において、少子化が進んだ理由は、かいつまんで言えば、日本人が子育てに積極的な意味や価値を見出しえなくなった事による。・・・・・出産・育児が“必然”から“選択”に変わり、、、、、』と、さり気なく、力強く書いている。


民主党のその新人議員は、産婦人科医をしていたという。オイオイ!一体、この現状認識の違いはなんなのだ??

多分、自分の存在を示したいパフォーマンスなのだろうが、本気にしちゃう馬鹿な新人議員への影響をどうするつもりなのだろうか??

金ばら撒いた後、子ども増えなかったら、誰が責任とるんだぁ、ああっ??


って、私なら書いちゃうところを、『「子ども手当」は壮大な実験である。「子ども手当」という介入がどれほど出生率を引き上げた場合、政策効果ありと判断するのか、政府は outcome measures を導入する前に示す責任がある。また、補助総額と合計特殊出生率の関連は、単なる関連性か、因果関係によるか、交絡因子を介するものかを示す必要がある。また、サブグループ解析により、「子ども手当」の有効性・無効性を階層別に明らかにする必要がある。このため、study design の説明性とその開示を求めたい。』と、こうなるんだからねぇ!!


う~ん、素晴らしい!!


私も、こんな、知的でクールな文章を書いてみたいものだ。。。。。


ところで、本日、薬剤師会(薬剤師連盟)から、私宛に封書が届いていた。現在、浪人中の元参議院議員の後援会名簿を作るので、周りの人を巻き込んで、1人でも多くの署名を集めてくれというものだった。。。

その記名用紙の紹介者欄には、既に、私の名前が印刷されている・・・・ということは私の連盟への貢献度が、一発でわかってしまうという仕掛けになっている。


---冗談じゃない---


政治信条と思想の自由は、憲法で保障されているはず!!働くようになって、自動的に薬剤師会に入る事になったが、選挙の応援なんて、約束した覚えはない。


私は、生理的に嫌いな“菅直人”だが、彼が、タバコ税の増税を目指していると聞くに及んで、野党に下る前に、是非、実現させたいと思っている。加糖飲料への課税を調べている中で知ったのだ。私は、これも法制化すべきだと思っている。公衆衛生や国民の健康増進の為には、必須なものだと思う。。。。

なのに、薬剤師連盟の推す何某は、ポリシーが曖昧で、『なに言ってんだ?お前!!』『そんなこと、世の中の為になるのか?効果あるのか??』ってなっちゃうから、話にならないのだ。好きでも嫌いでもないけど綺麗ごとばっかり、(我々薬剤師に)受けのよい事ばっかり言う奴は、信用しない事にしているもんでね。。。


あっ、この辺を、さらりと言うとすれば、、、『今後の動向を注視したい。』でまとめるのが良いのかなっ?(でも、俺が言ってみても、ぜんぜん、迫力無いよなぁ!)

2009年10月27日

学校保健安全法

20091027_altruism.jpg娘の学年が先週の水曜日から閉鎖になっていた。インフルエンザにより。

お知らせには、学年閉鎖中の過ごし方がかいてある。「なるべく、そとにはいかないようにしよう」って。。。。

副詞によって頻度を表す場合には、「まれに(0.1%未満)」、「ときに(5%以下)」が常識の職業柄、このような“表現”を安易に使われると気になってしょうがない・・・が、まぁ、それはいいとして。


休み中の宿題も、たっぷりと出されていた・・・・・・。

それを、昨夜、娘と一緒にやるハメになった・・・・・・。


---ハァ、インフルエンザ、ウラメシヤ---


これが本日のエントリーのモチベーション。

というわけで、インフルエンザに罹患した場合、学級や学年、学校を閉鎖する根拠は如何に?と、調べていたら、凄い事を発見してしまった。

知っている人には、なんでもないことだけど、知らなかった私は、開いた口が塞がらなかった。。。。


“学校保健安全法”という法律がある。その中に児童・生徒が感染症に罹患した場合の対処の方法が書いてある。

【第四節 感染症の予防】

(出席停止)
第十九条  校長は、感染症にかかつており、かかつている疑いがあり、又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる。

(臨時休業)
第二十条  学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。


で、上の第19条の“感染症”の区分だが、、、、
【学校感染症】

学校は集団生活を行う場であるので、感染症を起こした児童は出席停止にし、他の児童に感染を起こさないように管理することが求められている。そこで、学校保健安全法施行規則では、学校において予防すべき対象となる感染症(学校感染症)が指定されている。

■第一種
感染症法の第1類、第2類の疾患(結核を除く)が相当する。治癒するまで出席停止である。

■第二種
飛沫感染をするため、学校において流行する可能性が高い感染症である。出席停止の基準が感染性が認められなくなるまでという基準であるため、疾患によって基準が異なってくる。これらの基準は疾患が治癒したとは同義ではない。

インフルエンザ:解熱後2日間経過するまで。
百日咳:特有の咳が消失するまで。
麻疹:解熱後3日間経過するまで。
流行性耳下腺炎:耳下腺の腫脹が消失するまで。
風疹:発疹の消失まで。
水痘:全ての発疹が痂皮化するまで。
咽頭結膜炎:主要症状消退後2日経過するまで。
結核:医師によって感染の恐れがないと認められるまで。

■第三種
飛沫感染はしないものの、集団生活においては流行を広げる可能性が高い感染症である。全ての疾患において医師が感染の恐れがないと認めるまで出席停止となる。腸管出血性大腸菌感染症、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎などが該当する。
なお、学校感染症第1種はあくまで感染症法1類、2類であるので、感染症法19条、20条、および26条によって、都道府県知事の入院勧告、措置の対象となる。入院をしなければならないので、当然学校も出席停止となる。


ふぅ~ん、色々とグレードがあるのねっ!

で、学校感染症での第一種ってのは、、、感染症法の第1類、第2類の疾患ってことだから、、、

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

◆第6条 この法律において「感染症」とは、一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症、指定感染症及び新感染症をいう。

 2  この法律において「一類感染症」とは、エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ病及びラッサ熱をいう。
 3  この法律において「二類感染症」とは、急性灰白髄炎、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフス及びパラチフスをいう。

・・・・・・・・・・・・

えっ???さっき、新型インフルエンザは“第一種”に相当するって、ネットで見かけたぞぉ!!!

ってことは、、、、新型インフルエンザは、、、、

ななななな、なんと、、、、、

・エボラ出血熱
・クリミア・コンゴ出血熱
・ペスト
・マールブルグ病及びラッサ熱
・急性灰白髄炎
・コレラ
・細菌性赤痢
・ジフテリア
・腸チフス及びパラチフス

と、同じ扱いだったのかぁ!?!?


---あんぐり---


新型インフルエンザって、エボラ出血熱と同じ。。。。。。


これ、すでに、私の脳細胞のイオンチャネルに Na や K が行き来する次元を超えてしまっている。感情が沸かない、喜びも、悲しみも、怒りも、驚きも、、、全ての感情が喚起されない・・・・・・。


いや、エボラ出血熱なら『感染を拡大しない為』って趣旨は、よく、わかるんだよ!!インフルエンザにしたって、諸事情を斟酌した後、学級、学年、学校閉鎖になるって言うんなら、『感染を拡大しない為』って趣旨は、よく、わかるんだよ!!


ところで、鳩山首相が所信表明演説を行い「友愛政治実現」を訴えたそうだが、いたるところで、非難轟々なのは、ちょっとかわいそう。“友愛”は言ってみれば“互恵的利他行動”に他ならない。。。。が、、、

私が、今朝、“学校では新型インフルはエボラ出血熱と同じ扱い”ってのを知ったサイトの執筆者は、学校を休んで他人に感染を広げない行動を“友愛”としみなして、鳩山首相に、「国民のみなさん、友愛の気持ちをもって『新型インフルエンザ』の感染拡大を防止しようじゃありませんか!」と言って欲しいなんて書いていた。

でも、“友愛”が“互恵的利他行動”に見なせるとは言っても、感染を広げない行為に用いると、なんか、違和感を感じる。。。。日本以外の国では、インフルエンザごときで学校は閉鎖できないわけで、学校を閉鎖する事を“友愛”にしちっゃたんじゃ、諸外国の連中は、鬼のごとき奴等って事になっちゃうジャン!

言葉が“優しすぎる”っていうか、見返りを求めず他人に優しくみたいな、なんか“怪しい”響きがあるんだよねぇ。。。。(医療行為に慈愛とか慈善を求めると、きな臭くなるのと似ている。歴史上に突如として出現する偉人たちの行動を全ての医療人に求められても・・・ねぇ?)

イエスだって、磔刑に処される(利他行動)前日にも(ゲッセマネの園にて)、さらには直前にも、『俺に、何か良い事、利益はないのか?』と悩み叫んでいる。(こんな言い方はしてないけど)でも、イエスの場合は、見返りのない、究極の利他行動をとったから、神になれた。

普通の人間は、生物なんだから、最終的には、自分の為に行動するのが当たり前で、それを前面に出した方が、楽になれるし、現実的だと思うんだけどなぁ。ドメステッィクに“いい子ちゃん”でいられても、グローバルに見れば化けの皮が剥がれる・・・。


いや、でも、ほんと、鳩山首相を庇うわけじゃないけれど、首相が支離滅裂にならざるを得ないのは、連立が原因で、連立しなきゃならないのは、参議院で過半数に満たないからなんだから、世論は、『俺たちは、民主党は選んだけど、社民党や国民新党は選んでない』って、声を大にすべきだよね。

そこが、根っこなんだから。

・・・・・・・ということは、鳩山政権は根っこが腐ってるってことかぁ!

クールに表現すれば、「キャスティング・ボートを握っているのが、亀井、福島両氏」という事になるんだろうけど、私には、やっぱり、「根っこが腐ってる」の方が似合ってるみたい。

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