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2011年01月 アーカイブ

2011年01月07日

アルツハイマー治療の周辺に新キャラクター登場?

20110107_Mimicry.jpgEphB2受容体について、本日、Nature Japan ホームページを覗いて、『フーンっ!』。

いや、全く知らなかったから。この受容体。で、早速、調べてみたのね。そしたら、、、、アルツハイマーとの関連で Hit するのって、、、、、ないっ!(アルツハイマーと関係の無いところではチラホラ見かける。脳神経の分野なんかで)

個人のブログでは、Office Oh!NO でも勝手にお気に入りリンクを貼らせてもらっている“内科開業医のお勉強日記”さんが、2010年11月末に取り上げているだけだ。

このお医者さんは「EphB2は、受容体とともに酵素としての役割をもつ、coolな分子であり、、」と、評している。。。う~ん、“coolな”って使いどころが、カッコイイですねぇ!!

で、私が『フーンっ!』となった論文は、、、、、(要旨だけ引用します)これ。

医学:記憶障害の一要因であるEphB2

Nature 469, 7328 (Jan 2011)

EphB2受容体がアルツハイマー病にかかわることは、関連解析により以前から示されている。

この受容体は、さまざまな生物学的機能を調節するチロシンキナーゼ型受容体の大きなファミリーの1つに属しており、アルツハイマー病でのその役割はまだ解明されていない。

今回Cisséたちは、アミロイドβオリゴマーがEphB2と相互作用して、その分解を引き起こすことを明らかにしている。

EphB2はNMDA型グルタミン酸受容体を調節していて、正常マウスでEphB2が大幅に減少するとNMDAR電流が弱まり、長期増強が障害される。

NMDAR電流と長期増強は共に記憶形成に重要である。

アルツハイマー病のマウスモデルの1つでEphB2レベルを高めると記憶が改善されることから、アルツハイマー病ではEphB2の濃度あるいは機能の増強が治療に有効となるかもしれない。

Articles p.47
News and Views p.44


うんうん、確かに、《アミロイドβオリゴマーがEphB2と相互作用して、その分解を引き起こす》って書いてある。

一粒で二度おいしい・・・・・って覚えとくとイイカモ!(ホントは、二度だけじゃないんだよねぇ。生命現象って、冗長で多重で、、、、、)


さて、武田薬品工業の MR 氏が、新年の挨拶にやってきたとき、、、、

「今年は、なんか、新薬出んのか?」
「ハイ、アルツハイマーのが」
「おおっ!なんか、画期的なヤツ、あったっけ?オタク?」
「いえ、アセチルコリンってヤツっす」
「なぁ~んだ。まだ、そんなのだすんだぁ」

とはいえ、武田薬品工業の台所事情は厳しいらしい。私は、個人的にジェネリック否定派(ブランドを変えろってのは、間違ってる。最初からジェネリックでコントロールするのは、肯定するけど)だから、ゾロ対策の為の“配合剤”は、部分肯定だ。

最近、健保組合が「薬を変えろ!許可しない医師がいたら、病院変えろ」と、文書を配信しているらしい。

この、“くそったれ”な作戦に対抗するには、配合剤しかない!(正月早々、しかも、今年初のエントリーなのに、下品な表現ですねぇ・・・)

「この薬には、ジェネリックは無いんですよねぇ」って。。。。言えるじゃん。くそったれにはくそったれな作戦で、、ってこと。

おっと、脱線。

だから、MR 氏に、「どんどん、配合剤、だしちゃって」と。

でも、アクトスとネシーナの配合剤は、、、、当局に、放置プレーされてるらしい。。。かわいそうに。。。。。。


と、こんな調子で、ブログ書初めです。

で、Nature 新年号で、もひとつ、オモシレェなぁってのが、、、、コレ。この擬態に関しての論文。

たしかに、みんなが擬態しちゃったら、捕食者は絶滅しちゃう。そうすると数が増えすぎちゃう。擬態して生き延びた種は、、、、、、だから、、、、

うまく出来てるね。世の中。

種が違っても、同じような姿形になるのは、エボデボの理屈。毒を持っているもの同士が似た色彩になるのが、ミュラー型擬態。

政治・外交も同じだね。一方的な“自虐的態度”じゃ、共存すら出来ないんだよ!引くところは引き、押すところは押し、騙すときには騙す。


ということで、菅さん、期待してますよ!  まず、官房長官と国家公安委員長は、、、変えなくっちゃ。

進化:擬態する被食種どうしは距離を置く

Nature 469, 7328 (Jan 2011)

Credit: Martin I Taylorミュラー型擬態種は、被食者になりうるが有毒あるいは食味が悪いことを明示・警告している種群を指しており、これらの種は近縁でないにもかかわらず類似した警告色を進化させて共通の捕食者の食欲を減退させ、数の力で生き残っていこうとする。

しかし、競争的排除が1つの擬態種に有利に働いて他種を犠牲にすると予想される場合、こうした擬態の効果が多種共存を維持するのに十分かどうかは、よくわかっていない。

M Taylorたちは、種の豊富な熱帯産ナマズの分類群にみられるミュラー型擬態を調べて、この問題に取り組んだ。

形態計測および安定同位体による分析の結果、擬態種どうしが同一のニッチを占めることはなく、資源を巡る種間の直接的な競争がないために多種共存が可能だと説明できることがわかった。


Letters to Nature p.84
News and Views p.41

2011年01月22日

アルコールは麻薬より危険

20110122_alcohol.jpgタイトルは、週刊誌みたいだけど、Medical Tribune 誌に掲載されている歴とした記事だ。その中に、、、、「メディアで取り上げられる機会の多いエクスタシーの有害性は、アルコールの8分の1程度と評価された」ってのがあって、ちょっと、びっくりした。

オレ的に、藪睨みすれば、、、、アルコールの害ってのは、天に唾を吐くが如く、マッチポンプ、、、ってことになる。すげぇ、遠回りな“マッチポンプ”だけど。

特に、他者への有害性として7項目は、そんな事する奴の“人権”とかを叫んだ結果じゃね?ってこと。サンデル教授も言ってるが、正義はコミュニティーのコンセンサス抜きには語れない。当たり前だ。だって、個が積み重なって集団になるんだもん。はじめに集団や社会ありきじゃない。集団としての“利益を害する個体”や“互恵的利他行動をせず恩恵しか得ようとしない奴”は、排除されるのが生物の掟。(正義のグローバルスタンダードは無いのだ。導けたら、スゴイって思うけど、無知のベールは机上の空論)

そういう行動を取った時点で、人権を剥奪し、排除すれば、アルコールを“悪者”にする必要はないんじゃない?

というわけで、その“電車の中刷り広告”みたいな記事は、、、以下。

英で薬物の有害性をランキング

〔ロンドン〕広義の「ドラッグ(薬物)」には、違法薬物だけでなく承認医薬品の乱用、アルコールやたばこなども含まれる。さまざまな薬物が使用者本人や使用者の周囲の者に与える有害性を評価したところ、全般的な有害性は、ヘロインやコカインなどに比べてアルコールの方が大きいとする研究結果が示された。インペリアルカレッジ(ロンドン)のDavid Nutt教授らIndependent Scientific Committee on Drugs(ISCD)の専門家メンバーが明らかにしたもので、詳細はLancet(2010; 376: 1558-1565)に発表された。


有害性を0~100点で評価

 薬物は個人や社会に対して有害な作用をもたらすが、アルコールやたばこもその意味で「薬物」に含まれる。健康や治安、社会保障に関する政策立案者に対してより分かりやすい指針を示すためには、こうした薬物の害を適正に評価する必要がある。しかし、薬物の害は多岐にわたるため、その評価は容易ではない。

 Nutt教授らは先行研究で、薬物固有の害のほか社会的、医療経済的な観点から見た有害性を9項目の基準でスコア化し、それぞれの薬物の有害性を点数で評価した。この研究は大きな関心を集め、国民的な論議を呼んだ。一方で、9項目の選択基準や基準への重み付けが行われなかったことを指摘する声もあった。

 そこで同教授らは今回、これらの欠点を是正すべく、多基準意思決定分析(MCDA)を用いて薬物の有害性評価を行った。MCDAは、放射性廃棄物の処理など賛否が対立する複雑な課題を政策立案者が分析する際に用いる手法である。


アルコールは他者への害が大

 Nutt教授らは、薬物が及ぼす有害な影響を摂取者本人への有害性として9項目((1)薬物に特異的な死亡(2)薬物に関連する死亡(3)薬物による特異的ダメージ(4)薬物に関連するダメージ(5)薬物依存(6)薬物による精神機能障害(7)薬物に関連する精神機能障害(8)有形資産の喪失(9)人間関係の喪失)、他者への有害性として7項目〔(1)傷害(他者への暴力や交通事故など)(2)犯罪(3)環境破壊(廃棄注射針など)(4)家庭不和(5)国内不安、国際犯罪など国際的なダメージ(6)経済的損失(7)コミュニティーの結束の低下〕の基準で分類。さらに、本人への有害性を身体的、精神的、社会的な害の3種類に、他者への有害性を身体的および精神的、社会的の2種類に分けて、計5項目のサブグループに分類し、各薬物を0(無害)~100(最も有害)に点数化した。

 その後、すべての基準において100点を示した薬物を比較・補正した。


先行研究の結果を裏付ける

 その結果、アルコール(72点)が全般的に最も有害な薬物と評価され、次いでヘロイン(55点)、クラックコカイン(54点)と続いた。クラックコカイン、ヘロイン、メタンフェタミンは本人への有害性が大きかった(それぞれ37点、34点、32点)が、他者に対して有害性が大きかったのはアルコール、ヘロイン、クラックコカインであった(同46点、21点、17点)。

 上記のほかに全般的に有害とされた薬物は、メタンフェタミン(33点)、コカイン(27点)、たばこ(26点)、アンフェタミン(23点)、大麻(20点)などであった。

 MCDAによる評価では、アルコールは最も有害な薬物で、その有害性はコカインやたばこの約3倍と評価された。さらに、アルコールは英国で2010年4月にクラスBの規制薬物に指定されたmephedroneの約5倍の害があると評価された。メディアで取り上げられる機会の多いエクスタシーの有害性は、アルコールの8分の1程度と評価された。

 Nutt教授らは「今回の研究結果は、英国やオランダの先行研究の結果を裏付けるものである。また、アルコールの有害性を積極的な介入の対象とすることは、公衆衛生戦略として妥当であり、必要であるとする先行研究結果とも一致する」と述べる一方で、「今回の研究から、1971年に制定された薬物取締法に基づいて策定された現行の英国における薬物分類システムは、科学的根拠に欠けることが示された」と指摘している。


規制薬物の分類見直しを

 なお、ISCDとLancet共催によりロンドンで開かれた薬物に関するコンセンサス会議では、今回の研究結果を受けてNutt教授が現行の規制薬物の分類法を見直す必要性を強調。「薬物の分類システムは、摂取者本人あるいは他者に対するどのような害を軽減しようとするかによって変わるだろう。しかし、全般的な害という観点からは、アルコールやヘロイン、コカインの害は、他の薬物に比べて大きいことは明らかである。薬物分類基準としては、40点以上の薬物はクラスA、20~39点はクラスB、10~19点はクラスC、10点未満はクラスDと区分してよいのではないか」と提言した。

 一方、ISCDの研究グループは「MCDAの評価プロセスは、薬物乱用が引き起こす複雑な問題に対処する強力なツールとなる。重み付けによって全体のスコアが左右されることから、加重プロセスについて専門家間でコンセンサスを得ていくことが肝要である」と述べている。


定期的な評価の見直しが必要

 オランダ国立公衆衛生環境研究所(オランダ・Bilthoven)のJan van Amsterdam博士らは、同誌の付随論評(2010; 376: 1524-1512)で「この研究では複数の薬物の同時摂取に関する問題は検討されていないが、娯楽目的で薬物を摂取している人の間では広く行われている。アルコールと薬物を同時に摂取すると、相互作用により深刻な副作用が生じる可能性がある」と指摘。その例として、マジック・マッシュルームとアルコールの同時摂取で致死的な事故につながること、コカインとアルコールの同時摂取で毒性の強いコカエチレンが生成されること、大麻とアルコールの同時摂取で運転能力が著しく低下することなどを挙げている。

 同博士らは「娯楽目的の薬物使用の形は多岐にわたるため、Nutt教授らによる合法・非合法薬物のランキングは確定的なものとはいえない。薬物の流行や入手手段、同時摂取の組み合わせなどは、10年もすれば変わる可能性がある。したがって、薬物の有害性のランキングは、5~10年ごとに見直す必要がある」と指摘した上で、「薬物としてアルコールとたばこの2つが今回の評価で上位にランクされたことは、これらが少なくとも違法薬物と同等の害を及ぼすことを示唆するもので、興味深い結果といえる」と結論付けている。


20110122_alcohol2.jpgとは言ったものの、今のご時勢、「人権なんか・・・」なんて言おうものなら、極悪非道のレッテルを貼られちゃう。

そこで、考えた。

じゃ、お酒が入ると、目がすわり、高圧的になり、暴力を振るうような性質の人と、陽気になり、笑い転げたかと思ってるうちに寝てしまうような、人畜無害な“酒飲み”を峻別する方法があれば、、、、いいんじゃない?

要するに、家庭や人生を崩壊させるような“性質”の人には、酒を飲ませない。

飲酒を免許制にする。

---(・∀・)イイ

DNA 検査なんかもした上で。


特別に、酒飲んで正体を隠し通せれば、それはそれでいいことにもする!他者への有害性は無いんだったらね。で、バレたら、“島流し”で?

でも、つまんねぇだろうなぁ、そういうの。だって、なんか、色んなものから解放されたくって“呑んで”るワケでしょう?そういう“暴れちゃう”人達って?!オレの父親がアルコール依存症だったから、なんとなく、わかる。そう、オレって、アダルトチルドレン(昔、流行ったね。この言葉。幼稚な大人って勘違いしている人、多かったよねぇ)なんだよね。

Wikipedia でアルコール依存症を調べると、こんな記述もある。「アダルトチルドレン(AC、Adult Children of Alcoholics アルコール依存症の親のもとで育ち、成人した人々)の語源となっているように、アルコール依存症者のいる家庭での家族に与える影響は多大なものであり、とくに親から子へアルコール依存などの嗜癖問題が世代間で伝播する現象がよく見られる」と。

この辺も、かなり、イイカゲンだねぇ。“アルコール依存などの嗜癖問題が世代間で伝播する現象”は、アルコールデヒドロゲナーゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼやその他、諸々の遺伝子の多型に依存するんじゃない?

遺伝子に依存するって考えは、ヒトラーの優生学に通ずるものがあるから、怖いのかな?こういうこと、言うの。

アル中の親からなら、遺伝する確率が高くなるのは当たり前。酒を飲んでいる環境がさせるわけじゃないんじゃない?

タバコも同じだよね。

で、オレは、アル中じゃない。っていうか、最近じゃ、月一も呑まない。。。クルマ道楽の支払いがキツくって、、、、これ、現実。おっと、脱線。

だから、お酒を悪者にするのって、すげぇ、違和感、あるわけ!それから、タバコ自体を悪者にするのもね。

呑んで暴れたり、他人のいるところでプカプカ、道端にポイって奴らが悪いんであって、アルコールやタバコが悪いんじゃない。。。。ってこと。


で、お酒を飲んで良い人と、飲んじゃいけない人に分ければ、この手の“害”は無くなる。

。。。。。


・・・・・・・


でも、「差別だ」

とか、「人権を無視してる」

とか、言い出すヤツがいるんだよね。。。。


さて、話は変わって、アルコールの摂取者本人への有害性だけど、、、、、それは、単純に自己責任ってことでいいんじゃねぇの?

病気になると医療費が嵩む?

そんなの、アルコールの税率をガンガン上げりゃイイジャン。っていうか、健康保険を区別すればいい。

飲酒者健康保険とか。喫煙者健康保険とか。

国民皆保険なんて考え、アメリカじゃ、多くが否定してるんだから、これが“人道的”ってワケじゃないし。(正義のグローバルスタンダードは無いんだよ)


でも、日本じゃ、、「差別だ」

とか、日本じゃ、、「人権を無視してる」

とか言い出すヤツがいそうだよね。。。。


なんとか、なんないのかなぁ?


そして、エクスタシーである。この研究では、エクスタシーの有害性は、アルコールの8分の1程度なんだと。

これは、、、、びっくりしたけど、理解はできる。

日本じゃ、春先、新入生歓迎コンパで、何人か死んでる。アルコールって“毒”だ。エクスタシーで死んでるのは?

押尾学事件しか、知らない・・・・・・・オレ。アルコールより、少ないんだろうなぁ。。。。


そういえば、その昔のこと、、、、、思い出した。

とある事件?にて、警察で薬物の“有害性”を“説教”した事があったっけ。警察のシロウトさんたちは、ブロムワレリル尿素よりトリアゾラムの方が、危険な薬物だと思ってた。

---そうじゃないんですよ!!


でも、逆に、、、、、うん、この事実を逆手にとって、、、、、薬事法の区分で規制すると、アルコールやニコチンのイメージを変えることは出来る(時間かかりそ)。

そう、手始めに、アルコールは、麻薬および向精神薬区分の医薬品にしちゃえば、“悪者”にしないでも、済むし。取り締まる警察も動きやすいし?

そして、医師の処方箋がなければ、ビールも買えない。。。。うひょひょ。


お後が、よろしいようで。~( ̄~ ̄)ξ

2011年01月26日

人は組織に属すると・・・

20110126_yu.jpg《たいがいの人は組織に属するとともに片足を棺桶につっこみて半死し、心身の気象おとろえ、退歩をはじむ。》

上、“組織に属する”を“妻子をもつ”に変えると、秋山真之が兄好古に影響されて書いた文章になる。

また、《ハマンは彼があつめた過去のおびだしい戦例(陸戦もふくめて)をくわしく検討し、数多くの原理をさぐりだすことに成功した。それに成功すると、こんどはそういう原理にもとづいて戦史を再評価し、実戦例を批判したが、それらの論文は世界じゅうの海軍士官によって読まれ、支持された。》

この引用を見て、誰の文章かピンときた方は、かなりの通でファンだと思われる。(が、科学的思考法の出来ない例としての引用なので、ファンの方にとっては気分が悪くなる可能性があるから、下は読まないほうが良い)


私は、「このフレーズは、つかえるっ!」と、温存していたのだが、ついに、適用するときが来たようだ。。。。


引用した文章には、過去の例から原理が導けると書いてあるワケだが、過去の例から導けるのは“仮説”である。そして、仮説を証明するために、実験を行い、予想通りの結果が得られて、始めて、原理、原則と呼ばれる。

仮説の段階で、それを元に戦史を再評価するってのは、バカのやることだ。少なくとも、現代ではそう思われても仕方が無い。

現代社会では、人道的に実験できないものも多いが、100年前なら、話は別だ。当然、この仮説を元に、実験的戦術を実戦で検証できるし、また、作者は、そのようなことをした人物を取り上げるべきだったが、作者自身の科学的思考能力の欠如ゆえか、そのような人物を小説に登場させてはいない(っていうか、もっと上からの目線で、古今東西、軍人ってはみんなバカだって言いたかったのかな?この作者は?って考えすぎ?)。。。

いきなり、仮説が原理だと、、、、、

でも、現代人でも、この小説の作者のような考え方をする人は多い。だから、この辺の記述に違和感を感じないのだろう。ファンの中でも違和感を感じる人はいるだろうけど、そういう人は、作者の生きた時代に、作者にそれを求めるのは酷なのかもしれないって思っているのかも。。。そういう科学的思考の出来ない愚かさが、小説の話だけで終わるのなら、なんら、問題ないのだが、、、、、


先だって、故あって“市政報告会”なるものに出かけた。

私は、この歳になっても、なんの組織にも所属していない。仕事上ですら、何処にも属してないくらいだから。もちろん、政治的にも宗教的にも。それ故、ブログには政治的なことも、宗教的なことも、もちろん仕事上のことも書きたい放題にしている。

お祭り気分の学術大会や商業的な公演なんぞで人の話なんぞ聞く気にもならないし、怪しい宗教団体に入れ込んでるわけでもない。まして、特定の議員のそのような集まりなんて、もっとも縁遠いものだ。仲の良い友達に、政治家がいるわけでもないし。

まぁ、故あってというのは、そういうのを除外した“縁故”というわけだけど。仕方が無いから、数あわせで出かけたのだ。ところが、、、、だ。

これがまた、得がたい経験っていうか、、、、ニッポンの“まつりごと”ってのは、こうして、成り立ってるんだよなぁ・・・・ってのを、まざまざと見せ付けられちゃって、、、なんとも、やるせない気持ちになったのだった。

具体的に、なにも書けないのは、その“縁故”延長線上に、たまたま日本の病院組織の政治活動に携わるお偉いさんがいたからだ(ハッキリいって縁故が無きゃ、雲の上の人。この人が、当の議員の後援会の親分)。財源の話から、医療の話、福祉の話、健康の話、手術の話、国政の裏話、夜伽の話、、、、と、聞いてる人達は、引き込まれちゃうわけですよ。コレが。へらぼうに話が上手だし。

で、つくづく、有権者ってのは、冒頭に例示した、過去の例から導けたものを、“原理”と勘違いしちゃう人々なんだなぁって実感しちゃったわけなんです。。

有権者の人たちは、この政治家なら自分達の気持ちを汲んでくれて、、バックの実力者についていけば、、、、この人達になら、自分達の生活を任せられるって気分になって、、、、応援するぞぉ!!  エイエイオー・・・。

大団円を迎える。。。。

こういう、組織票ってのが、、、馬鹿に出来ない、、、それどころか、とっても、大きい流れを作っていくのだ。

だから、逆に言うと、政治=選挙ってことで、当たらずとも遠からず。


なんか、、、、萎えた。


そして、まさに「たいがいの人は組織に属するとともに片足を棺桶につっこみて半死し、心身の気象おとろえ、退歩をはじむ」なのだよ、私も。現に、何もかけなくなっているし。

知らぬが仏だったのに、、、、


だから、二度と、この手の集まりには、出向かないことにしようって。。。でないと、ここで、“藪にらみ”も出来なくなっちゃうから。それじゃ、つまんないもんね。(事実、アレ以来、政治ニュースに不感症になってるし・・・)


つまんないといえば、某雑誌にて“ウソ”を発見したので、発行元に“突っ込み”を入れたのが、2週間ほど前。

某雑誌の名前は、名誉のため、出さないで置こう、、、そして、“荒れに荒れた経緯”を、ブログのネタにしちゃおう、、、、、なんて、密かに、、、イヒヒ、、、なんて思ってたら、、、、まことに丁寧な連絡を頂き、、翌月号で訂正が入ることになってしまって。。。。。拍子抜け。

いや、“荒れに荒れた経緯”ってのは、以前、別の雑誌であって、、、その時は、、、、、おっと、これは、オフレコだった。。。。。けど、もう、いいか。某薬系大学の偉い人の書いた文章に、生理学上の“大間違い”があり、それを指摘してあげたのに、あろうことか、編集委員の連中(多分、お仲間なんでしょう)が、「いや、化学的にはありうる」とかなんとか言っちゃって、間違いを認めようとしない。

だから、「アホか?そんなこと言ってると、ブログで書いちゃうぞ!」ってメールしたら、直接、職場まで電話がかかってきて、、、「そんなことしたら、名誉毀損で、どうたらこうたら」って。(我輩は、突っ込みを入れるときは、必ず素性をさらしてます。これぞ、サムライ魂・・・ってか?ワハハハハ)

呆れたおバカさん達だ。だから、それ以上、関わらないことにしたのだが、、、、


今回も、そんな、プライドっていうか、沽券っていうか、しがらみっていうか、なんだか良くわかんない、足枷みたいなもんで、つまんない意地をはってくるかも、、、、と半分、ドキドキ・ワクワクしていたんだけど、、、、、、

拍子抜けな結末。あっさりと「・・・・・上記のようにエビデンスは存在しませんので、不適切な表現でした」と。

・・・・・・・。

想定していた反論に対する、再反論は、、、、、無駄になってしまいました。

いや、同業で“仲良こよし”にどっぷり浸っている人達は、、こんな私の行為に、気分の悪さを感じるのだろうケド、、、、人の顔を潰さないために、道理を引っ込るような行為が許せんのよ、、、って言っておく。無理が通れば道理は引っ込むんだよね。無理を気づかせない“力”があれば、それを真実にすることが出来るんだから、、、、それ位の器量を見せ付けられれば、、、、私だって、恐れ入りましたぁってなるんだけど、、、底が浅いっていうか、、、カッコ悪すぎのやつが多くって。

オレは、組織に属してないから、こんなことしても、誰の顔をつぶすことも無いから、なんの気兼ねなく書いている。っていうか、気兼ねなく“生きたい”から、特定の組織に属するなんてコトはしてないともいえる。


まぁ、結局、脳内のドパミン受容体が少ないんだろうな、オレ、、、、って感じ?


というわけで、通勤電車で本を読んでで、フト、思いついた、私的には三塁打くらいのヒット作なパロディフレーズ《たいがいの人は組織に属するとともに片足を棺桶につっこみて半死し、心身の気象おとろえ、退歩をはじむ。》を、どうしてもを使いたかった記事でした。

┐(´∀`)┌ヤレヤレ。

2011年01月28日

女性の涙の力 (The Power of Women's Tears)

20110128_crying.jpg女性の涙・・・・・・、困り果てた事のない男性はいないんじゃないかな?!

その涙に、そんな“機能”があったなんて、、、、、、。でも、まてよ?ん?ちと、、、、、おかしくねぇか?  性犯罪。。。

あっ!そっか!  脳が壊れてんだぁ。奴ら。


この実験では、きっと、涙を見せた男性の中に、いわゆる“性犯罪”を犯すような奴はふくまれてなかったんだろう。だって、、、、泣き叫ぶ女性を強姦できる・・・って、そういうことだよね?もともと、生物は、泣かれたら“萎える”ように出来てるんなら。

そういわれてみれば、ヒト以外の動物だって、交尾するのに“強姦”なんてことはしない。メスの気を引くため、あの手この手のパフォーマンスを演じることはあっても。

だから、ヒトでこんな事を出来るのは、進化学的に考えても、異常ってことになる。脳が壊れている証明だな・・・・・・。

映画の強姦シーンを見たとき、もし、興奮したとしたら、あなたも、“性犯罪者予備軍”だと言える(実際に強姦をするのは、他のファクターの必要なんだろうケド)。。。。

(写真は、2010年 3月26日に発売された「Crying Girl 泣き顔」。ニュースの記事では、「・・・・けれども、泣きわめく彼女を見ながら、かわいい、キレイ…なんてことを思ったことのある男子も結構いるはずだ!」なんて、、、、これって、父性本能だな!性的な感情じゃないもん・・・・って、脱線)

女性の涙の力(The Power of Women's Tears)

Science January 14 2011, Vol.331

情動性の涙は、唯一人間だけが流すものだと考えられていて、何年にもわたって生物学者や心理学者を悩ませてきた。

女性の情動性の涙とコントロールとして生理食塩水を用いた二重盲検比較試験によって、Gelsteinたちは、人間の涙がある種の化学シグナルを伝達している可能性があるのではないかということを調べた(p. 226,1月6日号電子版)。

涙の匂いを感じ取ることはできなかったが、それにもかかわらず涙は、女性の顔の性的アピールを減少させた。

女性の涙はまた男性の性的興奮を抑え、テストステロンのレベルを減少させた。

それに引き続いての脳イメージング研究の結果は、脳の機能の活性における差を強調するものだった。

情動性の涙は、つまるところ、ソシオセクシュアル(sociosexual)な行動に関わる化学受容性シグナルを含んでいるらしい。

Human Tears Contain a Chemosignal
p. 226-230.


宮城県が性犯罪者にGPSの携帯を義務付ける条例を検討しているとか。

私的には、これに“異”を唱える人達がいることが、信じられない。。。人権がどうとか言ってる人達。この人達には、“性犯罪者は脳が壊れている”と言うことを、教えてあげたほうが良い。脳が壊れてるんだから、GPSを携帯させないなら、フォックスリバー刑務所の精神科棟にぶち込んで一生出しちゃダメだ。

いや、マジ。

泣き叫ぶ女性に、性的興奮を感じるのは、脳が壊れている。これに、科学的に異を唱えられれば、“人権云々”に耳を貸してもいいけど・・・・。

とは言ったものの、ウソの涙(生理食塩液)では、男性は騙されない・・・ってのがひっかかる。ヤッパ、涙にはホルモン様物質が含まれてるのか?そして、男はそれを感じ取ってる。。。。だとしたら、性犯罪者は“受容体の欠落”もしくは“受容体の変異”によるのかもしれない。

としたら、映画の強姦シーンを見て(ホルモン作用無し)性的に興奮するところまでは、正常?

う~ん、、、、、誰か、この先、(実験)やってくれぇ~。


さて、菅新内閣が発足したわけだが、、、私は、いわゆる“○○対策(少子化とか経済とか)”と称した政策は、今は、興味が沸かない・・・・って状態なんだけど、菅首相の“人選”には、少々呆れた。

韓国かぶれで自虐的な岡崎トミ子をクビにしたのは当然としても、今度も、また、国家公安委員長、法務大臣そろって、“慎重派”っていうか、腰が引けてるっていうか、宮崎のGPS条例に「慎重に・・」「情報を集めてる・・・」みたいな、やる気の無さっていうか、責任感の無さっていうか、、、、まったくぅ。それに江田五月、死刑廃止論者だし。

こんな“思想”を持った奴らしか、いねぇのか?この政党と仲間達には。。。えぇ?


昨日は、黒豹で“湾岸でも流すか”なんてのはやめて、録画して溜まっていた映画をみてた。《沈まぬ太陽》では、「赤の娘とは結婚させられない」って言葉が印象に残った。

この頃の“赤”は、その存在は必然だったかもしれないが、今の時代、労働者がどうのこうの・・・っていうと、簡単に会社が潰れる。

どちらが良い・悪いじゃないんだよねぇ。どうして、こう、極端に(針が)振れるのが、好きなんだろ?民主党。他の人とは“視点”が違うよってところで、インテリっぽさを醸したいのかもしれないが、、、ハッキリ言って、おバカさんだよ。

50年前は、日本人の中での韓国の味方も意味はあったかもしれない。でも、現代では、、、ナンセンスだろ? 日本人を悪者にする洗脳教育が、韓国内でも「おかしいんじゃね?」って思われだしたのは、日韓サッカーで猿真似事件をみれば、明らかだし。(奇誠庸は単なる悪ふざけだったんだろう。予想に反して影響がでかくなって、、で、、反日ってことにすれば・・・って事なんじゃないの?韓国の実際のこの世代の反日感情って、そんなものになりつつあるんじゃないの?)

なんか、、、韓国人や中国人が日本人を嫌っている状態を維持したいみたいに感じるんだよねぇ。自虐的な連中と、そんなのを自分達の政党に取り込んだおバカさんたちがいる所って(マスコミも含む)。

韓国人や中国人が日本人を嫌っている。。。昔、日本人が悪いことしたからだ。。。だから、謝り続けなきゃイケナイ。。。。言い続ける私たちがいたからこそ、韓国人、中国人との良好な関係が築ける。。。。どうだぁ、偉いだろう?俺たちぃ~~~~。みたいな、そんな所にしか、自分たちが存在する意義を示せないんだろう。。。


バカだよね。 ホントこいつ等。


ヒトってのは、忘れる生物だ。ヒトの脳の機能として“忘れる”が“大切”なのは進化が証明している。生きていくのに“忘れないこと”が有利であるなら、ヒトの脳は“忘れない”を最大限、発達させた、あるいは、“忘れない”機能を有した固体が生き延び、選択されたはずだからだ(忘却は精神の安寧に必要不可欠)。

恨み辛みの感情は、当事者が持つのは当然。そして、当事者が謝罪するのも当然。当事者が口伝えで“恨み辛み”を伝承するのは、いいとして、、、、国の事業として洗脳するような行為に、意味があるとは思えない。(世代の交代した後、補償問題は恨み辛みを惹起しないようなするならまだしも・・・・)

意味があるのから、“科学的”に証明してもらいたいもんだねぇ。


どっちにせよ、そんなに、記憶に留めておかせたいなら、良い方法を伝授して差し上げよう。

記憶力、倍増だってよ・・・・・。ふっ、もっとも、みんなが覚えてりゃ、自虐的なあなたたちの存在は、、、、、全く、なくなるって事で、、、、、って。プっ!

脳:記憶力増強薬の標的になる増殖因子

Nature 469, 7331 (Jan 2011)

記憶強化機構は、記憶過程に関する情報をさらに得るためにも、臨床応用の可能性を探るためにも重要であるにもかかわらず、まだほとんど解明されていない。

今回ラットの実験で、主に体組織の成長や修復に関与するとされるインスリン様増殖因子II(IGF-II)を投与すると、記憶保持が大幅に強化され、記憶の代理指標である長期増強現象が促進されて、忘却が抑えられることが示された。

IGF-IIは、シナプス強化につながりうるシグナル伝達カスケードのネットワークを起動することで作用し、また、学習直後の短い時間内で最も有効である。

したがって、IGF-IIは認知強化を調整するための標的となる可能性がある。

Articles p.491
News and Views p.474


で、最後に、、、

自分のした事(罪の意識)の忘却を否定したら、下の報告の結果は、また、違ったものになるだろう。

責任は、もちろん、自虐的な人達にとってもらおう!!

妊娠第 1 期の中絶と精神疾患のリスク

Induced First-Trimester Abortion and Risk of Mental Disorder

T. Munk-Olsen and others


背 景

人工妊娠中絶は女性のメンタルヘルスに影響を及ぼす可能性が懸念されているが、中絶が後の精神疾患のリスク上昇に関連するかどうかは明らかにされていない。


方 法

住民ベースのコホート研究において、デンマーク住民登録システムの情報を、デンマーク精神疾患中央登録およびデンマーク全国患者登録と関連付けた。1995~2007 年に精神疾患の記録がなく、同期間の妊娠第 1 期に中絶したか、第 1 子を出産した女性のデータを用いた。中絶または出産後 12 ヵ月間以内になんらかの精神疾患で精神科を初診(入院または外来受診)する率を推定し、中絶または出産前の 9 ヵ月間と比較した。


結 果

はじめて中絶した女性 1,000 人年あたりの精神科初診率は、中絶前 14.6(95%信頼区間 [CI] 13.7~15.6)、中絶後 15.2(95% CI 14.4~16.1)であった。第 1 子を出産した女性では、出産前 3.9(95% CI 3.7~4.2)、出産後 6.7(95% CI 6.4~7.0)であった。精神科受診の相対リスクには、中絶後と中絶前とで有意差は認められなかったが(P=0.19)、出産後は出産前と比べて有意に上昇した(P<0.001)。


結 論

精神科受診率は妊娠第 1 期の中絶の前後で同程度であったことから、妊娠第 1 期での中絶後に精神疾患のリスクが上昇するという仮説は支持されない。(スーザン・トンプソン・バフェット財団、デンマーク医学研究評議会から研究助成を受けた。)


N Engl J Med 2011; 364 : 332 - 9.
Copyright(C)2011 Massachusetts Medical Society.

2011年01月31日

糖尿病とパーキンソン病を繋ぐもの

20110131_Who.jpg「Diabetes Care」2007年4月号 に・・・・肥満に起因する2型糖尿病患者では、年を重ねるほどパーキンソン病を発症するリスクが上昇するというフィンランドの研究が掲載された。

大規模長期追跡研究において、糖尿病とパーキンソン病の関連性が確認されたのは、この時が初めてだった。

で、この二つの病気に何か関係はあるのか???

この時には、わからずじまいだったのだが、糖尿病の研究で明らかにされていた、PGC-1α が、この二つを繋ぐ“キー”となることが、つい、最近わかった。


私の中では、パーキンソン病は、アンフォールド蛋白とかミスフォールド蛋白の蓄積による・・・・って、いわゆるコンフォメーション病の範疇だったから、糖尿病との関連なんて、全く、興味を引かなかったのだが、、、、、PGC-1α がキーワードとして出てくるとなると、話は違う。

というわけで、、、まず、メディカル・ドリビューン誌 2011年1月27日 号のニュースの引用から。

パーキンソン病に新しい治療標的

エネルギー産生遺伝子の機能回復が鍵

〔ボストン〕Brigham and Women's病院(ボストン)神経ゲノミクス研究主任のClemens Scherzer博士らは「パーキンソン病(PD)は脳内におけるエネルギー産生遺伝子の機能不全と関連しており、これらの遺伝子を調節しているPGC-1α遺伝子は、この機能不全を回復させるための治療標的になる可能性がある」との研究結果をScience Translational Medicine(2010; 2: 52ra73)に発表した。


PGC-1α遺伝子が“電源スイッチ”

 PDは進行性の神経変性疾患で、振戦、筋硬直、動作緩慢などの症状が発現するかなり前から、脳の損傷が始まっている。社会の高齢化に伴い、米国の患者数は2030年までに倍増して930万人になると推定されているが、予防薬や進行を遅らせるための治療薬は依然、開発されていない。

 神経科医のScherzer博士は「今回の研究により、PD患者の脳では、細胞のエネルギー産生をコントロールしている遺伝子セットの発現が明白に低下していることが分かった」と説明している。また「PD患者の脳で機能していない重要遺伝子セットの1つは、PGC-1αと呼ばれるメーンスイッチによって調節されている。PGC-1αによって活性化されているのはミトコンドリア遺伝子で、その多くはミトコンドリア内のエネルギー産生源を維持・修復するのに必要とされる遺伝子である。これらの遺伝子は、PDの早期、おそらくは症状が現れる前に既に発現が低下していると考えられる」と述べている。

 同博士らは、この発見に引き続きPGC-1α遺伝子がこれらのミトコンドリア遺伝子を発現させる“電源スイッチ”として使えることをPDの細胞モデルによって証明した。このことは、PGC-1α遺伝子が新しいPD治療薬の標的となりうることを意味している。既に製薬会社は糖尿病など他の疾患の治療薬として、PGC-1α経路を活性化する薬剤の開発に着手しており、新規PD治療薬の開発にも弾みがつくと考えられる。


システム生物学の手法を利用

 Scherzer博士らは今回、システム生物学に基づく革新的な研究手法を用いた。システム生物学の手法では、個人の遺伝子を個々に調べる代わりに、共通の細胞機能を担う一群の遺伝子(遺伝子セット)を調べる。

 同博士らは、死亡したPD患者から採取した410個の組織サンプルを用い、522個の遺伝子セットの活性を測定した。その結果、522個中10個がPDに関連する遺伝子セットであることが分かった。これらの遺伝子セットは、すべてミトコンドリア機能またはエネルギー産生に関連する細胞プロセスを担っていた。

 同博士は今回の研究について「最大の発見は、PGC-1αがPDへの早期介入において新規の治療標的となりうることが示された点である」と強調。さらにPDの進行を遅らせる治療薬や、進行を停止させる薬剤は以前から切望されており、PD患者はドパミンニューロンが大量に失われる前にこうした薬剤を使用することにより、多大な便益を得ることができる。これらの相乗作用が注目され、PD治療薬の開発に大きな関心が向けられるようになれば、PD患者にとって計り知れない利益となる」と述べている。

 今回の研究は米国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)と米国立加齢研究所(NIA)から助成を受けた。また、Michael J. Fox財団、RJG財団、M.E.M.O. Hoffman財団から支援を受けた。


糖新生制御機序の中心にいるのが、PGC-1α だ。肝臓だけでなく、筋細胞においても、なにやら、色々やっている。

肝臓で PGC-1α 遺伝子が発現されるタイミングは、早い話が、低血糖になった時だ。簡単には“絶食→PGC-1α→HNF-4α→糖新生律速酵素の転写活性化”でハッキリと見えてくる。当たり前のフィードバックだね。。。

しかし、不思議なことに、PGC-1αからの HNF-4α↑では、、、、HNF-4α には、解糖系の律速酵素である glucokinase (GK) や liver type-pyruvate kinase (L-PK) の転写を促進するという報告も有る・・・・・。エネルギー源、温存しないのか??

????

さらに、筋肉では、、、PGC-1αは、ミトコンドリアの合成を促進する働きを有することや、骨格筋培養細胞での実験ではGLUT4を増加させることが報告されている。。。のだが、人工的に骨格筋だけにPGC-1α量を大量に増やしたマウス(トランスジェニックマウス)では、ミトコンドリアの増加と、筋肉の赤化が認めらたが、予想に反してGLUT4の発現量は低下したらしい。。。。

血糖値を下げたい・・・・って目的だけを果たさせるためには、、、、ちょっと、難しい!!どうやら、、、糖尿病の観点から見渡したとき、PGC-1α の働きは、複雑だ。短期の影響と長期の影響も差がアルっぽいし。。。


でも、生命の維持って観点からみれば、合目的だ。。。?

脳細胞の神経活動には、グルコースは必須。グルコースからは解糖系→TCA回路を使って、ATP が産生される。

PGC-1α が活性化すれば、血糖値は上がり、脳細胞や筋肉細胞に取り込まれる量が増える。でも、度がすぎれは、筋肉には取り込み制限がかかり(GLUT4低下。脳はGLUT1)、脳への供給を優先する。ミトコンドリアにて、ATP 産生を増やす方向は、脳でも筋でも同じ・・・・・・。

で、いいのか?


・・・・・もしかして、パーキンソン病との関係、糖尿病治療で低血糖になって、、、、脳細胞にダメージ・・・・なんてことは、、、ねぇよなぁ。

「Diabetes Care」2007年4月号に掲載された研究では、、、開始時点で25-74歳のパーキンソン病罹患歴のないフィンランド人男女5万1,000例以上を対象に、18年間の追跡を行った。
18年後にパーキンソン病を発症していたのは男性324例、女性309例。
これらの患者の医療履歴を精査したところ、2型糖尿病患者では、そうでない人に比べ83%パーキンソン病を発症しやすいことがわかった。
このリスクの増加はBMI(肥満指数)、飲酒、コーヒーまたは紅茶、喫煙、運動といった嗜好因子を調整しても変わらなかった。

と。う~ん、これだけじゃ、よくわかんないなぁ・・・。


でも、PGC-1α がうまく働かないと、脳神経にダメージがありそう、、糖代謝がうまくいかなそう、、、って事くらいはわかる。


でも、どうして、ドパミン神経だけなんだろ?ダメージうけんの?

Pael受容体やα-Synuclein とか、Parkin とか、Caチャネルとか、どう関係してくんだろ?

現代医学って、マスコミに言わせれば、なんでもわかったようなことになってるけど、ぜんぜん、わかってない。

それどころか、細かいところがわかればわかるほど、、、、謎が謎を呼ぶ。。。。


こういう、一見、無関係だったところが、繋がったりすると、、、、、、ってことだね。


話は変わるが、ハーバード白熱教室で有名になったマイケル・サンデル教授、彼の授業や著書で、幾度と無く登場する哲学者ジョン・ロックだが、、なんと、彼は、“視覚”という仕組みについても言及していることは、あまり知られてない。

ロックの、ニュートンの物理的哲学に対する「感覚哲学」での主張がそれだ。我々の感覚は測定装置で、外の外界を感覚として記録すると。

この時期(1632年8月29日誕生 - 1704年10月28日没)の医学からは、考えも付かない発想だ。19世紀になり、神経学者たちは、この哲学にとびつき、脳の解剖学的な構造を理論的に研究する際にあてはめ、「視覚」とは、感覚データ、あるいは印象を網膜から脳の第一次視覚野に、一つ一つ伝達することだと考え、今日に至っている。


今日の医学は、すでに哲学とは切り離されてしまっているが、例えば、糖尿病を切り口に得た PGC-1α のイメージは、パーキンソン病からのそれに、整合性を持って当てはめるには、何かしらの飛躍が必要に思える。

この先、このようなケースは増えていくんだろう。人間の体は、総合的に解釈しないとイケナイんだな。決して、ニユットごとの“地方自治”があるわけじゃない(進化上、緩やかな地方自治は腸管等にみられるけど)。常在菌、常在ウイルスをも含めてね。

それを理解することが、人を診るってことにも、繋がるハスだよね?

(挿絵を、、、歴代米合衆国大統領だと思った人、、、あなたは常識人です。。。でも、、、)

PGC-1α とパーキンソン病が繋がるのが、感覚哲学が視覚のメカニズムに繋がるみたいな、軽い興奮を覚えた、記事でした。

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