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  適応外医薬品について

 適応外使用について注目されてから久しいが、現在のところ適切な対応策はない。 調剤薬を服薬指導をしないで手渡すだけであれば、そのまま看過されるであろうが、適応外処方と気づかないで服薬説明を行うと、患者に間違った説明をすることになり、患者や医師とのトラブルに発展する。


1.保健医療と適応外使用
 適応外処方は、いわば医療制度上の谷間の産物である。規制緩和をつ契機に、医療の現場の要請と科学的妥当性が検討され、適応がないものの、その機序にはそれなりの理由のある有用な適応外処方については、可及的速やかに保険診療に組み込まれることが望まれる。
 薬物療法の原則は「メルクマニュアル」対危険便益比 Benefit-Risk Ratio の項によれば、「総ての治療努力において、それぞれ特有の臨床状況と患者のために、危険は便益よりも重んじられねばならない。薬物療法は、使用される薬物の質的及び量的な影響と、起こりうる危険を上回るような場合にのみ正当化される。この決定は、患者、疾患とその十分な臨床知識に依存している」と述べられている。

1)適応外使用とは
 医療用医薬品を使用する場合、必須となるのが添付文書であり、その内容にない使用をした場合に適応外使用とする。次の場合であるが、一般には主に@の場合をいう。
 @添付文書の「効能・効果」記載されていない疾患・病態に医薬品の使用:その医薬品が有効であると承認された疾患・病態などが、「効能・効果」の項に記載されている。
 この項に記載されていない疾患・病態に対して、その医薬品を使用する場合。
 A「効能・効果」に記載があるが、用法・用量の逸脱:
 B同一成分でも他の製剤には効能・効果があるが当該製剤にない:
 同一の成分であっても、製剤の効能・効果がメーカーによって相違があり、規格の違う場合、剤形の違う場合には、効能・効果が違うこともあり、意識しない適応外使用となるので注意する。

2)保険医療における医薬品の使用
 医師による医薬品の使用(医薬品の適応外使用を含め)は、医師法、医療法、薬事法、健康保険法などによって規定されいる。保険診療においては健康保険法が最優先されることになる。
 保険診療の中で適応外使用が行われた場合は、次の理由で不適当である。
 @保険診療では健康保険法、保険医療機関及び保険医療養担当規則などの規定により、薬価基準に収載された医薬品しか使用できない。
 A添付文書に記載された効能・効果、用法・用量の範囲でしか使用できない。ただ、薬事法に基づく承認を受けた医薬品で薬価基準に収載されていないものに対する患者のニーズに対応する観点から、当該医薬品の投与に係る薬剤料に相当する療養部分について、その費用を患者から徴収することで使用できる。
  ⇒選定・特定療養費に係る厚生労働大臣が定める医薬品等(告示第88号:14.3.11)
◇特定療養費:健保法改正(1984年) 保険診療と対象外の診療の混合診療は禁止されていたが、限定的に混在を認めたものである。つまり、保険診療と対象外の診療(高度先進医療、選定医療、 180日超の入院)が混在したとき、保険給付対象の部分は自費扱いとし、差額徴収をしても差し支えない、としたものである。
 適応外使用を行う場合には、保険診療ではなく、自由診療で薬剤を使用することが原則となる。
ただ、同一の患者に対して保険診療と自由診療を混在させる(混合診療)ことは避けるべきで、その理由としては薬剤費以外の医師の技術料や検査料などもすべて自己負担になり、患者の経済的負担が大きくなる。
レセプト審査でその内容がチェックされ、適応外処方を行っていることが判明すれば、その医療機関は診療報酬を返戻しなければならない。

3)適応外使用に関する責任
 医師が適応外処方を発行する場合、「治療上の必要性」と「法的なリスク」のどちらかに比重を置くかで決定される。医師は医学、医療上の判断から適応外使用を医師本人の責任で行うことができ、保険請求をすることが可能である。しかし、適応外使用を認めるか否かは支払者例の判断による。こうした制約を考えると、医薬品の投与については、基本的に薬事法上厚生労働大臣が承認した効能・効果、用法・用量に従って行うべきである。従って、それ以外の疾患・病態に対する効果を期待して投与することは、原則として一般的な医療水準に即した診療とはいい難く、療養担当規則第2条第2項及び第12条が求める保険診療上の適合性を満たさないことになる。
◇療養の給付の担当方針: 第2条2
 保険医療機関が担当する療養の給付は、患者の療養上妥当適切なものでなければならない。
◇診療の一般的方針: 第12条
 保険医の診療は、一般に医師または歯科医師として診療の必要があると認められる疾病または負傷に対して、的確な診断をもととし、患者の健康の保持増進上妥当適切におこなわなければならない。ただ、医師法や医療法の条文には、適応外処方を拘束する規定はほとんどない。医師法第23条に、「医師は診療をしたときは、本人またはその保護者に対し、療法の方法その他、保健の向上に必要な事項の指導をしなければならない」と定められているので、適応外使用を行う場合であっても、通常の診療と同じように、医師は患者に対し、その目的、期待される効果、副作用などによる危険性などの情報提供をしなければならない。つまり、インフォームド・コンセントさえ行っていれば、 適応外使用は医師の裁量の範囲内で行って構わないことになる。
医師が医薬品を投与する場合、当時の医学水準によって行わなければならない。添付文書に従うのは、添付文書記載の用法等が当時の医学水準に合致しているからで、従って、医師は臨床上はまず添付文書によって投与するのであるが、常にその根拠をなす医学、医療について研鑽していなければならない。
 添付文書の記載と、その時の医学水準に相違するところがあれば、もとより医学に従わなければならな い(製薬会社は可及的速やかに対処すると考えられるが)。

4)適応外使用と副作用
 適応外使用による副作用については、報告が義務付けられていないので、その情報が表面に出ることなく事例として参考にならず隠れてしまう。薬事法では、製薬会社が適応外使用に関して積極的な宣伝や情報提供は行うことはできないことになっている。
 また、医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構法 (医薬品機構法、1979年法律第55号)第2条の3における副作用とは、「医薬品が適正な使用目的に従い、適正に使用された場合においても、その医薬品により人に発現する有害な反応をいう」と規定され、当該薬剤の製造(輸入)承認された適応に対し、適切な用法・用量で治療を行った場合に同機構による副作用による救済の対象になるが、適応外使用による場合には保護されないので、患者は医療提供側に補償を請求することになる。

5)適応外使用の頻度
 日経メディカルの読者 2000人を対象に、1997年5月に行った調査(郵送方式)では、次のような回答があった。      ⇒Nikkei Medical 1997.7
@回答者合計:779名(回答率39.0%)
 内科:321 外科:77  小児科:47  産婦人科:33  耳鼻咽喉科:29 整形外科:29  皮膚科:26  消化器科:25  眼科:23  精神科:15  泌尿器科:11  その他:51  無回答:92
A適応外処方を行うケース:
ある 49.7%、 ない 46.9%、 無回答 3.4%
B適応外処方に対する基本的な考え:
文献等の根拠があれば行うべき   42.9%   その他1.4%
文献等によらず医師の裁量によって行うべき 4.7%   無回答 2.6%
行うべきではないが、ごく限られればよい   35.7%
保険上ルール違反なので行うべきではない  12.8%

1%未満 12.7% 5%以上10%未満 21.4%
1%以上2%未満 24.5% 10%以上20%未満  4.7%
2%以上3%未満  9.3% 20%以上  9.6%
3%以上5%未満  9.8%

    表1 適応外処方が全投薬に占める割合(総数:387名)


2.適応外使用対策
 この適応外処方の問題は、最近になって国会でも取り上げられた。医師が適応外処方を行わざるを得ない原因は、EBM(Evidence Based Medicine:根拠に基づ く医療)に適応し、治療上の有用性が明らかであるにもかかわらず、その適応を取得していない医薬品が存在することである。しかし、製薬会社では、適応追加の申請を行うには多額の費用が必要であり、採算上の問題が陸路となる。
 PDRは off-label treatment guide(適応外使用指針)として、FDA承認薬のうち、医学的根拠が確かなものについて、各疾患及び病態ごとにまとめリストアップしている。

1)厚生労働省の対策
 厚生労働省も1999年2月に製薬会社を対象にした通知「適応外処方に係る医療用医薬品の取り扱いについて」(研第4号、医薬審 第104号)を出し、米国や海外で既に承認され、医療における使用実績がある適応外処方については、学術論文などの資料を提出することで、適応追加に必要な臨床試験を全部、または一部省略できることとした。医療現場の強い要望によって、可及的速やかに新しい適応の医薬品を開発する手段として、一部の疾患にはオーファンドラッグとしての医薬品開発の優遇制度がある。
 しかし、対象の希少疾患と認定されるには、「わが国での患者数が5万人以下と推定される」などの規定があり、期待される適応疾患の患者数がこれより多い場合は、オーファンドラッグとしての開発も断念することになる。厚生科学研究の「小児薬物療法における医薬品の適正使用の問題点の把握及び対策に関する研究」班(班長:大西鐘壽・香川医科大小児科教授)は、平成10年から 3年計画で、小児における医薬品適応外使用について、添付文書の改訂根拠となる データ収集に乗り出す。小児医療において実際に使用頻度の高い医薬品のうち、添付文書に小児適応・薬用量などの記載がないものは 234品目中152品目(65%)もあると報告している。

2)適応外使用に対する調剤薬局
 「この薬は何の薬ですか?」「どのようにして用いますか?」という質問に対して、的確な情報を提供することが義務付けられている。処方せんには病名が記載されていないので、患者に伝える情報は、添付文書に基づいて対応するが、患者から得た情報では適応外使用と推定される場合がある。この場合には添付文書に記載された効能・効果などによる説明では、必ずしも適切でないことが起こりうる。この際の薬剤師の服薬説明は難しい。適応外使用に関する情報は少ないが、ある程度それらの情報を入手し、整備をしておかないと、医師の処方意図と薬剤師の情報が違うことによって患者を不安な気持ちにさせる。
 この患者の混乱はどうなるのであろう。慎重に対応しないと、医師に対し不信感をもち、それによって治療上の支障をきたす場合もある。 これらを考慮して、情報提供文書の末尾に、「以上の情報は医師の処方意図と違う場合がある」などと付記されていことがある。これは副腎皮質ステロイドなどの効能・効果の多いものは、すべてを記載できないことに対する配慮であろうが、それよりも適応外使用の対応でもあると思われる。
 調剤薬局の対応としては次に留意する。
@患者情報を的確に把握する。すべての服薬指導はこれに基づいて行われる。
A患者情報と処方内容に疑義があると考えられる場合は、処方薬の適応外の処方例を調べて対応する。
B患者情報と処方内容の疑義が解決されない場合は、処方医に照会する。
C小児科領域の適応外使用には特に留意する。
 医療用医薬品の主な経口製剤 1493品目中、添付文書に小児の用法・用量について記載のあるものは、約16%に過ぎなかった(2000年12月31日現在)。
なお、小児科領域で日常的に用いられている医薬品の中、添付文書上に用法・用量、効能・効果などについて、十分な記載のない医薬品は約70%以上と言われる。 小児は成人の miniature ではなく、単純に体重当たりで用量の設定はできず、また効能・効果も同一ではない。 添付文書上に、十分な情報が記載されておらず、例えば「使用経験がない」と記 載されていても、医師がその医薬品を処方することは違法ではない。適応外医薬品を投与された小児は、薬事法の定める一連の安全性確保システム(市販後調査 など)の対象とならないことが多く、医薬品による健康被害機構の適用を受けられない場合もある。小児に対する記載のない医薬品を使用することも適応外使用であろう。〔表 4〕 に小児に関する添付文書の概要を記載する。

@小児の用法・用量の記載のあるもの 236品目(15.8%) 193品目(24.3%)
A慎重投与の記載のあるもの      267品目(17.6%) 137品目(14.6%)
B安全性が確立していないと記載 573品目(38.5%) 340品目(42.1%)
C禁忌と記載されているもの  69品目( 4.8%)  26品目 (3.3%)
D記載が全くないもの 496品目(33.3%) 204品目(25.7%)
          計   1493品目    [注射剤]


            〔表 2〕添付文書における小児の用法・用量


3.適応外使用の実際
 医薬品の適応外使用は、日常的となっている。医薬品の多様性から考えても、限定された疾患にのみ特異的に効果を示すだけでなく、その機序からも承認されていない効能・効果に有用性を示すことが考えられるが、保険医療という制約が優先するのは当然であろう。適応症拡大が期待されている医薬品は、すでに他疾患で使用された経験が長いことから、すでに蓄積された安全性情報は一般に十分なことが多い。そこで、有効性に関する臨床データが確実ならば、柔軟かつ迅速な承認が考慮されるべきであると いう医師側の要望は強い。
 また、「2001〜2002 日本医薬品総覧:メディカルレビュー社」では、医薬品の効能・効果を“許可された適応症”と“その他の用い方”と記載されている。例えば、シメチジン(タガメット)の“その他の用い方”(適応外使用)として、帯状疱疹、原発性副甲状腺機能亢進症の記載がある。

1)日本臨床薬理学会拡大学術委員会による適応症拡大に関する調査
 1997年 6月、拡大学術委員会は、16分野から計83名の専門医を対象に、医薬品の必須適応拡大について調査を笑施した。この調査に関しては、種々の医学分野において、医学論文などの情報を根拠に、現在適応外使用されている医薬品の実例を挙げ、早急な適応拡大を必要としている候補薬剤としている。専門家の意見を広く反映させるために、16分野における薬物療法の専門家を、原則として各々5名選出し、〔表 3〕の基準に則って判定している。

◎:国内的・国際的・教科書的にも確立している適応症。専門家がいる病院であれば、もし当該適応がとれていれば(実際は現在もそうであるが)必ず使用する例がある薬物・治療法と適応症。
○:国内的・国際的にほぼ確立し、その有効性と有用性を示す正確なデータがある。100%ではないが、多くの専門病院で使われている薬物・治療法と適応症。
△:上記のどちらにも当てはまらない適応症、特に、まだ議論が分かれているものや、経験が少ないもの、適応症獲得のため少なくとも今後補完的治験が必要と思われる薬物・治療法。


           〔表 3〕適応症拡大候補薬剤の必要度の判定基準

 水島らはその必要度の点数化を試み、◎印は 2点、○印は1点、△印は 0点とすることにより、専門医 5名の点数を合計した。これによれば 7点以上の薬剤が、疾患との組み合わせで110あることが判明した。 ⇒○*印のもの

2)適応外使用及び医師からの適応拡大の要望のある医薬品一覧
 次の一覧表は、従来、処方に見られた適応外薬剤及び日本臨床薬理学会拡大学術委員会調査、Nikkei Medical(1997年7月)における適応拡大の要望のある薬剤をまとめた(適用が経口・外用のみで、注射用は除いた)。

 〔摘要欄〕

 ◇摘要欄の記載のないもの: 従来から適応外使用のあるもの
 ◇日本臨床薬理学会拡大学術委員会調査

@循環器系治療剤             H眼科治療剤
A消化器系治療剤 I向精神剤
B肝・胆・膵疾患治療剤 J血液に作用する薬剤・血液製剤
C抗ガン剤                  K骨粗鬆症治療剤
D泌尿器科治療剤             L皮膚科治療剤
E抗リウマチ剤・膠原病治療剤 M小児科治療剤
F腎・内分泌疾患治療剤 N抗微生物剤
G産婦人科治療剤 O呼吸器系治療剤・アレルギー治療剤

 
 *印のあるものは 7点以上のもの
 ◇Nikkei Medical 社 による調査

口-1 内科(含、循環器科) 口-5 産婦人科
口-2 外科(含、消化器科・脳外科) 口-6 耳鼻咽喉科
口-3 整形外科 口-7 眼科
口-4 皮膚科・泌尿器科 口-8 小児科

  口印の医薬品: 337名の医師から適応外処方例が寄せられたが、そのうち回答数の多かった内科については 5名以上、その他の科では 2名以上挙げた医薬品を示す。


           〔表 4〕適応外使用に関わる薬剤一覧

〔112 催眠鎮静剤〕

   薬剤名    疾患名等 摘要
フェノバルビタール しゃっくり -
ジアゼパム(坐剤を除く)
 セルシン、ホリゾン
痙攣、熱性痙攣(小児)、てんかん    M*
◇ジアゼパム(経口)の適用は神経症、うつ病及び心身症の不安・緊張・抑うつ、 脳脊髄疾患に伴う筋痙攣・疼痛であるが、熱性痙攣の適用はない。
しかし、ジアゼパム坐剤(ダイアップ)の適用は、小児の熱性痙攣及びてんかんの痙攣発作の改善。
クロラゼブニK 
 メンドン
てんかん -
ブロマゼパム 
 レキソタン、セニラン
ロフラゼプ酸エチル 
 メイラックス
ロラゼパム 
 ワイパックス
フルニトラゼパム
 サイレース、ロヒプノール
統合失調症、躁病、うつ病、中毒性神経障害、神経症による鎮静・催眠 -
パッシフローラエキス
 パシフラミン
更年期障害 -



〔113 抗てんかん剤〕

   薬剤名    疾患名等 摘要
フェニトイン
 アレビアチン、ヒダントール  
不整脈⇒ジギタリス由来の不整脈
しゃっくり、三叉神経痛
Williams分類
T-Bに分類
◇ジギタリスはα-アドレナリン遮断作用はないが、その適量によって、あらゆる型の不整脈が生じ、心原性ショック発生のおそれがある。この場合の不整脈(頻脈性不整脈、特に心室頻拍)治療にはフェニトインが第1選択である。
◇フェトインなどの抗てんかん剤は、神経細胞の細胞膜を安定化し自発性疼痛を軽減する。
プリミドン
 マイソリン、プリムロン
本態性振戦 -
パルプロ酸Na
 デパケン
摂食障害、人格障害、神経症、
I
クロナゼパム
 ランドセン、リボトリール
躁病、躁状態、Restless leg’s syndrome
本態性振戦、帯状疱疹、しゃっくり
I
◇帯状疱疹には、1回 0.5mgで開始、維持量 0.5〜6mg/日投与。
神経の興奮に関与するN aチャンネルを遮断して興奮を抑え、脳幹において神経の多シナプス反射を抑制する。
カルバマゼピン
 テグレトール
うつ病、人格障害、糖尿病性神経障害による疼痛。
発作性運動誘発性舞踏アテトーゼ(小児)。
アテトーゼathetosis:不随意運動
-
◇正確には機序は判明していない。神経の異常反射やその広まりを抑制し、過剰な興奮性を低下させる。



〔114 解熱鎮痛消炎薬〕

非ステロイド性消炎鎮痛剤 … 小児科領域
◇非ステロイド性消炎鎮痛剤が数多く開発されている。
その作用機序は、アラキドン酸代謝経路のシクロオキシゲナーゼを阻害することによって、PG産生を抑制 し、消炎・鎮痛効果をあらわす。
しかし、PGには発熱作用とは別に、腎血流量調節作用、胃粘膜保護作用などがあり、PG合成を阻害することは、それら生体にとって重要な作用をも阻害することになるので、腎障害、胃粘膜障害などの副作用は避けられない。安全性が最優先されなければならない小児科領域の解熱剤の適応は少ない。

   薬剤名    疾患名等 摘要
ロキソプロフェンNa
 ロキソニン
アルツハイマー病の進行防止 口-1
塩酸チアラミド
 ソランタール
腎炎 -
インドメタシン
 インダシン、インテバン
切迫早流産、切迫性膿疱性毛包炎  L*口-4
メフェナム酸
 ポンタール
動脈管開存症 M*
1回 2mg/kg、8〜24時間毎に、原則 3回まで。PG合成阻害作用による。



〔116 抗パーキンソン病剤〕

   薬剤名    疾患名等 摘要
塩酸アマンタジン
 シンメトレル
AIDS -
プロモクリプチン
 パーロデル
うつ病 -
◇ドパミンD受容体刺激作用によると考えられているが確定していない。



〔117 精神神経用剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
塩酸クロルプロマジン
 ウインタミン、コントミン
    ⇒静注する場合もある。
しゃっくり(吃逆) -
◇機序は確定していないが、吃逆中枢に対する鎮静作用、呼吸補助筋に対する抗痙攣作用が考えられている。
クロチアゼパム
 リーゼ
耳鳴 口-6
塩酸トラゾドン
 デジレル、レスリン 
神経症、摂食障害 -
ハロペリドール
 セレネース
チック、Tourette症候群(汚言症)
各種の不随意運動(ハンチントン舞踏病など)
せん妄、人格障害、摂食障害
モルヒネの吐き気止め ⇒ CTZに作用
I
I
◇Tourette症候群:7〜8歳頃に発症し、運動性のチェックとしばしば猥褻な言葉を発する。
* chemoreceptor trigger zone (CTZ) 化学受容体引金帯
ゾビテン
 ロドピン
躁病、躁状態、うつ病 I
ブロムペリドール
 インプロメン、メルカイック、ロペール
せん妄 -
炭酸リチウム
 リーマス
うつ病 -
◇セロトニンの遊離を促進することなどによる。
クロミプラミン
 アナフラニール
パニック発作(急性不安発作)
全般性不安障害(不安神経症)
強迫性障害(強迫神経症)
神経症、摂食障害、慢性疼痛
I
I
I
◇抗強迫作用は強いセロトニン再取込み阻害作用による。その他の三環系抗うつ剤のいくつかもこの作用がある。β-受容体の過活動・青斑核の不安定性の是正。
◇緩和な鎮痛作用をもつ。モルヒネ鎮痛作用の増強。
塩酸イミプラミン
 トフラニール
三叉神経痛、視床痛、神経症、
摂食障害、脊髄障害
-
塩酸アミトリプチリン
 トリプタノール
帯状疱疹後疼痛
モルヒネ鎮痛作用の増強
-
◇緩和な鎮痛作用をもつ。
スルピリド
 ドグマチール
神経症 I



〔119 その他の中枢神経系用薬〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
マジンドール
 サノレックス
高度肥満症 M



〔123 自律神経剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
塩酸トラゾリン
 イミダリン
新生児遷延性肺高血圧症 M*
◇抗コリンエステラーゼ剤で、主としてアセチルコリンエステラーゼを可逆的、持続的に阻害。神経因性膀胱などの低緊張性膀胱による排尿困難に用いる。前立腺肥大症の適応はない。



〔124 鎮痙剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
塩酸エペリゾン
 ミオナール
耳鳴 -
臭化ブチルスコポラミン
 ブスコパン
慢性膵炎
 ⇒膵炎による軽度の腹痛や腰背痛
-
臭化ブトロピウム
 コリオパン
塩酸エペリゾン
 ミオナール
筋緊張性頭痛 -
アフロクァロン
 アロフト



〔131 眼科用剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
ヒアルロン酸Na
 ヒアレインミニ点眼液
ドライアイ 口-7
◇シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群に伴う角結膜上皮障害に限る。ただし、ヒアレイン点眼液はドライアイの適用がある。



〔211 強心剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
ユビデカキノン
 ノイキノン
男性不妊症、突発性難聴 -
◇単独使用は少なく、他のビタミン剤などと併用する。突発性難聴に対して、1日 30mg、分 3で、ステロイド剤と併用。虚血による組織障害に対する保護的作用から内耳の代謝障害を改善する。
アミノフィリン
 ネオフィリン
未熟児無呼吸発作 M*
◇投与量:2〜6mg/kg/日、2〜4回に分けて。気管支拡張作用による。



〔212 不整脈用剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
酢酸フレカイニド
 タンボコール
上室性頻脈性不整脈 @
◇心室性のみならず上室性不整脈に対しても、最も強力な抑制効果が期待されるが、上室性不整脈の効能・効果の適用がなく、心室性不整脈のみ適応である。
β-遮断剤 高度心不全、本態性振戦、起立性低血圧
拡張型心筋症
肝血流増加、食道胃静脈瘤、全般不安
甲状腺機能亢進症、心筋梗塞後の予後改善
@
@
◇1982年にβ-brocker heart attack trial の成績が報告されて以来、β-遮断剤使用により心筋梗塞後の死亡率が低下することが報告されている。心筋梗塞におけるβ-遮断剤の使用目的は、欧米では発症後間もない時期に使用し、心筋障害ないし死亡率を減少させること、慢性期の使用により再梗塞ないしは死亡のリスク を減少させることにある。
◇非選択性・β-選択性剤ともに本態性振戦に対しては有効であるから、気管支喘息などの慢性肺閉塞性疾患のある症例に対しては、β-選択性のものを使い、そうでない患者には非選択性のものを使う。
◇β-受容体を介する末梢血管の拡張作用を減少させ、またα-受容体に作用して血管収縮に働いて起立性低血圧を是正する場合もある。 (内因性交感神経刺激作用を有するβ-遮断剤)
◇拡張型心筋症による左心機能低下例で、β-遮断剤が心機能改善作用、死亡率減少を示すことが知られている。
◇食道胃静脈瘤に対して、わが国では静脈瘤の結紮・硬化療法が主体となっているが、欧米ではβ-遮断剤によって門脈圧下降を期待することが多い。
◇不安に対しては、脳神経系におけるβ-受容体を介するものと推察。
◇頻脈、動悸、振戦、発汗亢進など甲状腺機能亢進症の急性期症状を抑える目的で、抗甲状腺剤と併用される。
◇心筋梗塞後の予後改善にはプロプラノロールなど、ISA(内因性交感神経刺激様作用)のないβ-遮断剤が有効。
塩酸プロプラノロール
 インデラル
食道胃静脈瘤
起立性低血圧、本態性振戦、片頭痛(予防)
B*
塩酸アルプレノロール
 アプロバール
本態性振戦 -
塩酸インデノロール
 プルサン
片頭痛(予防)、本態性振戦、起立性低血圧 -
ピンドロール
 カルビスケン
-
塩酸カルテオロール
 ミケラン
アカシジア(静座不能症) -
◇緩徐な脳内移行に基づく中枢性の作用。



〔213 利尿剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
チアジド系製剤 腎性尿崩症 F*
◇チアジド系利尿剤は遠位尿細管にあるチアジド感受性Naチャンネルに作用して、Na利尿を起こす。チアジド系利尿剤が腎性尿崩症に有効であるのは、詳しくは解明されていないが、次の機序も一因でないかとされている。 チアジド系利尿剤により体内尿量が減少し、体内尿量が減少すると、今度は逆に近位尿細管での NaCl の再吸収が亢進し、その結果、遠位尿細管に達するNaと水の量が減少し尿量を減少させる。さらにチアジド系利尿剤は遠位尿細管での NaCl の再吸収を抑制する。この付近でのネフロンは希釈された尿を作り出すのに重要な役割を果たしており、この希釈された尿の生成を抑制することで、チアジド系利尿剤は多尿を阻止している可能性がある。一般に腎性尿崩症ではチアジド系利尿剤により尿量が半減すれば有効といえる。



〔214 血圧降下剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
Ca拮抗剤 片頭痛、気管支喘息、抗ガン剤の補強作用 -
◇片頭痛: Ca拮抗剤は末梢血管より脳血管を選択的に拡張すること、内因性の血管収縮物質(5-HT、NE、PG類)の作用に拮抗することから、片頭痛の予防に使われる。片頭痛の原因は明らかでないが、何らかの刺激によって血小板から5-HT、 TX-Aの放出、あるいはPG類の生成により脳内血管のスパスムが起きて、発作前期では脳血流量が減少するが、次いで反応性に頭蓋内外の血管が拡張すると考えられている。
◇気管支喘息: Ca拮抗剤は血管平滑筋以外の平滑筋、例えば気管支筋を弛緩させることにより気管支喘息への適用が考えられる。気管支喘息はアレルギーの関与が重要であるが、アレルギー反応の際には肥満細胞から、ヒスタミン及びPAFなどの炎症性 の化学伝達物質の遊離、気道粘膜における粘液の分泌及び神経伝達作用は、すべてCa2+の流入を介するので、Ca拮抗剤は気管支喘息に有効と考えられる。
◇抗ガン剤の補強作用: P-糖タンパク*は、抗ガン剤に多剤耐性を示すガン細胞で過剰に発現していることから発見されたが、その後、ガン細胞のみならずヒトの副腎、腎臓(尿細管)に多く含まれ、その他、肝臓、膵臓、小腸、大腸などの上皮細胞の管腔側、脳や精巣の毛細血管内皮細胞、胎盤のトロホプラストなどにも存在することが判明している。   
*P-糖タンパク:薬物排出輸送担体。
特に最近では、脳血管内皮細胞にも存在することが判明し、脳血管内皮において、 血液-脳関門の一部を構成する分子ではないかと推測され脳に有害な抗ガン剤 などを脳外に排出させる機能を担っているのではないかとされている。
P-糖タンパクは抗ガン剤を細胞外に能動輪送するポンプとしての機能をもつ。 これはガン細胞においてP-糖タンパクは、ATP依存的に抗ガン剤を細胞外へ排出することにより、抗ガン剤の細胞内への移行を低下させる。従って、P-糖夕ンパクを過剰発現したガン細胞においては、抗ガン剤の細胞内取り込みが減少 し、抗ガン剤に対して耐性を示すようになる。多くの臓器で、抗ガン剤が効かない固型ガンには、P-糖タンパクが過剰に発見されている。
従って、抗ガン剤耐性の克服に有効なCa拮抗剤は、P-糖タンパクを目標として結合し、抗ガン剤と競合することによって、抗ガン剤の耐性細胞からの排出を阻害して、耐性を克服し、抗ガン剤の効果を増加させる。
  薬剤名   疾患名等 摘要
ACE阻害剤 心不全、心筋梗塞後の予後改善
糖尿病腎症(タナトリルのみ適応あり)
腎炎、ネフローゼ症侯群
誤嚥性肺炎
@*
F*
F
◇心筋梗塞後の予後改善にACE阻害剤が使われるが、心筋梗塞後にレニン・アンジオテンシン系が活性化され、これが左室リモデリングによる心不全の原因になる。
心筋梗塞後に、ACE阻害剤を服用することで、死亡率の低下が確認。
◇日本での透析患者は17万人で、毎年1万人以上が新たに透析療法を始めている。
その中で糖尿病性腎症によるものが40%以上とされている。糖尿病患者の大部分は、非インスリン依存型であるが、糖尿病性腎症は、その進展過程がインスリン依存性糖尿病と類似し、微量アルブミン尿、タンパク尿を経て腎不全へと進行するとされているが、ACE阻害剤はこの進行を遅らせる。 最近では非インスリン依存型糖尿病でもACE阻害剤が腎保護作用を示す報告が多い。現在のACE阻害剤は、すべて腎排泄型である。 ACE阻害剤は降圧作用の他に次の作用がある。
a.腎保護作用及び尿タンパク減少作用: この腎保護作用は次の機序によると考えられている。一般に正常な状態では 腎臓の糸球体の輸入細動脈と輸出細動脈の圧のバランスによって糸球体内圧はコントロールされている。しかし、何らかの影響でアンジオテンシンUが腎臓内で増加すると糸球体内圧が上昇する。糸球体内圧が上昇すると、尿中ヘアルプミンが漏出する。その漏出したアルプミンは、糸球体内のメサンジウム細胞や上皮細胞に対して、細胞毒性を示す。
b.抗動脈硬化作用:
そこにさらにアンジオテンシンUが加わると硬化病変へと進展する。
c.抗心不全作用:
心不全に対しては、1/2 程度から開始し、漸増する。ACE阻害剤はアンジオテンシンUの産生を抑制作用により、末梢血管抵抗を減少させた後、負荷を軽減する。アルドステロンの分泌を抑制し、Na・水分の貯留を減少させることで前負荷を軽減する。
◇ACE阻害剤の空咳の副作用を応用して、誤嚥性肺炎に使われる。ACE阻害剤は、嚥下反射と咳反射をつかさどるサブスタンスPの分解も抑制する。
塩酸プラゾシン
 ミニプレス
神経因性膀胱(女性) D
塩酸テラゾシン
 ハイトラシン、バソメット
酒石酸メトプロロール
 セロケン、ロプレソール
不安神経症、拡張型心筋症
神経因性膀胱炎(女性)
-
◇塩酸タムスロシン、塩酸プラゾシン、塩酸テラゾシンはいずれも膀胱平滑筋に存在する交感神経 α-受容体を遮断して、尿道内圧を下げ、前立腺肥大症に伴う排尿障害治療剤として適応が認められている。しかし、女性の排尿障害に対しては適応がない。女性における利尿筋-尿道括約筋協調不全(DSD)に伴う排尿困難や断続的排尿、尿失禁に対して、排尿筋の弛緩を目的とした α-受容体遮断剤の投与は、最大尿流量、平均尿流量において有意の改善はみられないものの、排尿状態の改善がみられ、残尿量が有意に改善したとの報告がある。
◇メトプロロールなどの拡張型心筋症は心筋酸素需要減少による心筋代謝改善など。
注:α-受容体は次の特徴がある。
a.血管には α-受容体が、心臓には α,β-受容体。
b.シナプス後 α-受容体は、 α-受容体(刺激により血管を収縮)。
 シナプス前 α-受容体は、 α
-受容体。
カルベジロール
 アーチスト
軽度のうっ血性心不全
 慢性心不全 ⇒ 2002.10. 8
-



〔216 血管収縮剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
塩酸ミドドリン
 メトリジン
腹圧性尿失禁 -
◇選択的 α-受容体刺激剤。⇒ 塩酸エフェドリン



〔217 血管拡張剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
塩酸ベラパミル
 ワソラン
切迫早流産
発作性上室頻拍、心室頻拍
降圧 ⇒ Ca拮抗剤でもワソランには適応がない。

@*
◇子宮平滑筋に対して電気的機械連関を可逆的に抑制、筋の弛緩をもたらす。
ニフェジピン
 アダラート、セパミット
気管支拡張作用 -
◇気管支拡張作用は、特にニフェジピン、ジルチアゼムに認められるが、その他のCa拮抗剤でも確認。喘息はヒスタミン・SRS-Aなどの化学伝達物質の遊離が肥満細胞内へのCa2+ の流入によって起こる。Ca拮抗剤はこのCa2+ の細胞内への流入を選択的に抑制する。
塩酸ジラゼプ
 コメリアンコーワ
ネフローゼ症候群
糖尿病性腎症
-
◇糸球体内での血小板の凝集・粘着を抑制し、尿タンパク減少効果と腎機能の改善。
ジピリタモール
 ペルサンチン
糖尿病性腎症 -
◇血小板の凝集抑制作用と腎輸出細動脈の拡張作用により、腎の血行動態改善、尿タンパク減少効果。



〔218 高脂血症〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
ポリエチレンホスファチジルコリン
 EPL
ざ瘡及び類似疾患
-
ベサフィブラート
 ベザトールSR
AL-P・γ-GTP値改善 -
デキストラン硫酸Na
 MDS
動脈硬化 -



〔219 その他の循環器用薬〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
塩酸ニカルジピン
 ニコデール、ペルジピン
抗癌剤効果の増強
気管支喘息
-
フマル酸ブロビンカミン
 サブロミン
緑内障 (緑内障における視野障害進行防止) H
マレイン酸シネパジド
 ブレンディール
めまい -



〔222 鎮咳剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
塩酸エフェドリン 低血圧、腹圧性尿失禁 -
◇注射剤の効能・効果には「脊椎麻酔時の低血圧」の記載があるが、その他の血圧低下にも主として交感神経終末よりNEを遊離させて間接的に作用。 エフェドリンは交感神経β-刺激作用による気管支拡張剤であるが、泌尿器科では膀胱頸部、三角部、前立腺及び尿道の平滑筋に豊富に存在するα-受容体に対するα-刺激剤として、腹圧性尿失禁の治療に用いる。
75mg/日を1日3〜4回に分けて投与するが、連用すると tachyphylaxis があるので効果は減少する。血圧上昇、動悸、不眠などの副作用がある。



〔225 気管支拡張剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
テオフィリン
 テオドール、テオロング、スロービット 
未熟児無呼吸発作 M
◇出生体重 1800g(在胎33週)以下では30%に、1300g(在胎30週)以下で70%に、1000g(在胎28週)以下ではほとんど全例に無呼吸発作が認められる。
未熟児の代謝の特異性としてテオフィリンからカフェインへ代謝されるので両者の血中濃度のモニターが望ましい。



交感神経刺激剤(β-受容体刺激剤)

  薬剤名   疾患名等 摘要
塩酸クレンブテロール
 スピロペント
切迫流産 口-5
硫酸テルブタミン
 ブリカニール
硫酸オルシプレナリン
 アロテック
塩酸ツロブテロール
 ホクナリン、ベラチン
◇切迫流産にはテルブタミンがよく使われ、現在、切迫早流産では第一選択で、最も有効とされている。β-刺激剤にはβ、β作用があり、β-作用は主に心筋を刺激し、β-作用は子宮筋弛緩、気管支拡張を示すので、β-作用がβ-作用より弱いものが理想である。



〔232 消化性潰瘍用剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
H-受容体拮抗剤 胃炎、乾癬、帯状疱疹、蕁麻疹、免疫賦活作用、抗掻痒作用、 口-4
非ステロイド性消炎剤使用時の予防的投与
慢性膵炎
口-1
◇特にシメチジンの使用例が多い。免疫賦活作用、抗掻痒作用が期待できる。帯状疱疹の症状寛解のみでなく、性器ヘルペスなど、他のヘルペスにも効果。シメチジンは、免疫増強作用を示すことにより、腫瘍治療の補助療法及びウィルス治療に用いられている。 シメチジンの細胞免疫の活性化の機序は次のように考えられている。腫瘍免疫ではキラーT細胞やNK細胞が腫瘍を殺すが、それらの活性を制御しているのがヘルパーT細胞やサプレッサーT細胞である。
ウィルス感染やガン患者ではヒスタ ミンが増加することが知られており、このヒスタミンがサブレッサーT細胞を活性化して免疫能を低下させている。 シメチジンはガン細胞に直接作用するのではなく、主としてH
-受容体を持つサプレッサーT細胞の活性を抑制し、ヘルパーT細胞やNK細胞の活性を高めることにより、抗腫瘍効果及び抗ウイルス作用を発揮する。
また、ヒスタミンは腫瘍細胞に直接働いて増殖させる可能性も示唆されており、 シメチジンはその作用も抑制し細胞免疫の活憧化に関与することも示唆される。
◇ヒスタミン受容体には、H、H、H がある。蕁麻疹のほとんどはH受容体拮抗剤である抗ヒスタミン剤の内服に反応するが、ときに抗ヒスタミン剤だけでは抑制できず、H受容体拮抗剤との併用が効果を示す症例がある。
蕁麻疹は肥満細胞から遊離されるヒスタミンが血管内皮細胞に発現するヒスタミン受容体と結合し、血管透過性を増加させて生じる真皮上層の一過性浮腫である。
血管内皮細胞にはH
のみでなく、Hも発現しているので、HとともにHをブロックすれば、蕁麻疹に対してより効果が期待できる。
◇胃酸分泌を抑制し、十二指腸内のp H低下による膵液分泌亢進を予防し、膵炎の悪化を抑制する。
ミソプロストール
 サイトテック
非ステロイド性消炎鎮痛剤の使用時
 ⇒長期使用時の潰瘍には適用がある。
-
ポラプレジンク
 プロマック
味覚障害 口-6
◇プロマックはL−カルノシンと亜鉛の錯体の胃潰瘍治療剤。 プロマック顆粒(1包 0.5g:亜鉛16.9mg)2g が硫酸亜鉛 300mgに相当。
味覚障害に対しては、硫酸亜鉛末を1回100mg、1日 3回投与する場合もある。 硫酸亜鉛の内服は、口腔・胃粘膜の腐食、炎症、胃潰瘍、悪心・嘔吐、下痢、四肢痙攣、低血圧、冷汗などの副作用を起こすが、プロマックは胃粘膜に付着して、創傷治癒、細胞保護などの作用がある。
体内亜鉛:体内の総亜鉛量・・・・約 2.5g(体重70kg)
筋肉(65%)、骨(21%)、血液(0.78%)
亜鉛所要量:米国・・・・男憧15mg、女性12mg (1日当たり)
         日本・・‥ 8〜12mg ⇒ 1/3 は米より摂取



〔235 下剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
ピコスルファートNa
 ラキソベロン
大腸レントゲン・ファイバースコープの前処理 -



〔236 利胆剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
ウルソデオキシコール酸
 ウルソ
慢性肝炎 B*
◇慢性肝炎に対して150mg/日投与とされているが、特にC型慢性肝炎で有効量と考えられるのは 600mg/日である。なお、胆石融解を目的とする場合は 600mg/日までの投与が許可されている。
GPT(ALT)を低下させる薬剤としてはグリチロンがあるが、ウルソデオキシコール酸の方が効果が強い。
副作用としてはときに下痢、腹部膨満感、胸やけなどがある。原発性胆汁性肝硬変に対する唯一の薬剤であるが、許可されている150mg/日では効果が不十分で、 600mg/日が必要である。



〔239 その他の消化器官用薬〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
メトクロプラミド
 プリンペラン
しゃっくり -
◇延髄にある反射中枢を抑制すると考えられる。



〔243 甲状腺ホルモン剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
乾燥甲状腺
 チレオイド
うつ病 -
◇脳内アデニールシクラーゼ活性の強化。



〔245 副腎ホルモン剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
べタメタゾン
 ベトネラン、リンデロン
未熟児出産時の肺成熟のため G*
酢酸フルドロコルチゾン
 フロリネフ
起立性低血圧症、重症低血圧 F



〔247 卵胞ホルモン及び黄体ホルモン剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
エストリオール
 エストリール、 ホーリン
各種骨粗鬆症 ⇒ エストリールのみ老人性骨粗鬆症の適応あり。 K*
結合型エストロゲン
 プレマリン
-
◇閉経後女性にエストロゲンを投与すると骨量低下が抑制されるが、その機序につ いては現時点では必ずしも明らかでない。しかし最近、エストロゲンはIL-1、 IL-6やTNFなどの骨吸収性サイトカインの合成・分泌を制御することにより 骨吸収及び骨代謝回転を調節することが報告されている。
骨粗鬆症の適応はないが、骨粗鬆症の薬物療法としてエストロゲンを投与する場合には、日本骨代謝学会の診断基準の骨量減少あるいは骨粗鬆症が対象と考えられる。特に閉経直後の骨量低下の程度は大で、閉経後早期ほどよい。
エストラジオール
 エストラダームTTS
思春期遅発症
注:閉経後骨粗鬆症の適応
              2002.4.11
M
酢酸メドロキシプロゲステロン
 プロベラ、ヒスロン、プロゲストン
HRT*の際にエストロゲン製剤と併用。  HRT:ホルモン補充療法 口-5



〔249 その他のホルモン剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
酢酸ブセレリン
 スプレキュア
排卵誘発抑制 口-5
インスリン 床ずれ、皮膚潰瘍 -
◇レンテインシュリンを10倍の生理食塩水で希釈(速効性インシュリン10単位を生理食塩水 100ml に希釈)。
ジノプロストン、ベータデクス
 プロスタホルモン・ETab.
新生児動脈拡張
化学療法による口腔粘膜病変
-
◇PGE、Eは子宮に対しては収縮作用を示すが、動脈管に対しては逆に拡張作用を示す。経口の場合は、PGEの方が副作用の面からも優れている。
局所投与による粘膜病変を予防・軽減化。
タナゾール
 ボンゾール
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
再生不良性貧血
IgA腎炎、骨髄異形成症候群
 J* M
 J
クエン酸クロミフェン
 クロミッド
男性不妊症 -
◇造精機能に関与する内因性ゴナドトロピン分泌刺激作用。



〔255 痔疾用剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
メリロートエキス・ルチン
 エスベリベン
腫脹の緩解、リンパ浮腫 -
◇リンパ流量増大、末梢循環改善。



〔259 その他の泌尿生殖器官用薬〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
塩酸タムスロシン
 ハルナール
神経因性膀胱(女性) D*
◇膀胱頸部の α-受容体を遮断して、収縮を抑制し、尿道抵抗を低下させる。



〔261 外皮用殺菌消毒剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
ポピドンヨード
 イソジン
褥瘡、熱傷 -
◇イソジンシュガー軟膏として。



〔264 収斂剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
硫酸亜鉛 味覚障害 ⇒ 亜鉛欠乏症の改善 -



〔265 寄生性皮膚疾患用剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
ケトコナゾール
 ニゾラールクリーム
脂漏性皮膚炎 口-4



〔269 その他の外皮用薬〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
メトキサレン
 オクソラレン、メラニジンA
乾癬(PUVA*療法)
 *プーバ:ソレラン長波長紫外線
L*
ジアフェニルスルホン
 レクチゾール
皮膚アレルギー性血管炎 L*
◇好中球の活性酸素産生の抑制効果があり、初期に投与して有効である。



〔290 その他の個々の器官用薬〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
セファランチン
 セファランチン
帯状疱疹、AIDS
特発性血小板減少性紫斑病
滲出性中耳炎

M
◇滲出性中耳炎に対し、生体膜安定化作用による中耳粘膜保護。



〔311 ビタミンD〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
アルファカルシドール
 アルファロール、ワンアルファ
乾癬 -



〔313 ビタミンB剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
ニコチン酸アミド 水疱性類天疱瘡 -
◇C-AMP phosphodiesterase の特異的抑制、mast cell の脱顆粒の抑制。
リン酸ピリドキサール
 ピロミジン、ピドキサール
ウエスト症侯群(点頭てんかん)
West syndrome
M*
メコバラミン
 メチコバール
男性不妊症 D
◇活性型VB12の造精機能障害に対する効果が、多施設共同のプロスペクティプ・ スタディによって有効性が証明されている。男性不妊症に対する保険適応の薬剤が少ない現状では、早期の適応認定が望まれている。
コバマミド
 カロマイド、ハイコバール
メチルマロン酸尿症、大量経口療法 -



〔314 ビタミンC剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
アスコルビン酸 鉄剤の吸収増加 -
◇2価の鉄への還元作用促進。鉄の吸収増加のためにVCが併用される。消化管からは 2価の鉄イオンしか吸収されないため、抗酸化作用のあるVCを併用することで、鉄が 3価に酸化されることを防止する。



〔321 カルシウム剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
乳酸カルシウム 各種骨粗鬆症 K
◇乳酸カルシウムは、低カルシウム血症に起因するテタニー、妊婦・産婦の骨軟化症、発育期におけるカルシウム補給が適用とされ、骨粗鬆症の適用はない。
カルシウム剤で骨粗鬆症の適用のあるのは アスパラCaとリン酸水素Caのみである。



〔322 無機質製剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
塩化カリウム
 スローケー
高血圧症、カリウム低下症 -
ヨウ化カリウム
 ヨウ化カリウム
放射性ヨードによるシンチグラムの前投与。
F



〔331 止しゃ剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
次硝酸ビスマス
 次没食子酸ビスマス
H.ピロリ感染症 M



〔331 血液凝固阻止剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
ワルファリンK
 ワーファリン
心疾患 -



〔339 その他の血液・体液用薬〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
塩酸チクロビジン
 パナルジン
狭心症、心筋梗塞の治療・再発予防
虚血性心疾患、虚血性脳疾患
冠動脈再建術後の再狭窄防止
心房細動
糖尿病性神経障害、
糖尿病性腎症
  口-1
  @
  @
◇心房細動に合併する左房血栓の防止、塞栓症防止目的にも広く使用されている。心房細動における有効性はまだ明確にはされていない。
ベラプロストNa
 ドルナー、プロサイリン
腰部脊柱管狭窄症
肺高血圧症
  口-3
  M



〔392 解毒剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
D−ペニシラミン
 メタルカプターゼ
強皮症 -
◇ウイルソン病に本剤を長期間使用すると、皮膚の可溶性コラーゲンが増加し、時に皮膚が増加し、皮膚の薄層化が見られることもある。



〔394 痛風治療剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
アロプリノール
 アロシトール、ザイロリック
抗ガン剤投与時の口内炎 (0.1〜0.6%アロプリノール含嗽液として) 
ロイケリンの作用増強
-
◇ロイケリンの作用増強は、6-MP分解酵素阻害作用、活性酸素の産生抑制による。
コルヒチン
 コルヒチン
ベーチェット病
難治性ぶどう膜炎
デスモイド
壊死性血管炎
 E*H*
 H*
 C
◇ベーチェット病は白血球数の増加、遊走能の亢進など白血球の異常が見られる。 コルヒチンは好中球の遊走能、運動性を抑制することや、壊死性血管炎に対して、好中球の遊走阻止、貪食作用の抑制作用により臨床使用される。 ベーチェット病に対しては、ステロイドとシクロスポリンが保険適用である。神経病変、消化器病変などの全身症状には、ステロイドを
用いるが、眼のぶどう膜炎の治療には用いない。
理由はステロイド剤の減量、中止時にぶどう膜炎の再燃が起こり、視機能に対して予後不良とされているからである。
ベーチェット病の眼症状は虹彩毛様体型と網膜ぶどう膜炎型に大別され、網膜ぶどう膜炎型にはコルヒチンとシクロスポリンが用いられ、コルヒチンが第1選択 として用いられる。副作用の程度が軽く、頻度が少ないこと、薬価の低いことによる。
コルヒチンの初期量は、1.0〜1.5mg/日で、一度開始したら長期間(数年)にわたって使用を続けるので副作用に注意する。
副作用としてはミオパチーや末梢神経炎が報告されており、シクロスポリンとの併用ではミオパチーが多い。 コルヒチン及び代謝物の大部分は、胆汁中及び腸液中に分泌され小腸に達する。
腸上皮での急激な代謝回転のため、スクラーゼ、マルターゼ、ラクターゼの活性が低下し、下痢などの胃腸障害の発生頻度が高い。 催奇形性が見られるので妊婦には投与しない。また男性の服用により、配偶者にダウン症侯群、その他の先天異常児の出生する可能性があるので、両親いずれかのコルヒチンの服用は妊娠成立前 3ヵ月は中止する。



〔396 糖尿病用剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
ボグリボース
 ベイスン
胃切除後のダンピング症侯群*
-
◇急激な血上昇⇒インスリンの過剰分泌 ⇒ 低血糖の改善
*ダンピング症候群 : 胃切除後の食後に起こる。悪心、嘔吐、脱力感、動悸、頻脈、発汗などの循環失調症状を伴う。



〔399 他に分類されない代謝性医薬品〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
ATP
 アデホスコーワ
鼻粘膜代謝の賦活 -
アザチオプリン
 アザニン、イムラン
自己免疫性肝炎
血管炎症候群、ステロイド抵抗性膠原病
ステロイド補助療法
特発性血小板減少性紫斑病
天疱瘡、類天疱瘡
多発性硬化症、炎症性腸疾患( ⇒ 免疫抑制)
  B*
  E
  E
  J
  L
◇自己免疫性肝炎に対しては副腎皮質ステロイドが第1選択として使用されるが、十分反応しない場合にアザチオプリンを追加(25〜50mg/日)する。 免疫抑制状態となるため、感染症への対応、骨髄抑制などに注意する
◇多発性硬化症:リンパ球に作用し、DNA合成を抑制する。抗炎症作用もある。
シクロスポリン
 サンディミュン
劇症肝炎
皮膚筋炎に伴う急性進行性間質性肺炎
難治性ぶどう膜炎、
蚕食性角膜潰瘍
角膜移植後の拒絶反応抑制
天疱瘡、類天疱瘡
ベーチェット病
難治性ネフローゼ症侯群
   (ネフローゼ症候群はあり)
  B
  E
  H* 
  ◇-39
  H
  L


◇難治性ぶどう膜炎、角膜移植後の拒絶反応には免疫が深く関与している。 シクロスポリンは IL-2 の産生及びその受容体作用を抑制することにより、選択的に細胞性免疫反応を抑制する。



〔421 アルキル化剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
シクロホスファミド
 エンドキサン

        (パルス療法)
骨、軟部肉腫全般に使用
血管炎症候群、ステロイド抵抗性膠原病
ステロイド補助療法
重症SLE、SLEの急速に悪化する腎不全
ペーチェット病、難治性ぶどう膜炎
ネフローゼ、ループス腎炎
   C*
   C*
   E

   H
◇ネフローゼ、ループス腎炎に対し、B細胞の機能抑制を主とした細胞性・液性免疫抑制作用。
メルファラン
 アルケラン
骨髄移植 (腸内殺菌)    M



〔422 代謝拮抗剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
メルカプトプリン
 ロイケリン
クローン病、潰瘍性大腸炎 -
◇プリン代謝拮抗、T細胞を介した免疫反応抑制。
メトトレキサート
 メソトレキセート
慢性関節リウマチ⇒リウマトレックスで適応
乳ガン (CMF療法の場合のみ適応)
骨、軟部肉腫全般に使用
膀胱ガン
ベーチェット病、難治性ぶどう膜炎
尋常性乾癬
 E*口-3
   C*
   C
   D*
   H
   L
◇慢性関節リウマチで最も保険適応が望まれているのは、メトトレキサートで、米国では1980年代に無作為プラセボ対照比較試験により有用性が報告され、続いて meta−analysis の解析が報告され、FDAによって承認されている。少量間歇投与(5〜20mg/週)により有効性が認められている。⇒リウマトレックスで適応
メトトレキサートは抗炎症効果が認められ、骨破壊の進展防止作用も示唆されて いる。他の抗リウマチ剤と比較して投与継続率が高く、エスケープ現象も少ない。ただ、重篤な副作用が見られることがあり、至適用量に個人差がある。少量より投与を開始し、副作用チェックと効果の評価を定期的に行う。
◇乾癬は表皮ケラチノサイトの増殖が高度に亢進した疾患である。メトトレキサー トは葉酸拮抗剤で、dihydrofolate reductase に結合しDNA合成を抑制するため、ケラチノサイトのDNA合成が亢進した乾癬の治療に有効である。細胞周期 が約 450時間である正常表皮細胞への影響を少なくして、乾癬表皮細胞(細胞周期は約 36時間)の増殖を効率的に抑制する。
フルオロウラシル(5−FU)
 5−FU、5−FU軟膏
腎ガン、膀胱ガン、前立腺ガン
胆道ガン
尋常性疣贅
尖圭コンジローム
   D
   C
   口-4
   口-5
ヒドロキシカルバミド
 ハイドレア
真性赤血球増加症、本態性血小板血症
真性多血症  ⇒ 骨髄抑制 (血小板減少作用)
   J



〔424 抗腫瘍性植物成分製剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
エトポキド
 ペプシドS、ラステット
胃ガン、骨肉腫、南部肉腫
神経芽細胞腫、悪性グリオーマ
-



〔429 その他の腫瘍用薬〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
クエン酸タモキシフェン
 ノルバデックス
不妊症 -
◇クロミフェン(クロミッド)と類似構造、排卵誘発の目的。
クロミフェンは男性不妊症には、1日 12.5〜 50mgを連日、1日 25mgを連日投与後、5日間休薬、1日 5mgを連日投与。造精機能に関与する内因性ゴナドトロピン分泌刺激作用による。
塩酸プロカルバジン
 ナツラン
髄芽腫、悪性グリオーマ -
ウベニメクス
 ベスタチン
急性非リンパ性白血病 M



〔449 その他のアレルギー用薬〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
トラニラスト
 リザベン
ケロイド。
PTCA後の再狭窄防止。
-
◇ケロイドの出現予防、増殖進行を抑制し自覚症状を軽減する。これは、肥満細胞 ⇒ ケミカルメディエーター ⇒ 筋線維芽細胞 ⇒ ケロイド生成の機序を推定し、肥満細胞からケミカルメディエーターの遊離抑制作用の応用。
PTCA後の再狭窄防止には、300mg/日 分 3 投与。サイトカイン産生遊離抑制作用などによる。
PTCA:経皮経管的冠血管形成術
 カテーテル法によるバルーン誘導によって冠血管を拡張させる方法。
クロモグリク酸Na
 インタール
経口:潰瘍性大腸炎
外用:アトピー性皮膚炎
-
シプロヘプタジン
 ペリアクチン
食欲不振 -
◇視床下部外野部(摂食中枢)の亢進作用、腸内側核(飽満中枢)の抑制。



〔520 漢方製剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
紫苓湯 滲出性中耳炎 -
◇抗アレルギー(V型)作用及び抗炎症作用が認められる。
葛根湯 腹圧性尿疾患 -
八味地黄丸 骨粗鬆症 -
真武湯 -
白虎加人参湯 向精神薬による口渇 -



〔611〜619 抗菌剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
塩酸バンコマイシン
 塩酸バンコマイシン散
肝性脳症 -
硫酸ポリミキシンB
 ポリミキシンB
肝性脳症  B* 611
硫酸カナマイシン 肝性脳症  B 612
◇肝性脳症は血中アンモニア濃度の上昇を抑えることによって予防できる。この目的のために抗菌剤(カナマイシン、バンコマイシン、ポリミキシンなど)が、腸のなかのアンモニア産生菌を殺菌するために大量経口が行われる。
エリスロマイシン
 エリスロシン
レジオネラ菌、慢性閉塞性肺疾患
気管支喘息、慢性気管支炎
びまん性細気管支炎(DPB)
慢性副鼻腔炎、滲出性中耳炎
非小細胞ガン、
糖尿病患者の胃アトニー症状
 N* 614
 O
 O*
◇同じマクロライド系のクラリスロマイシンにはびまん性汎細気管支炎の適応がある。1日 600mg、分3 投与。抗炎症・免疫作用による。
DPBに対して、エリスロマイシンは抗菌作用でなく、抗炎症作用を期待して、 少量長期投与(400〜600mg/日、半年で効果を判定)される。同様の機序により 慢性副鼻腔炎、滲出性中耳炎に使用される。
◇胃アトニー症状(無緊張胃)とは、胃筋肉の緊張が異常に低下し、胃の働きが弱 くなった状態を言う。 糖尿病患者において食後に現れる胃内容物排出低下に伴う、食物の長時間停留による胃アトニー症状(吐き気・嘔吐、食欲不振、膨満感、上腹部不快感など)を訴える場合が多い。
その治療に胃内容排出促進作用をもつプリンペランなどの消化管機能調整剤が用いられるが、エリスロマイシンの消化管平滑筋細胞膜上にあるモチリン受容体を刺激するモチリン様作用を期待して第2選択剤として投与されることがある。
これはペプチドであるモチリンのN末端の構造が、14員環系マ クロライドのラクトン環の構造に類似しているからとされている。
エリスロマイシンの服用に関しては、食前投与が薦められる。これは固形食物の胃排泄性は不良であり、従って、食後投与ではエリスロマイシンが腸管モチリン受容体に到着するのが遅れることになる。
このため、崩壊性の悪い腸溶錠は避け チュアブルや顆粒剤など胃の通過性のよい製剤を使うのが望ましい。
びまん性細気管支炎(DPB): 本間、山中らによって疾患概念が確立された。
1980年頃の 5年間生存率は、 60〜70%の呼吸器系難病(特定疾患)。気道領域と肺胞領域との移行部である呼吸細気管支領域におけるリンパ球、形質細胞、泡沫細胞(マクロファー ジ)を主体とした慢性炎症。日本、中国、韓国など東アジアに多い。抗生剤の投与によって緑膿菌交代現象などが起こるので注意。
クラリスロマイシン
 クラリシッド、クラリス
レジオネラ菌、慢性閉塞性肺疾患
Mycobacterium avium complex
非定型抗酸菌症
 N* 614
 N
 O*
塩酸デメチルクロルテトラサイクリン
 レダマイシン
ADH分泌異常症 (抗利尿ホルモン不適合分泌症侯群)  F* 615
◇バソプレシンの作用を抑制するものと考えられている。
リファンピシン
 リファジン、リマクタン
MRSA  N* 616  



〔621 サルファ剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
サラゾスルファピリジン
 サラゾピリン
免疫調節 -
◇SH化合物で、効能・効果には「ステロイド療法を長期間継続した症例には、4Tab. を併用しながら、徐々にステロイドを減量」と記載。



〔624 合成抗菌剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
レボフロキサシン
 クラビット
非定型抗酸菌
結核菌感染症
  N
  NO
塩酸シプロフロキサシン
 シプロキサン
結核菌感染症   O



〔625 抗ウィルス剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
アシクロビル
 ゾビラックス
水痘
成人水痘
  口-8
  L*
ガンシクロビル
 デノシン
サイトメガロウィルス感染症 (小児)   M*
ラミブジン
 エピビル
B型劇症肝炎 ⇒ 抗ウイルス作用 -



〔629 その他の化学療法剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
イトラコナゾール
 イトリゾール
爪白癬⇒2004.2パルス療法として適応   L*
◇連日投与: 1日 100mg、
◇間歇投与: 1日 200mg で週 2回投与。チトクロームP-450阻害による抗真菌作用。
ST合剤
 バクタ、セプテリン
ステロイド剤投与時の感染症予防。 -



〔641 抗原虫剤〕

  薬剤名   疾患名等 摘要
メトロニダゾール
 フラジール
H.ピロリ感染症
   M


☆小児の用量の設定
 抗菌剤の場合、開発にあたり、第U相で成人の有効性・安全性が確認された後に、 小児の臨床試験を実施し、小児の体内動態の結果を参考に、有効性・安全性が証明されている成人と同じ血中濃度となる用量を設定し、その量での有効性・安全性を確認したデータをもとに小児の用量・用法が設定される。しかし、ニューキノロンのように小児の安全性に問題のある薬剤では、市販後に成人のデータを集積した後に検討を開始する。

〔文献〕
川合真一他 :適応症拡大が必要とされているわが国の医薬品,臨床と薬物治療Vol.16 No.12,60-64,1997.
小噂丈太郎 : 医薬品の適応外処方の実態,Nikkei Medical,No.356 57-65,1997.
撮田享男他 : 医薬品の必須適応拡大についての専門医の見解:日本臨床薬理学会拡大学術委員会による調査,臨床薬理 Vol.28 No.3,729-740,1997.
日本臨床薬理学会拡大学術委員会 : 医薬品の必須適応拡大についての専門医の見解,臨床薬理 Vol.28 No.3,729-741,1997.
水島 裕 : 保険医療と適応外使用,臨床と薬物治療 Vo1.17 No.8,2-4,1998.
三輪 亮寿 : 適応外使用の法的問題,月刊薬事 Vol.40 No.14,51-54,1998.
三輪 亮寿 : 適応外使用の可否一法的視点,臨床と薬物治療 Vol.17 No.8,8-11,1998.
中村和男他 : 適応外使用の現状,月刊薬事 Vol.40 No.14,39-50,1998.
竹内 尚子 : 向精神薬の適応外使用の現状,薬局 Vol.53 No.7,123-130,2002.
中村 秀文 : 適応外医薬品の使用,小児科診療 Vol.65 増刊,24−25,2002.
藤原 豊博 : 医薬品適応外使用情報,月刊薬事 Vol.42 No.5〜Vol.44 No.13.